この4月にスタートしたRUGBYJAPAN365プレミアムページの新企画、日本きってのNZラグビー通・ワイカトラグビー協会デベロップメントオフィサーサポート(育成部門スタッフ)で福岡工大監督の宮浦成敏さんによる『ラグビー王国の名コーチたち』。第1回は日本代表をW杯8強に導いたジェイミー・ジョセフさん、第2回は神戸製鋼をトップリーグで15年ぶりの優勝に導いた名将ウェイン・スミスさん、第3回は、オールブラックスの新しいヘッドコーチに就任したイアン・フォスターさん、第4回はパナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督、第5回はウェールズ代表からチーフス監督に転身したウォーレン・ガットランド監督の素顔を紹介。それぞれたくさんの方にご購読いただき、戦術や戦績だけではない、各コーチのキャラクターが見えてくるとご好評をいただいております。今回は、トップリーグのNTTコム、豊田自動織機のHCを歴任し、スーパーラグビー・アオテアロアに続いて開幕したスーパーラグビーAU(オーストラリア)のワラターズ監督に就任したロブ・ペニーさんを紹介します。どうぞお楽しみください。

みなさんこんにちは、宮浦です。
このたびの九州豪雨で亡くなられたみなさまへ心よりお悔やみを、被害をうけたみなさまにお見舞いを申し上げますとともに、全国の皆様からいただいた温かいお見舞いに心より御礼申し上げます。
福岡工業大学の施設は被害を免れましたが、私の生家は熊本県北部の荒尾市に、母の実家は豪雨で大きな被害を受けた大牟田市にあり、親戚も多く住んでいます。私も1日、片付けに行ってきたのですが、本当に被害の規模がすごかった。親戚の家は海に近いあたりにもあって、上流から流されてきた流木などが折り重なっていて、どこから手をつけたら良いか分からない状態でした。県南の球磨の方はもっとひどいことになっていると聞きます。私の通っていた熊本工高には、県内全域から生徒が集まっていたので、球磨の方から来ていた友達もいました。きっと、片付けや復旧・復興の作業に尽力している同級生や先輩後輩がたくさんいると思います。みなさんに心より感謝と敬意を表したいと思います。

NTTコムの育成に尽力したロブ・ペニー氏

そういうこともあって、今回は記事更新が遅れてしまいましたが、スーパーラグビーはNZ大会アオテアロアがはや折り返して6節を終了、オーストラリア大会も開幕しました。前回紹介したガットランドのチーフスは苦戦していますね。まさかの開幕から白星なしの4連敗。開幕戦のハイランダーズ戦で、自分の息子に逆転DGを決められるというまさかのスタートでしたが……ゲームはどの試合もポゼッションが高いけれど、最後にトライを取りきれない。肝心の所でセットピースが不安定。そういうところが響いていますね。スケジュールの関係で、開幕から休みなしで4週連戦になったことも、予想以上に厳しかったようです。BYE開けの第6節、ハイランダーズ戦は良いスタートを切り、一時は24点差をつけ、やっと初勝利と思いましたが……最後はラストプレーでまさかの逆転負け。悪夢のような展開が続いています。もしかしたら、ガットランドという名コーチに対する遠慮のようなものが、チームの中に生まれているのかも知れませんね。ラグビーに、スポーツに限らず組織ではありがちなことですが…逆に言うと、この流れを誰が変えるか、選手なのかコーチなのかガットランド自身なのか、そこを楽しみに見ていきたいです。


さて、7月3日には、NZに続いてオーストラリアでもスーパーラグビーAUが開幕しました。

こちらには、サンウルブズが参加できなかったけれど、2年前でスーパーラグビーを外れていたフォースが加わって、やはり5チームで争われています。

スーパーラグビーAUの5チームには、NZ出身のHCが2人います。一人はレッズのブラッド・ソーンで、もう一人はワラターズのロブ・ペニーです。ブラッド・ソーンはオールブラックスで59キャップ、2011年ワールドカップ優勝メンバーですが、実はラグビーリーグではオーストラリア代表で8キャップを持っていて、両国に縁のある選手です。レッズには2015年から加わり、2018年からHCを務めています。日本のサニックスでもプレーしました。

対して、ロブ・ペニーは2014年から2018年までトップリーグのNTTコミュニケーションズのHCを務めていて、日本のファンにもおなじみだと思います。昨年、豊田自動織機のHCに転任しましたが、トップリーグ開幕前の11月に退団、ワラターズのHCに就任しました。オーストラリアでの指導は初めてです。ということで、今回はロブさんについて紹介したいと思います。