ワールドカップは準々決勝が終わりました。ニュージーランド(以下、NZ)対フランスとアルゼンチン対アイルランドは予想以上の大差がつき、南アフリカ対ウェールズとオーストラリア対スコットランドは予想外の大接戦になりました。プールステージが終わり、決勝トーナメントに入り、ワールドカップの試合の質も変わってきたなあという印象を持ちました。
プールステージのオールブラックスのアタックにはあまり意図を感じなかった
最も変化を感じたのはオールブラックスです。
プールステージの間、僕は正直、「NZはあまり出来が良くないなあ」と思って見ていました。
一番感じていたのはディフェンスの部分について。プールステージでのNZは相手がやってくることに対応しているだけで、自分たちから積極的に相手のオプションを減らしていくような、ディフェンスの仕掛けがあまり見られなかった。僕は「ラグビーは最後の一手をいかに打つか」だと考えているのですが、相手に「これをやる!」とパスをさせたり、「ここで抜く!」とステップを切らせたり、決断を先にさせればディフェンスが有利になる、アタックのときも、ディフェンス側に「ここで止める!」と決めさせてしまえば有利なアタックを継続できます。だけど、プールステージのオールブラックスは、相手がやってきたことに対応しているだけに見えました。
アタックでも、プールステージのオールブラックスにはあまり意図を感じなかった。
日本代表が採用しているアタックシェイプという考え方は、世界の多くのチームが導入しています。これはパスを捕れる位置に複数の選手がポジショニングして、攻撃側のオプション(選択肢)を多くしてディフェンス側にマトを絞らせない、ダブルタックルさせないことで、攻撃側の優位性を作っていく戦術です。NZの場合も、シェイプのように見える場面はけっこうあります。ただ、そこにどんな攻撃をしようかという意図をあまり感じない。何か、言葉は悪いですが「テキトーに立ってるだけ」みたいに見えたんです。