チャレンジャー2022 小西泰聖(早稲田大4年)590日の空白を経て、閃光のSHが帰ってきた | ラグビージャパン365

チャレンジャー2022 小西泰聖(早稲田大4年)590日の空白を経て、閃光のSHが帰ってきた

2022/09/04

文●大友信彦


8月28日、菅平のサニアパークで行われた早稲田大(早大)と同志社大(同大)のBマッチは後半に入っていた。

「大好きなラグビーを純粋に楽しめる。なんて言うか、シンプルに嬉しかった。自分、がんばったと思います。今は、自分をほめてあげたい」

ボールを奪った早大が同大のゴール前に向かってキックを蹴る。
ゴールライン上でボールが弾む。そこへ向かって、閃光が走った。

猛烈な加速で、遥か前を走る相手選手も味方選手も抜き去り、ボールに追いつくと、ゴールライン上に倒れざま、ボールを掴みながらインゴールへ着地。遅れて追いついてきたレフリーがグラウンディングを確認し、右手を高く上げながら長い笛を吹く。「トライ!」
エンジのジャージーを着た仲間たちが祝福に駆け寄る。その喜び方、祝いぶりが尋常ではない。


それも当然だった。閃光となってトライを決めたのは、ほんの数分前にピッチに入ったばかりの背番号21。昨季は公式戦はおろか、練習試合も含めて試合出場ゼロに終わっていたSH小西泰聖(こにし・たいせい)だったのだ。

「去年はずっと、コンディションが上がらなくて、ラグビーをまったくできなかったんです。練習もできなかった」と小西は言った。

「復帰まで590日かかりました。正直、まだ感覚と身体が一致していない。でも楽しいです」

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小西は2018年度、桐蔭学園の主将を務め、全国高校大会では準優勝。花園大会の3ヵ月前にはアルゼンチンで開かれたユースオリンピックで日本を銅メダルへと導いた。高校日本代表にも選ばれ、早大に進学すると、1年時は齋藤直人主将とポジションを争いながら公式戦出場を果たし、2年時はSHのレギュラーを獲得。シーズンの最後は大学選手権決勝で天理大に敗れたが、ランのスピード、パスのスキル、戦況を見抜いて自ら勝負する戦術眼と突破力を併せ持つ大学屈指のSHとして期待を集めていた。

2020年10月、2年生の日体大戦で

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だが、3年のシーズンが始まってみると、どうも調子が出ないことに気づいた。コンディションが上がらない。プレシーズンの自主練習が始まってまもなく、練習できる状態ではなくなった。つまり、3歳で物心ついた頃からずっと続けてきたラグビーをできない日々が始まった。

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