四国大が初昇格・追手門が残留・アルテミが降格―太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ入替戦 | ラグビージャパン365

四国大が初昇格・追手門が残留・アルテミが降格―太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ入替戦

2019/07/15

文●大友信彦


7月13-14日の2日間、横浜市の日本体育大学健志台キャンパスラグビー場で、太陽生命ウィメンズセブンズの入替戦が行われた。

出場したのは以下の6チーム
・追手門学院VENUS(シリーズ2019 総合10位)
・横河武蔵野アルテミスターズ(シリーズ2019 総合11位)
・四国大(リージョナルセブンズ2019 関東大会、関西大会優勝)
・名古屋レディース(リージョナルセブンズ2019 関東大会2位)
・ユニコーンズ(リージョナルセブンズ2019 関西大会2位)
・アザレアセブン(リージョナルセブンズ2019 関西大会3位)
※ユニコーンズは日体大のBチーム。

初日の13日は2組に分かれて1次リーグを行った。

◆プールA
追手門VENUS 35-0 名古屋レディース
ユニコーンズ 24-19 名古屋レディース
追手門VENUS 38-0 ユニコーンズ
①追手門VENUS ②ユニコーンズ ③名古屋レディース

◆プールB
アルテミスターズ 33-5 アザレアセブン
四国大 28-17 アザレアセブン
四国大 19-14 アルテミスターズ
①四国大 ②アルテミスターズ ③アザレアセブン

最も激戦となったのは初日の最終試合となった四国大vsアルテミスターズだった。

アルテミスターズは、オーストラリア遠征中のサクラフィフティーンに主将の南早紀をはじめ櫻井綾乃、小西想羅、加藤幸子、江渕まこと、村上愛梨、高野眞希、津久井萌、名倉ひなのと大量9人を輩出。創部2年目のチームとしては厳しい条件で入替戦へ。そこで、リージョナルセブンズ2大会優勝の四国大という最強のチャレンジャーと対戦した。

試合はアルテミスターズが立ち上がり、松尾綺子、高木萌結の連続トライ、高木萌結がともにコンバージョンを決め14点を先行。しかし四国大はハーフタイム直前に濱田梓がトライ、斉藤琴音がコンバージョンを返し、7-14と追い上げて折り返し。後半4分に黒田佑美のトライと斉藤琴音のコンバージョンで14-14の同点に追いつくと、同点のまま終了直前、四国大が井上藍主将がトライを奪いサヨナラ勝ちした。

この結果、来季のコアチームを決める2日目の準決勝の組み合わせは、残留をかけた追手門学院vsアルテミスターズ、互いに昇格をかけた四国大vsユニコーンズという組み合わせになった。

追手門①木下由美がアルテミ⑫斎藤亜里穂のカウンターを止め、ボールを奪う

追手門①木下由美がアルテミ⑫斎藤亜里穂のカウンターを止め、ボールを奪う

第1試合は追手門vsアルテミスターズの残留戦。
試合は序盤、攻勢に出た追手門の猛攻をアルテミスターズがしのぎ、ボールを奪取。敵陣を目指して前進を図るが、朝から降り続く雨も災いしてか、互いにハンドリングエラーが散発。互いに無得点でハーフタイムになるかと思われたハーフタイム直前、相手のアタックを止めた追手門が敵陣でボールを獲得、小林詩波のトライで先行した。

追手門・高木愛実のトライ

追手門・高木愛実のトライ

後半、先に点を取って追いつきたいアルテミスターズだったが、キックオフがダイレクトでタッチへ。ここから攻め込んだ追手門が相手ゴール前で大きくボールを動かし、ユニバ帰りの室越香南が値千金のトライ。阪本結花主将がコンバージョンを決め12-0とすると、4分にはエース高木愛実がトライ。

アルテミスターズも果敢にボールを動かすが、スリッピーなコンディションも災いしてかハンドリングが安定せず、得点できず。追手門学院VENUSが17-0で勝ち、来季のコアチーム残留を決めた。

残留を決めた追手門学院VENUS、本戦ではトップチームと肉薄した試合も多くあった。来季の活躍に期待。

残留を決めた追手門学院VENUS、本戦ではトップチームと肉薄した試合も多くあった。来季の活躍に期待。

追手門は今季の太陽生命シリーズで、1次リーグでは上位チームにもコンスタントに食い下がったが、ギリギリの戦いを続ける中で、相手の外国人選手の個人技にやられる場面が多かったが、この日は日本人で固めたチーム同士の対戦とあって、持ち味のパスでスペースを作るラグビーが実行できていた。雨天のコンディションにもかかわらず、最もハンドリングエラーが少なかったといっていい(本人たちはまだ不満だろうが)。

