ラグビー王国の名コーチたち―vol1. ジェイミー・ジョセフ | ラグビージャパン365

ラグビー王国の名コーチたち―vol1. ジェイミー・ジョセフ

2020/04/02

文:宮浦成敏 構成:大友信彦


新型コロナウイルスの感染拡大で世界のラグビーがストップしてしまっていますが、こういうときこそONE FOR ALL、ALL FOR ONE のラグビー精神を発揮するときです!

世界中、ほとんどのチームは活動を停止していますが、あえてRUGBYJAPAN365では新シリーズをスタート。

お招きしたナビゲーターは、福岡工業大学ラグビー部監督で、NZのワイカトラグビー協会デベロップメントオフィサーサポート(育成部門スタッフ)も務めるなど、日本きってのNZラグビー通である宮浦成敏さん。RJ365スーパーバイザー大友信彦の著書『オールブラックスが強い理由』(講談社文庫)でも『ユース世代をどう鍛えられるか――ニュージーランドの選手育成システム――』の章でラグビー王国の事情を詳しく紹介しています。

その記事でも紹介されていますが、ニュージーランドの育成システムのすごさは、選手のみならずコーチを育てていること。昨年のワールドカップでも、日本代表を初めての8強入りに導いたジェイミー・ジョセフをはじめ、ウェールズのウォーレン・ガットランド、アイルランドのジョー・シュミット、ジョージアのミルトン・ヘイグ……ちょっとおおげさに言うと、世界のラグビーをニュージーランド人コーチたちがリードしている。

RUGBYJAPAN365では、日本を含め、世界のラグビー界をリードするニュージーランド人コーチたちの素顔を、日本きってのニュージーランド通の宮浦さんに紹介してもらおうと思います。

記念すべき第1回は、我らが日本代表を世界8強に導いたヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフです。

キーになる人間を見極めるのがうまい

日本から留学していたアカデミー生たち、S&Cヘッドトレーナーと。左端が宮浦さん

日本から留学していたアカデミー生たち、S&Cヘッドトレーナーと。左端が宮浦さん

みなさんこんにちは。宮浦です。このたび、RUGBYJAPAN365で、みなさんに私の経験をお伝えする機会をいただきました。よろしくお願いいたします。

記念すべき第1回は、ジェイミー・ジョセフについてです。私は現役時代、最後にプレーしたのはサニックスで、ジェイミーとは一緒にプレーしました。当時はジェイミーがナンバーエイト、SHにグレアム・バショップがいて、私が14番のWTB。スクラムから⑧⑨で直にパスをもらうプレーもあったし、試合中もよくコミュニケーションを取っていました。

プレーヤー時代のジェイミーの印象は、言葉が多かったこと、コミュニケーションをよく取るタイプだったなということです。プレーヤーとしては激しさがウリでしたが、周りの選手への声かけがすごく細やかだった。特にサニックスは若い選手が多く、チームとして成熟していなかったこともあって、ジェイミーは若い選手を元気づけるような言葉使いが多かった。逆に、九州代表で三地域対抗に優勝したときは、周りの選手のレベルが上がった分、言葉使いが厳しくなった面もあった。

それはグラウンド内だけでなく、グラウンドの外でも発揮されましたね。若い選手を連れて寿司を食べに行ったり、居酒屋へ行ったり、福岡ですから屋台へ行ったり。日本代表でも同じでしたね。コーチの土田さんや、キャプテンのアンガス(マコーミック)や若手だった大畑選手ともそうやってつきあっていた。日本語も上手だった。

さすがだなあと思ったのは、キーになる人間を見極めるのがうまいこと。サニックスでは最後は兼任コーチのような立場だったのですが、いくら上手くてもサボる選手、チームの結束を乱すような言動をする選手は使わない。頑張っているヤツを使う。当時のサニックスは発展途上のチームだったのですが、そこは徹底していましたね。


プレミアムコラム

この記事の続きを読む。

購読手続をすると全ての内容をお楽しみいただけます。
メールアドレス
パスワード

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