戦術・戦略・情報・スキルで差のなかったサントリーとパナソニックの死闘。 「勝負を分けたのはブレイクダウン」という常套句に秘められた深い意味とは? | ラグビージャパン365

戦術・戦略・情報・スキルで差のなかったサントリーとパナソニックの死闘。 「勝負を分けたのはブレイクダウン」という常套句に秘められた深い意味とは?

2017/01/31

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


日本選手権はサントリーの優勝で終わりました。トップリーグ優勝に続く2冠達成。心よりお祝い申し上げます。パナソニックも、敗れたとはいえ、素晴らしい戦いを見せました。

「分からない」という予想が的中…。それだけ両チームが拮抗していた


僕は先週のこの連載で「チカラの差はない、ロースコアであれハイスコアであれ拮抗する」と予想しましたが、予想通り、両チームにチカラの差はなかった。本当の意味でイーブンだった。久々で、本当に、どう転ぶか分からないなという80分を過ごしました。

まあ「分からない」と予想したことを「当たった」と自慢するのもヘンな話ですが(笑)。

僕がなぜ「分からない」と予想したかというと、スクラム、ラインアウト、キック、ラインディフェンス、チームとしての戦略性、戦術性、個々のスキルレベル……などなど、分析できる要素を僕なりに比べたのですが、いくら比べていっても差がつかなかったからです。

単純に定量化しただけではありません。強みと弱みのかみ合わせ、はまるかどうかと言う要素も勝負には影響してきます。そこも僕なりにシミュレートしてみたのですが、たとえば準決勝のヤマハvsパナソニックでは、ヤマハの強みがパナソニックに吸い取られる展開が予想できました。

でも今回は、どこをどう比べても五分にしかならなかった。それだけ、この決勝を戦った両チームはレベルが高かったと言うことです。これだけのレベルのチームを作った両チームの選手、スタッフの皆さんに、心より賛辞を贈りたいと思います。

サントリーの強さ、パナソニックの強さ

後半、パナ福岡とヒーナンが2人がかりでサントリー流のキックをチャージ、ヒーナンがトライを決める

後半、パナ福岡とヒーナンが2人がかりでサントリー流のキックをチャージ、ヒーナンがトライを決める


両チームのここまでのストーリーを考えると、サントリーがここまで上がってきたことが、この接戦を実現させたといえるでしょう。パナは昨季までトップリーグ3連覇、対してサントリーは昨年は9位に沈んでいたのですから。

今季のサントリーの強さは、アタックのとらえ方を変えたことにあります。昨季までのサントリーはいったんボールを持ったら、どんな状況でもボールキープして攻め続けるスタイルでした。でも今季は、ボールを手放すこともゲームの一部としてチョイスしています。沢木監督が、なにかのインタビューで「アタックサイクル」「ディフェンスサイクル」というコトバを使っているのを読んだことがあります。沢木さんのイメージの中では、アタックとディフェンスが繋がっているのだと思います。

 

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