関東女子ラグビー(15人制)大会が開幕。5チームによる熱き戦い | Rugby Japan 365

関東女子ラグビー(15人制)大会が開幕。5チームによる熱き戦い

2018/12/12

文●大友信彦


12月9日、第29回関東女子ラグビー(15人制)が開幕。千葉県柏市の麗澤ラグビー場で第1節2試合が行われた。

今大会には5チームがエントリー。連覇を目指す日体大女子と龍ヶ崎グレースは単独チームで参加。残る3チームは、横浜TKMと北海道ディアナ、湘南ベルマーレ、世田谷レディース、前橋レディースによる「Sweets」、横河武蔵野アルテミスターズ、アルカス熊谷、八戸学院大学による「アルカス八戸アルテミスターズ」、東京フェニックス、千葉ペガサス、ブレイブルーヴによる「フェニペガルーヴ」という混成3チームだ。

ディフェンディングチャンピオンの日体大は、横浜TKM、ディアナ、ベルマーレ、世田谷、前橋の混成チーム「Sweets」に圧勝。

日体大CTB古屋みず希の先制トライ

日体大CTB古屋みず希の先制トライ

開幕戦は、ディフェンディングチャンピオンの日体大と、日体大OGが多く所属する横浜TKMが主体の「Sweets」。

試合は日体大の優勢が予想されたが、ファーストスクラムで、サクラフィフティーンPR藤本麻依子を擁するSweetsが日体大エイトを猛プッシュでめくりあげてペナルティーを獲得。

28分、SweetsWTB平野がトライを返す

28分、SweetsWTB平野がトライを返す

日体大は6分、1年生CTB古屋みず希が相手BKのギャップに仕掛けて先制トライを奪うが、そこからSweetsが攻勢に。28分、サクラフィフティーンWTB平野恵里子が左隅にトライ。約8ヵ月のオーストラリア留学帰りで強さを増した平野のトライでSweetsが5−7と追い上げた。

積極的に仕掛けた日体大のSO山本主将

積極的に仕掛けた日体大のSO山本主将

日体大は、昨年の日本一メンバーからサクラフィフティーンのPR南早紀、NO8高野眞希、松尾綺子(横河武蔵野)らFWの主力が卒業。FWがボール争奪戦で試合を制圧してきた昨季までの強さは陰を潜めたようにも見えたが、試合が進むにつれて、ボールを動かすスキルの高さを発揮。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで年間MVPに輝いたSO山本実主将が、パスにキックを交えて相手ディフェンスにプレッシャーをかけ、34分にNO8永井彩乃、39分に再び古屋がトライをあげ、風下の前半を21−5とリードして折り返す。

スクラムだけでなくフィールドプレーでも存在感と質の高いプレーをみせたSweetsのPR藤本

スクラムだけでなくフィールドプレーでも存在感と質の高いプレーをみせたSweetsのPR藤本

日体大は、風上に回った後半は4分に山本主将が自らトライ。17分にPR細川恭子がトライをあげ、33−5と大きくリードする。

後半17分、トライを決める日体大PR細川恭子

後半17分、トライを決める日体大PR細川恭子


Sweetsも粘り強いディフェンスも、接点の強さでたびたびボールを奪い返すが、日体大のディフェンスも厚く、なかなか攻撃を継続できず、陣地を戻せない。日体大は35分、山本主将が冷静にPGを決め、終了直前には古屋が3本目、さらに2年生のCTB小林花奈子も駄目押しのトライ。50−5で初戦に圧勝した。

日体大1年生CTB古屋みず希は3トライのハットトリック

日体大1年生CTB古屋みず希は3トライのハットトリック



終了直前、日体大は小林花奈子がとどめのトライ

終了直前、日体大は小林花奈子がとどめのトライ

本来SHながらWTBで出場、ディフェンスにキックチェイスに高いワークレートをみせた日体大のルーキー秋山歩花

本来SHながらWTBで出場、ディフェンスにキックチェイスに高いワークレートをみせた日体大のルーキー秋山歩花

日体大は今季、サンウルブズや日本代表のアシスタントコーチを務めた田邉淳さん、プロのキッキングコーチの君島良夫さんの指導を受け、ゲームメークの幅が拡大。キックチェイスではWTBで起用された1年生の秋山歩花が果敢な走りでたびたびボールを再獲得するなど、進化の萌芽をみせた。