アルテミ・ダイナマンHC。入替戦に向けては「別チームとして準備していく」と戦前に語っていたが、残留することはできなかった。

アルテミ・ダイナマンHC。入替戦に向けては「別チームとして準備していく」と戦前に語っていたが、残留することはできなかった。

昨年、創部1年目で昇格を決めたアルテミスターズは、今季は日程の不運もあってわずか1年での降格となってしまったが、外国人選手に頼らずに、15人制を含めた日本代表を育成する姿勢、女子チームを持たない大学に在籍する選手の受け入れの面で日本女子ラグビーへの貢献度は大きい。太陽生命セブンズの舞台への復活はもちろん、このあとはじまる15人制シーズンでの活躍を期待したい。

第2試合は、昇格を目指す四国大とユニコーンズの対戦となった。
四国大は、昨春に入学した井上藍主将ら2年生以下のチーム。一方のユニコーンズは日体大の別動隊で、太陽生命シリーズを戦うトップメンバーとは別にチーム登録をして強化に励んできた。

準決勝第2試合に臨む四国大チーム円陣での井上主将。2年前のキャプテントークを思い出させた

準決勝第2試合に臨む四国大チーム円陣での井上主将。2年前のキャプテントークを思い出させた

試合は2分、四国大がハーフウェー付近のディフェンスでターンオーバーし、すぐさま拾った四国大FW井上主将が間髪を入れずカウンターに出て約40mを走りきり先制トライ。この試合も優勢に進めるかと思えたが、しかしユニコーンズはそこから反撃。

決勝の前半1分、四国大は井上主将が相手のこぼれ球を拾い猛ダッシュで走りきりトライを返す

決勝の前半1分、四国大は井上主将が相手のこぼれ球を拾い猛ダッシュで走りきりトライを返す

PKからの速攻で川路紗和が走りきって同点トライ。しかしインゴールで回り込もうとする川路を必死に戻った四国大ディフェンスが阻み、トライの位置は左中間。中野すずが狙った勝ち越しコンバージョンはポストに当たって外れる。トライを許しながらも回り込みを阻止して2点を防いだ福沢恵の値千金のファインプレーだった。前半はそのまま同点で終了。

準決勝②の前半、日体大の川路が同点トライを返す

準決勝②の前半、日体大の川路が同点トライを返す

後半も互いに滑るボールに苦しみ決め手を欠く攻防が続いたが、4分、相手ゴール前に攻め込んだ四国大がPKからのクイックスタートで攻め、福沢恵がねじこみ勝ち越しのトライ。黒田佑美のコンバージョンも決まり12-5と勝ち越す。

後半4分、相手ゴール前のラックを連取してトライ。コンバージョンも決まり12-5とリードする。

後半4分、相手ゴール前のラックを連取してトライ。コンバージョンも決まり12-5とリードする。

試合はそこからユニコーンズが猛攻に転じ、唯一の4年生で主将のFW大竹由花、昨季の石見智翠館の主将だったBK人羅美帆の仕掛けなどで攻め立てるが、四国大の防御は乱れず、ひたむきにプレッシャーをかけ続け、約1分間にわたってユニコーンズのアタックを止め続け、最後は相手反則を誘ってタイムアップ。7点差を守り切った四国大がそのままボールを蹴り出し勝利、来季の昇格を決めた。

守り切った四国大が12-5でユニコーンズを下しコアチーム初昇格を決めた。

守り切った四国大が12-5でユニコーンズを下しコアチーム初昇格を決めた。

新昇格を決めた四国大の井上主将は「去年のここ(入替戦)ではボロ負けして、その悔しさを持ち続けてここまでやってきた。来年はもう戻ってきたくない(下との入替戦には出たくない)」とニッコリ。2年前の入替戦では石見智翠館の主将として、ニュージーランド代表を並べたながとブルーエンジェルスに勝つという奇跡的な勝利を演じたカリスマ主将が、自ら新しい伝説を刻んだといえそうだ。

なお5-6位決定戦はアザレア・セブンが名古屋レディースとの東海対決を制して5位に。
3-4位決定戦はアルテミスターズがチーム最年少・青学大1年の高木萌結の3トライなどでユニコーンズを29-7に大勝。「上」の太陽生命シリーズを戦ってきた実力をみせた。

追手門と四国大という、すでに来季のコアチーム入りを決めた同士による決勝は、5-5の同点でサドンデスの延長戦に入る熱戦となったが、延長1分、追手門がエース高木愛実のトライでサヨナラ勝ちした。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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