イングランドと南アフリカ敗れる。準決勝にはプール2位が3チーム進出!  | ラグビージャパン365

イングランドと南アフリカ敗れる。準決勝にはプール2位が3チーム進出!

2011/10/12

文●斉藤健仁


10月8日(土)から9日(日)にかけてニュージーランド(NZ)でラグビーワールドカップ(W杯)準々決勝4試合が行われた。NZ以外はプール2位のチームが3チーム勝利し、ベスト4へ進んだ。

準々決勝1-堅守の若き「レッドドラゴンズ」が1987年大会以来のベスト4に進出

アイルランド(プールC1位)10-22ウェールズ(プールD2位)

アイルランド代表主将CTBオドリスコル。チームを初のベスト4に導くことはできなかった……。

アイルランド代表主将CTBオドリスコル。チームを初のベスト4に導くことはできなかった……。

予選プールでオーストラリアに勝って1位通過したアイルランド。26歳のジョナサン・セクストンではなく34歳のベテランSOローナン・オガーラが先発。だが、前半20分までに3回あったPGのチャンスを狙わなかったことが後に大きな痛手に……。またオーストラリア戦で優位に立ったスクラムでも崩せず、CTBブライアン・オドリスコルとゴードン・ダーシーのコンビも効果的なゲインは少なかった。プール1位で通過した自信が過信になってしまったのか――。もっと愚直にPGで得点を重ねてほしかった。

一方のウェールズは組織的なディフェンスだけでなく、141回のタックルでミスは11と個々のタックルの精度も高かった(アイルランドは93回中14回がミス)。結局アイルランドに奪われたトライは1つだった。

 

また敵陣22mに入った時間もアイルランドは約15分に対し、ウェールズは半分以下の6分半でも3トライ。いかに効果的に攻めていたことがわかる。その中でも後半11分に大型SHマイク・フィリップスのサイド攻撃からのトライは試合の流れの中では大きかった(マン・オブ・ザ・マッチ=MOMはそのフィリップスが選出された)。また、伝統的にオープン攻撃の得意なウェールズ、ゲームを通してCTBジェームス・ロバーツとジョナサン・デービスの動きが目立っていた。

先発15人中25歳以下が9人。キャプテンのFLサム・ウォーバートンに22歳、NO8トビー・ファレタウは20歳、WTBジョージ・ノース19歳、FBリー・ハーフペニーは22歳。若き「レッドドラゴンズ」がこのまま勢いに乗りそうだ。

準々決勝2-決勝トーナメントに強いフランス。「フレンチフレア」が炸裂し、ライバル撃破

イングランド(プールB1位) 12-19 フランス(プールA2位)

準々決勝で敗退したイングランド。W杯でのSOウィルキンソンの勇姿は見納めか。

準々決勝で敗退したイングランド。W杯でのSOウィルキンソンの勇姿は見納めか。

W杯で優勝1回、準優勝2回を誇る世界ランキング4位イングランドと、準優勝2回とベスト4に入ること3回の8位フランスの対決。予選プールで唯一の2敗して決勝トーナメントに進出したフランスの方が劣勢と思われていた。

しかし、2007年大会の準々決勝でNZに勝利したように過去のワールドカップでも「大一番」で力を発揮していきたフランス。この試合では最初から、自由奔放なパスとラン、いわゆる「フレンチフレア」が爆発。前半にPG2本を決め、さらにWTBヴァンサン・クレールとFBマクシム・メダールがトライを取り0-16とリード。後半もイングランドの反撃をどうにか2トライに抑えて、結局12-19でフランスが逃げ切った。

イングランドはポゼッションこそ48%と互角だったが、テリトリーは43%、相手陣22m以内に入った時間も7分(フランスは約13分)と数字が示しているように、最後まで主導権を握ることができなかった。やはり持ち味のFWで相手を圧倒することができなかったことが大きかった(それを象徴するかのようにMOMはフランスNO8イマノル・アリノルドキが選出された)。またボールを展開しても、ミスがあり、なかなか得点に結び付けることはできなかった。

後半25分に、イングランドSOジョーニー・ウィルキンソンは途中交代。おそらく今大会が最後のW杯となるだろう。2003年W杯でイングランドに初めて優勝をもたらし「ラグビー界のデイヴィット・ベッカム」と言われたウィルコの時代が終わったように思えた。

 