 

度重なるケガから復帰、後半登場で積極的なプレーをみせたSweetsのSO佐藤優

度重なるケガから復帰、後半登場で積極的なプレーをみせたSweetsのSO佐藤優

Sweetsでは、横浜TKM勢に加え、北海道ディアナのHO山あずさ、湘南ベルマーレのFL小杉陽香、WTB武藤さくらが先発。後半からは、来春に立正大を卒業、就職を機に北海道ディアナに移籍する佐藤優が出場。我孫子高校時代はU18日本代表で同期の山本実、櫻井綾乃や1学年下のライチェル、清水麻有ら高3/大学1年で日本代表入りした逸材揃いのチームをキャプテンとして率いた女子ラグビー界期待のゲームリーダーは、大学の4年間は負傷続きだったが、この日は高校3年以来という15人制の試合。本人は「まだ全然」と話したが、トイメンとなった山本は「優は仕掛けてくるからディフェンスで捨てられない。やりにくかったけどそれが楽しかった」と、ライバルの復活に拍手を贈っていた。

「アルカス八戸アルテミスターズ」は「フェニペガルーヴ」に大勝

横河はセットプレーで優位に戦った。ラインアウトを取るのはFL萬羽愛美

横河はセットプレーで優位に戦った。ラインアウトを取るのはFL萬羽愛美

第2試合は「アルカス八戸アルテミスターズ」と「フェニペガルーヴ」の対戦だったが、「アルカス八戸アルテミスターズ」は先発全員が大学生を含め、アルテミスターズに在籍。昨年8月の設立発表時は日体大から新卒で加入した創立メンバーの南、松尾、高野の3人だけだったが、活動停止したラガールセブンや、アルカス熊谷、東京フェニックスなど各チームから移籍した選手が加わり、設立1年でメンバーは高校生を含め27人に拡大した。

接点で前に出るアル・アルのLO村上愛梨

接点で前に出るアル・アルのLO村上愛梨

前半27分、安定したセットスクラムを起点にNo8高野眞希がトライ

前半27分、安定したセットスクラムを起点にNo8高野眞希がトライ

この試合では、サクラフィフティーンの江渕まこと、南早紀の両PRを擁するFWがスクラムでフェニペガルーヴにプレッシャーをかけ、SO青木蘭がNO8高野眞希、安藤穂花と杉江朋香の両CTBの縦突破を軸に攻撃を組み立てる。

小柄ながら鋭い加速とスペース感覚で前に出たアル・アルのCTB杉江朋香

小柄ながら鋭い加速とスペース感覚で前に出たアル・アルのCTB杉江朋香


しかしフェニペガルーヴも、8ヵ月のNZオークランド留学から帰国したFL鈴木実沙紀、右膝の負傷から復帰したNO8塩崎優衣主将を先頭に粘り強いタックルを反復。

試合はほぼ互角に進んだが、相手ゴール前に攻め込んだ場面ではセットプレーの圧力に優る「アルカス八戸アルテミスターズ」が一枚上手。前半は13分、相手ゴール前の密集からHO相川文が先制トライ。

26分に相手ゴール前スクラムで得たPKで再びスクラムを選択し、押し込んでからNO8高野がサイドを突きトライ。さらに38分に相川がもう1トライを加えて15−0。後半も3分、10分と高野が連続トライ。14分にはCTB安藤がトライを加え32−0とリードを広げた。

ラガールセブン活動停止の際は選手の移籍等裏方の仕事に尽力、度重なる膝の負傷から復帰し、2年ぶりの公式戦出場をはたした元サクラセブンズ/サクラフィフティーンのFB田中彩子

ラガールセブン活動停止の際は選手の移籍等裏方の仕事に尽力、度重なる膝の負傷から復帰し、2年ぶりの公式戦出場をはたした元サクラセブンズ/サクラフィフティーンのFB田中彩子

