13番松島幸太朗の衝撃 レジェンド2人も認めた、ジャパンの新星の可能性 | ラグビージャパン365

13番松島幸太朗の衝撃 レジェンド2人も認めた、ジャパンの新星の可能性

2014/06/02

文●大友信彦


背番号13がボールを持つたびに、秩父宮の観衆はどよめいた。

2014年5月31日、ナイトゲームで行われたサモアとのテストマッチ。大野均が通算82キャップの日本最多記録更新を祝し、試合開始時は大野が単独で入場。10年間にわたって体を張り続ける英雄へすべての観客が喝采を贈った後で始まった試合は、これが4キャップ目、先発は2試合目という新星、13番(アウトサイドCTB)のジャージーを着た松島幸太朗が観客の視線を独占した。

最初のどよめきは11分だった。リーチマイケル主将のタックルからのターンオーバーで始まったカウンターアタック、アウトサイドCTBの松島がボールを持つと、マークの位置にいたサモアの14番オットーのタックルをスピンして外し、そのまま低い姿勢で加速。走りながら一回転しても姿勢が崩れない驚異のボディーバランスで外の相手WTBレヴァサをさらに外に抜き、2人余らせる完璧なセットアップを仕上げてFB五郎丸歩へパス。五郎丸は内側からカバーディフェンスに来た相手SHアファマイ、FBトゥロロのタックルをひきつけて大外のWTB藤田慶和へパス。21歳のワンダーボーイは難なくゴールラインを駆け抜けた。

藤田のトライをセットアップした前半11分のスピン。

藤田のトライをセットアップした前半11分のスピン。

「松島さんのCTBは、僕が言うことじゃないかもしれないけど、すごくいいと思います。13番でゲインしてくれるから、WTBとして走りやすかった」(藤田)

以降、金曜夜のナイターに駆けつけたファンは、13番がボールを持つたびに大声をあげた。15分には相手キックオフのリターンで自陣から敵陣10mライン付近まで滑らかに突破。18分にはミッドフィールドでボールを持ち、重量級のタックルが次々と飛んでくる中をスキーのスラロームのごとく滑らかに進む。後半26分にも相手タックルを腰の強い走りで次々とかわして敵陣を突き進み、五郎丸のPGにつなげる。そして30分、敵陣22m線付近での相手ノックオンを戻りながら拾うと一瞬で反転するや一気に加速。サモアのタックラー4人の隙間を縫うように走り抜け、右コーナーに躍った。秩父宮のスタンドが湧く。

「ボールを持って前を向いたときに前が空いていたので、1回左に行って、そこからスペースへ行こうと思いました。相手がデカいんで、間のスペースを突いていけるだろうと、イメージ通りできました」

エディー・ジョーンズHCが「13番松島」の起用を決めたのは、25日の香港戦のあとだったという。マレ・サウがスーパーラグビー・レベルズに合流するためチームを離れたことを受けての決断だった。

 

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