日本選手権決勝直前SP・ヤマハ発動機「強化縮小」からの再出発 | ラグビージャパン365

日本選手権決勝直前SP・ヤマハ発動機「強化縮小」からの再出発

2015/02/26

文●大友信彦


ラグビー日本選手権決勝が目前に迫った。
決勝の顔合わせはサントリーvsヤマハ発動機。
サントリーはリーグ戦5位からの「下克上」を目指している。しかしサントリーは、一昨季まで2連覇を飾るなど過去5度の優勝を数える日本ラグビー屈指の強豪だ。

対してヤマハ発動機は、初めての日本選手権決勝進出だ。
だが、過去にヤマハ発動機は、2004年度にトップリーグ2位、マイクロソフト杯決勝に進み準優勝という好成績も残していた。
実はヤマハ発動機は、一時はチームの存続さえ危ぶまれた歴史を持っている。
2009年に一度「強化縮小」が発表され、多くの選手がチームを去ったのだ。現在、頂点に争う場所にヤマハがいるのは、このとき諦めずに、ジュビロというチームを愛し、支えた選手やスタッフ、サポーターたちがいたからだ。

頂点に挑む、日本選手権ファイナルの前に、今一度、歴史に目を。
存続の危機に瀕したヤマハ発動機ジュビロが、再生へ歩みを始めた2010年夏の磐田・大久保グラウンドへ、タイムトラベル!

 

突然発表された「強化縮小」

気温40度に迫る酷暑の磐田市大久保グラウンドで走り込みは続いた

気温40度に迫る酷暑の磐田市大久保グラウンドで走り込みは続いた

殺意さえ感じる強烈な日射し。
グラウンドはまるでフライパンの上のような熱気。
だがボールを追う男たちの目は輝いていた。
身体をぶつけ、倒れ、起き上がって走り出す顔から、歓びが溢れ出す。

2010年夏。
合宿を控えた7月下旬、磐田市のヤマハ発動機大久保グラウンドは、予想以上に活気が溢れていた。

「ちょうど、ケガしてた選手が揃って戻ってきたんです。15人対15人の相手をつけた練習は、すごい久しぶりですね」。

広報の長谷川仁さんが、選手たちの気持ちを代弁してくれた。

2009年11月、突然発表された「強化縮小」。
世界同時不況による業績不振に伴う苦渋の決定だったが、トップリーグ前半戦5位につけていたチームはそこから勢いを失い、終盤は4連敗。TL発足後ワーストの9位でシーズンが終わった。そして、春までに13人もの仲間がチームを去った。新年度が始まっても、ケガの選手が治療やリハビリに専念し、日本Aや7人制代表の選手がチームを離れていた春シーズンは、練習に集まる選手が15人に満たない日も多かったという。

 

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