大きくリードされたフェニペガルーヴだったが、風下の後半に入ってから反撃。18分にPKからのクイックスタートで仕掛け、FL鈴木実沙紀が右隅に初得点となるトライ。

後半18分、フェニペガルーヴの初トライを決めたのは8ヵ月のNZオークランドへの留学帰りのFL鈴木実沙紀だった

後半18分、フェニペガルーヴの初トライを決めたのは8ヵ月のNZオークランドへの留学帰りのFL鈴木実沙紀だった


25分にはPKの速攻で仕掛けた塩崎が、相手ディフェンスと1対1となって判断よく相手ゴール前へキック。このキックに自ら追いついて復帰戦を飾るトライを決め、32−10と追い上げた。

後半25分、フェニペガルーヴのNo8塩崎主将が自らのキックを追ってトライ

後半25分、フェニペガルーヴのNo8塩崎主将が自らのキックを追ってトライ

長いリハビリを経た復帰戦でトライをあげた塩崎をチームメイトが祝福する

長いリハビリを経た復帰戦でトライをあげた塩崎をチームメイトが祝福する

 

安定したパスさばきで「アル・アル」の攻撃のリズムを作ったSH増本京子

安定したパスさばきで「アル・アル」の攻撃のリズムを作ったSH増本京子

しかし「アルカス八戸アルテミスターズ」には、セットプレーという拠り所があった。30分に相手スクラムをターンオーバーして安藤穂花がトライ。40分にも相手ゴール前のラックで南主将がねじこみ仕上げのトライ。途中出場したアルカスのFB田坂が2コンバージョンを決め、最終スコアは46−10で大勝した。

序盤に足を打撲しながらフル出場したアル・アルのPR南早紀主将。終盤にはキッカーも務めた

序盤に足を打撲しながらフル出場したアル・アルのPR南早紀主将。終盤にはキッカーも務めた



プレッシャーを浴びながらコンバージョンを決めるアル・アルFB田坂

プレッシャーを浴びながらコンバージョンを決めるアル・アルFB田坂


世界を驚かせた女子高生・津久井も後半、途中出場で「大学生デビュー」を飾った

世界を驚かせた女子高生・津久井も後半、途中出場で「大学生デビュー」を飾った

「アルカス八戸アルテミスターズ」では、昨年の女子ワールドカップアイルランド大会で高校生ながら世界のドリームフィフティーンに選ばれたSH津久井萌が後半20分から出場。4月の練習中に足首を痛め、セブンズシーズンは戦列を離れていたとあってこれが高校卒業後初の実戦だったが、持ち味のリズミカルなパスさばきを披露。先発した増本京子と2人のSHを擁するのはアルテミスターズの強みとなりそうだ。

ノーサイド。健闘をたたえ合うアル・アルの南主将(右)とフェニペガルーヴの塩崎主将(左)

ノーサイド。健闘をたたえ合うアル・アルの南主将(右)とフェニペガルーヴの塩崎主将(左)

関東女子ラグビー大会は2月17日まで、隔週にわたって開催される。

女子15人制関東大会は、ここから隔週で5節にわたって開催される。

第2節は23日(日)日体大健志台グラウンドにて、第1試合(12時)は初戦に勝った日体大とアルカス八戸アルテミスターズが、第2試合(13時45分)はフェニペガルーヴと龍ヶ崎グレースが対戦する。早くも優勝争い、そして会長杯(3月3日に小田原で開催される見込み。関東からは3チームが出場予定)を左右する注目対決となりそうだ。

以後、第3節は1月19日(土)に横河グラウンド、第4節は2月3日(日)に熊谷B、第5節は2月17日(日)に同じく熊谷Bで行われる。なお第4節は高校の部(7人制)も熊谷Cで併催される。

初戦を飾った日体大の山本主将はこの日が22歳の誕生日。ハッピーバースデー!

初戦を飾った日体大の山本主将はこの日が22歳の誕生日。ハッピーバースデー!



 

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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