和製FWでカナダの猛攻を耐えきった価値ある勝利。 次のステップは、防御ライン維持からタックルへの切り替えか。SHOTA'S CHECK-VOL31 | ラグビージャパン365

和製FWでカナダの猛攻を耐えきった価値ある勝利。 次のステップは、防御ライン維持からタックルへの切り替えか。SHOTA'S CHECK-VOL31

2016/06/15

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


こんにちは、翔太です。
週末は太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ最終戦の富士山裾野御殿場大会で、静岡に行っていました。追手門学院VENUSはプレート優勝。今年4大会目で初めて4強に進めずに終わりました。準々決勝のアルカス熊谷戦に19−21で敗れたのです。

悔しい結果ではありますが、チームも進化している一方で、日本の女子セブンズが進化しているんだなということを強く感じました。これまでは、僕が事前に与えたゲームプランを遂行できるかどうかで、勝負のあらかたは決まっていたけれど、今回はそれではすまない、実際のゲームの中でどう判断していくかで勝負が決まった。その中で、VENUSも素晴らしい試合をしたと思う。アルカスに0−21とリードされてから2点差まで追い上げて、最後のキックが入っていたら追いついて、延長戦に入れば勝てていたかもしれない。それくらい紙一重の戦いができました。コーチングの奥深さ、セブンズの奥深さを、僕自身もチームも勉強しているんだなあと実感しています。

2016シーズンMVPに輝いた福島わさな選手

2016シーズンMVPに輝いた福島わさな選手


また、4大会合計のシーズンMVPに福島わさなが選ばれたことも、本当に光栄に思います。わさなはもともと能力が高い子だったけれど、今季の4大会を通じての成長ぶりは本当に目を見張るものがありました。特に、ピッチ上のスキル判断だけじゃない、チームへのコミットぶり、本気度が素晴らしかった。日本女子の未来を背負う子だとは思っていたけれど、今年の成長は、それを確信させてくれた気がします。みなさんも、今度追手門の試合を見られる機会がありましたら、どうぞわさなのプレーを注目してあげてください。

 

さて、日本対カナダの試合は、裾野の大会会場へ移動する前にホテルで少し見て(地上波で生放送しているというのは凄いことですね!)、残りは神戸に帰ってからビデオで見ました。

ジャパンはサンウルブズ組、(田中)フミアキや松島幸太朗、畠山健介たちがチームに戻って、アジア選手権の時よりも、戦い方にだいぶ深みを増したなという印象を持ちました。深みというのは、試合中に厳しい局面が生じたときの対応力、危機管理能力といったところです。ピンチでも誰もパニックにならず、冷静に対応しているのが目に見えました。

今回のジャパンは、明らかに準備時間が不足していました。その中で、ハメットHC代行は、シンプルな戦い方を指向していたと思います。

具体的には、アタックでは、昨年のワールドカップまでのジャパンが使い、サンウルブズも採用していたシェイプ系のアタックを、ディフェンスではブレイクダウンに人数をかけず「まずは立ちましょうよ」というコンセンサスで、パナの雰囲気を出してましたね(笑)。

あのディフェンスは、ボールを奪うことよりもラインを崩さないことを優先しているから、ターンオーバーするまでに時間がかかってしまう。象徴的なのが最後の場面です。日本はキックオフで相手陣22mラインに入ってプレーをスタートできたけれど、カナダにずっとボールを継続されて、結局自陣インゴールまで入られてしまった。

ディフェンスラインは最後まで崩壊しなかったし、インゴールでグラウンディングさせなかったパエア・ミフィポセチと谷田部洸太郎のディフェンスは見事でした。ラインが崩れるリスクを避けることを優先した結果、ボールを取り返すことはできなかったけれど、日本人選手だけのFWで、14人になっても勝ちきった。これは、かなり評価できる戦いだったと思います。

ただ、今回のカナダ戦は大きな勝負ではなく、スコットランドを相手にどう戦うかという準備のための試合だったと思います。

 

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