チーム内の熾烈なポジション争いを活性化させるベテラン長友泰憲インタビュー・グレーガンから学んだ「準備の大切さ」  | ラグビージャパン365

チーム内の熾烈なポジション争いを活性化させるベテラン長友泰憲インタビュー・グレーガンから学んだ「準備の大切さ」

2017/06/02

提供●WOWOW


昨季のトップリーグと日本選手権、両タイトルを独占したサントリーサンゴリアスの看板ポジションは、両ウイング(WTB)とフルバック(FB)の総称バックスリーだ。


7人制のいいところはやる方も見る方も分かりやすいところです!

2015年ワールドカップメンバーのFB松島幸太朗、2015年度トップリーグトライ王のWTB江見翔太、2016年度トップリーグMVPのWTB中靏隆彰という日本代表とサンウルブズを支えるトライゲッターがひしめくが、その激戦区をさらに活性化させるのがベテラン長友泰憲だ。重心の低い独特のランとフィジカルの強さを武器に、7人制、15人制の両方で活躍を重ねてきた32歳は、これまで海外のラグビーから何を学び、何を目指しているのか?

――長友選手が海外のラグビーを意識し始めたのはいつ頃からですか。


意識するようになったのは、サントリーに入って、日本代表に選ばれるようになってからですね。それまでは、海外を目指すようなプレーヤーじゃなかったので(笑)。小さい頃はサッカーをしていたので、海外のラグビーをテレビで見たりもしなかった。サッカーのワールドカップに熱中していましたね。応援していたのは日本代表。一番熱中していたのは、中田英寿さんが活躍したフランスワールドカップ(1998年)のころです。


――長友選手がラグビーを始めたのはいつからですか。


高校(高鍋)からです。3歳上の兄が高鍋でラグビーをしていて、高3で全国大会に出たとき、大阪の花園ラグビー場まで家族で応援に行ったんです。その姿を見て、ラグビーもいいなあと思って高校から始めました。それもあって、兄を目標にしていました。でも高校は全然全国レベルじゃなかったし、大学(中大)のときも、海外のラグビーを見る機会はそんなになかった。海外のラグビーを見るようになったのは、サントリーに入ってからです。 


――当時、目標にしたり、気になった海外の選手は誰かいましたか。


そうですね…しいて言えばコーリー・ジェーン(オールブラックスWTB/FB、53キャップ)かな。ランニングスキルが高くて、仕事量も多い。相手のハイパントをキャッチする精度も高いし…平均的にスキルが高くて、ひとつひとつのプレーのクオリティーが高い。そういうのはマネできるところもあるので、注目していました。

――サントリーにも外国人選手のビッグネームが歴代たくさん在籍しています。影響を受けた選手は誰かいましたか。


ジョージ・グレーガン(元オーストラリア代表主将、通算キャップ139は長い間歴代最多だった)ですね。練習に入る前の準備、ラグビーに取り組む態度が素晴らしくて、本当に尊敬できるところがたくさんありました。

特に勉強になったのはグラウンドでのラグビー以外の部分、事前の準備ですね。ストレッチとか、ルーティーンをしっかり持っていて、練習に入る前にしっかり時間をかけて準備している。ラグビーは、体をしっかり温めてやらないとケガをしやすいですからね。

そういう姿勢は僕も取り入れていこうと思っています。それは試合前に相手を分析することも同じです。相手の特徴やプレー選択の傾向を事前に知っておくのと知らないのとでは違う。サントリーの沢木監督も『準備しすぎて悪いことはないよ』と仰るし、準備はしっかりやるように心掛けています。

――長友選手といえば、2010年の広州アジア競技大会の決勝で決めた金メダルトライが印象的です。日本代表入りは7人制が2009年から、15人制は2010年からでしたね。


懐かしいですね(笑)。7人制は、いろいろな国へ行って試合をするし、1日でいろいろな国を相手に試合をするところが面白いですね。僕はそれまで日本国内でしかラグビーをしていなかったので、国によって環境が全然違うし、言葉も違うということは新鮮な経験でした。


――印象的だった国や対戦相手はどこかありましたか。


初めて行った7人制の国際大会が香港セブンズだったんですが、すごく印象に残っています。お客さんが多いし、ものすごく盛り上がっている。観客席もすごい急角度にそそり立っていて、日本のスタジアムとは全然違うなあと。逆に、アジアセブンズシリーズでは、お客さんがほとんど入らないような国もありましたね。中国の大会では、『まだまだラグビーは知られていないんだな』と感じました。

――長友さんが考える、7人制と15人制それぞれの魅力を聞かせて下さい。


7人制は、短期間にたくさんの国と試合をしないといけないところが面白いです。プレー面ではスピード感と、1人1人の個人技の勝負が多いから、お客さんにとっても見て面白いし、選手としてもお客さんに自分をアピールしやすいと思いますね。最近はやってないんですが(笑)。
15人制はチームワークが大事になってきますね。FWとBKで役割も細分化されてくるし、お客さんにとっては見るところが多くて難しいかもしれないですが、ポジション毎の役割の違いを分かって見ると、より面白いと思います。


――対戦して印象的だった相手はいますか。


チームとして印象的だったのは、7人制では南アフリカです。みんなスピードがある上にコンタクトが強くて、対応が難しかった。日本はスピード勝負を掲げていたけれど、それだけでは難しいと痛感しました。こっちは一生懸命タックルするけれど、1人も倒れないという印象でした。

15人制ではフレンチバーバリアンズ戦が印象深いです。エディー(ジョーンズ)さんがヘッドコーチのときで、日本はキックを蹴らずに攻め続けるラグビーを目指していたけれど、フランスはキックを効果的に使ってスペースを攻めてきて、こっちは走らされて体力を消耗してしまう。こっちはチームで戦略をたてて戦おうとしているけれど、フランスは一人一人が判断してやっている、それも簡単にプレーしているような印象を受けました。

――2019年の15人制ワールドカップと2020年の東京オリンピックに向けては、どんな抱負をお持ちですか。


やっぱり現役でプレーしている以上は代表を目指しますが、まず自分のチームで試合に出ないと始まらないですからね。若手のいい選手もたくさんいるけれど、その争いに割って入りたい。僕の持ち味はフィジカルの強さ。これは若いときから取り組んできた僕のキーワードだし、他の選手とは違う僕の財産だと思っている。試合に出て、これをアピールしていきたいし、フィジカルというベースの上に、違う武器も肉付けしていきたいです。

長友泰憲(ながとも・やすのり)
1985年5月3日、宮崎県川南町生まれ。高鍋高1年でラグビーを始め、高2、高3で大阪・花園の全国大会出場。中大を経て2008年サントリー入り。
日本代表には7人制は2009年香港セブンズで初選出。2010年広州アジア競技大会では決勝の韓国戦で終了直前、金メダル獲得のサヨナラトライを決めた。15人制では2010年アジア選手権でデビュー、9キャップを持つ。
176センチ85キロ。

 

WOWOW番組情報

いよいよファイナル。今シーズンを制するのは果たして…。

決勝:6/4(日)深夜3:30〜 クレルモン・オーヴェルニュ vs RCトゥーロン
[WOWOWプライム]

再放送:6/6(火)午後4:00[WOWOWライヴ]

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