準々決勝3-80分間耐え続けたオーストラリアが南アフリカを僅差で交わして準決勝進出

南アフリカ(プールD1位) 9-11 オーストラリア(プールC2位)

オーストラリア代表SOクーパー。動きが硬く、今試合では輝けなかった。

オーストラリア代表SOクーパー。動きが硬く、今試合では輝けなかった。

オーストラリアが予選プールでアイルランドに負けたため、優勝2回を誇る両チームが準々決勝で対戦することになった。

前大会の優勝メンバー11人が先発した世界ランキング2位の南アフリカが、やはり、やや自力では勝るのではと、思われていた。もしオーストラリアが勝利するのであれば、「スーパーラグビー」でレッズを優勝に導いた世界最高峰の23歳同士のハーフ団、SHウィル・ゲニアとSOクェイド・クーパーが機能した試合になるのではと予想された。

試合はオーストラリアが11分に主将のLOジェームズ・ホーウィルがトライを挙げて先制。だが南アフリカがラインアウトやキッキングゲームで優勢に立ち、終始主導権を握る。ただ、順目、順目に攻めてくる南アフリカに対してオーストラリアの、特にFW陣にタックル、そして2人目、3人目の寄りがすばやく正確だった。そのため、南アフリカは反則やターンオーバーを許してしまい、相手陣にいても得点に結び付けることができなかった。

タックルの回数は南アフリカ53回(うちミス11回)に対してオーストラリアは147回(うちミスは13回)、テリトリーは南アフリカ76%に対してオーストラリアは24%。そして相手陣22mに進入した時間は南アフリカ11分半に対して、オーストラリアは3分半。

数字から見れば南アフリカの圧勝だったが、勝者はオーストラリア代表ワラビーズだった。

MOMは、文句なしに終始、相手ボールに絡み続けた23歳のFLデビッド・ポーコックだった。181㎝と、決して大きくない体で、オーストラリアに白星をもたらす立役者に。そして、決勝PGを決めたのは、ランでも見せ場を作っていた21歳のWTBジェームズ・オコナー。厳しい試合でもヤングパワーがワラビーズを牽引した。また、23歳の若きハーフ団の調子が悪くても、最後まで使い続けたロビー・ディーンズの采配がこの後の勝負に生きてくる気がしてならない。

若手が活躍したオーストラリア。自慢のFW陣にベテランが多く、今一歩相手を圧倒できなかった南アフリカ。やはりワールドカップの連覇は難しいということを証明した試合でもあった。

 

準々決勝4-アルゼンチンが意地を見せたが、オールブラックスが隙を見せず快勝

NZ(プールA1位)33-10 アルゼンチン(プールB2位)

イーデン・パークで負けないNZ代表オールブラックス。準決勝も決勝も「聖地」での開催だ。

イーデン・パークで負けないNZ代表オールブラックス。準決勝も決勝も「聖地」での開催だ。

終わってみればNZ代表オールブラックスの快勝だった。だが、アルゼンチンは前半にフリオ・ファリアス=カヘージョがトライを挙げ強豪チームへ変貌をとげたチームであることを証明した。さらに後半20分まではディフェンスで粘りを見せ、十分に意地を見せた試合となった。ただし、キックの名手で前回大会の立役者の1人あるSOファン・マルティン・エルナンデス(ケガでスコッド入りせず)がいたら、もっとベテランの多いFW陣を楽にすることができたのでは、と思わずにはいられなかった。

一方のNZも先制トライは許してしまい、しかも後半27分までトライを取り切れないなど課題の多い試合だったと言えよう。それでもMOMに輝いたピリ・ウィップーがPGを7本決め、途中出場のSOアーロン・クルーデンが良いプレーを見せるなど一定の収穫もあった。

ただケガで離脱したSOダン・カーターの控えだったSOコリン・スレイドが左内転筋を痛め、さらに100キャップを達成したFBミルズ・ムリアイナも肩を骨折。その代わりにWTBホセ・ギア、SOステファン・ドナルドがメンバー入りする予定だ。ここに来てのケガ人が増えたことは、やはり不安要素となる。

準々決勝は大会前に決勝で当たると予想されていた宿敵オーストラリアとの対戦だ。1994年に南アフリカと引き分けて以来、NZはイーデン・パークで連勝を続けている。またオーストラリアには1986年以来、イーデン・パークで負けていないという。ホスト国NZが2回目の戴冠まであと2勝だが、果たして。

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