僕はこれまで、それらしく解説させていただきましたが、実はワールドカップをまるまる見るのは初めてです。
正直に言うと、これまでは、日本の試合と、あとは決勝トーナメントくらいしか見ていなかった。当サイトの読者のみなさんには、小林深緑郎さんや大西将太郞さんのように、海外の選手やチームのことにものすごく詳しい方もいらっしゃるでしょうが、申し訳ありませんが、僕にはそういう予備知識、引き出しがないんです。
そのぶん、ものすごく新鮮な気持ちでワールドカップを見ることが出来ています。今日本では、日本代表の活躍のおかげで、これまでラグビーを見ることがなかった人がたくさんラグビーを見るようになっている。そういう人たちと、どこか通じる感覚で見ているかもしれません。今回は「増刊号」として、プール戦前半終了時点の全体的な感想をお話ししてみようと思います。
「リスクを背負ってトライを取りに行くチームが意外と多い」
全体的に、今回のワールドカップで僕が感じているのは、「リスクを背負ってトライを取りに行くチームが意外と多いんだな」ということです。例外は、日本に負けて後がなくなった南アが、次のサモア戦のキックオフをレシーブして、自陣からモールを30mも押してからハイパントを蹴った場面くらいですか(笑)。
僕の頭の中では、ワールドカップって、インゴールを使わない大会だというイメージがありました。つまり、インゴールに入らない、トライを取らないで進めるラグビー。2007年フランス大会決勝の南ア対イングランドがそうでしたよね。2011年、2003年も、トライはあったけれど、基本的にはキックで試合が決まりました。
背景としては、レフリングがアタック側の優位性を認める方向で吹いているせいかもしれませんし、これは、今行われている1次リーグが、4トライによるボーナス点も加算される勝点制で争われているからかもしれません。勝点が関係なくなる決勝トーナメントでこれがどう変わるのか、変わらないのかに注目したいです。
印象的だったのはイングランド対ウェールズです。試合の中ではほとんどの局面でイングランドが優勢に立っていた。ウェールズはずっと劣勢でした。でも途中で気づきました。ウェールズは、相手のペナルティー等で自陣を脱出すると、ハーフウェー付近ですぐにPKを獲得して、時間をかけずに効率良く3点を取っていった。
攻められている時間が長いと、一見苦戦しているように見えます。でも実は、ラグビーとは、アタック側が消耗する構造になっています。