ラグビー王国の名コーチたち―vol4. ロビー・ディーンズ | ラグビージャパン365

ラグビー王国の名コーチたち―vol4. ロビー・ディーンズ

2020/05/23

文●宮浦成敏 構成●大友信彦


この4月にスタートしたRUGBYJAPAN365プレミアムページの新企画、日本きってのNZラグビー通・ワイカトラグビー協会デベロップメントオフィサーサポート(育成部門スタッフ)で福岡工大監督の宮浦成敏さんによる『ラグビー王国の名コーチたち』。第1回は日本代表をW杯8強に導いたジェイミー・ジョセフさん、第2回は神戸製鋼をトップリーグで15年ぶりの優勝に導いた名将ウェイン・スミスさん、どちらもたくさんの方にご購読いただきました。連載の第3回は、オールブラックスの新しいヘッドコーチに就任したイアン・フォスターさんの素顔を紹介しました。

さて第4回は、パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督です。スーパーラグビーでクルセーダーズを常勝軍団に育て上げ、オールブラックス監督も有力視されましたが、2007年ワールドカップの準々決勝で敗れたグラハム・ヘンリー監督が留任したことでNZを離れ、ライバルのオーストラリア代表監督へ。そして2011年ワールドカップのあと、2014年度からパナソニックの監督に就任。

実は、クルセーダーズ監督だった2004年から当時の三洋電機のアドバイザーになって以来、パナソニックの強化にはずっと携わってきました。2007年度から日本選手権3連覇、2010年度は三洋電機として初のトップリーグ制覇、そしてパナソニックになった2013年度からトップリーグ3連覇を飾っただけでなく、数多くの選手を日本代表やスーパーラグビーの舞台へ送り出し、日本ラグビーの強化と活性化に貢献してきました。そんなロビーさんと宮浦さんの出会いは実に25年前までさかのぼります。宮浦さんならではのロビーさん秘話をどうぞお楽しみください。

みなさん、コロナウィルス感染蔓延の中、いかがお過ごしでしょうか。福岡県では緊急事態宣言の解除を受け、ラグビー活動を少しずつ再開し始めました。まだグラウンドで全体練習をできる段階ではありませんが、少人数のグループを作って、時間を分けて、密の状態を作らないように工夫して、コアスキルやフィットネスのメニューを作っているところです。あとは頭のトレーニング。

私は数年前に、熊本県ラグビー協会から依頼を受けて、世界共通の基本プレーのコーチングビデオDVDを「熊本スタイル」と名付けて製作したのですが、熊本県協会ではこの5月から、STAY HOMEの期間でもラグビー脳を鍛えられるようにとこの映像をyoutubeで公開しています。私自身、福岡工業大学ラグビー部の学生たちに、この機会に、この映像を参考にして、ラグビーのスキルや戦術の理解を深めようと話しています。グラウンドに出られないときでもできることはあるはずですからね。




※熊本スタイルVol.2の3分40秒のところで出てくる「Yライン」の説明で、Yの字の位置が少しずれています。編集が間に合いませんでした。ご覧いただく際はその部分にご留意願います。


ラグビー活動の再開に向けて、参考になるのはNZの動きです。ワイカト協会では先日、警戒レベルがレベル2まで緩和されたときにできる練習メニューについて、コーチ登録者向けにWEBセミナーを開催しました。私も聴講させていただいたのですが、直接コンタクトできない中でどうラグビーのトレーニングメニューを組むかが考えられていて興味深かったです。

一例をあげると、アタック&ディフェンスの練習の際、ディフェンス側は長さ1mくらいの硬質スポンジの棒状のもの(通常スイミングレッスン等で使用するもので、私たちは『ヌードル』と呼んでいます)の両端を持ち、その棒の先でアタッカーを叩くことでタックル成立とし、アタッカーはそこでダウンボールしなきゃいけない。タッチフットのタッチを、スポンジの棒を使って行うイメージですね。ディフェンダーは両手で棒を持っているからタックルにいく姿勢も取れるし、タッチするよりもラグビー的な動きになる。応用も利くなあと思いました。NZは感染終息のペースが日本より1カ月くらい先行している感じなので、日本としてはNZのやり方を参考にしてラグビー再開に取り組める。そのメリットを生かせるよう、これからもNZでの動きにアンテナを張っていこうと思っています。

人が何を求めているのか、何をしたら助けてあげられるか、それをスッと察知して自然に行動に移せる人



前置きが長くなりましたが、今回はロビー・ディーンズさんについてです。

ロビーさんとの初めての出会いは1996年でした。私は1995年8月、伊勢丹のNZ遠征に参加させてもらって、ワイカトスタジアムでワイカトデヴェロップメントXVと対戦したのを最後にサニックスへ移籍しました。そのとき同期でサニックスに入社したのがジェイミー・ジョセフとグレアム・バショップの2人でした。私はサニックスで将来コーチになるというお話をいただいていたので、翌年の96年にNZのクライストチャーチでコーチ研修を受けたのですが、その際バショップのお世話になった人たち、友達関係の人たちに挨拶をしたときに、ロビーさんにも挨拶しました。当時はまだコーチになって間もない頃だったと思います。まだ現役といってもおかしくない精悍な印象で、でもすごくフレンドリーな雰囲気を醸し出していました。


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