サンウルブズ歴史的初勝利おめでとう! 勝因は「12番」に戻った立川のフル回転! | ラグビージャパン365

サンウルブズ歴史的初勝利おめでとう! 勝因は「12番」に戻った立川のフル回転!

2016/04/26

文●大西将太郎 構成●大友信彦


サンウルブズがやりました!スーパーラグビーにおける日本チームの歴史的な初勝利です。歴史を作ってくれた選手たちを心から祝福します。当日、僕は福岡で仕事があって、移動する新幹線の中で、Jスポーツのオンデマンドで観戦していました。山陽新幹線はトンネルが多くて、電波が悪くて、結構途切れ途切れになってしまいましたが……もちろん、あとでネット環境のよいところでしっかり見直しました。

ハル(立川理道)を12番に戻したことによって、能力がすべて活かされた

僕にとって、この試合で一番印象的だったのはハル、立川理道の活躍です。何よりも、ハルを12番に戻したことによって、能力がすべて活かされたし、ハルの能力が前面に出たことによって、チーム力が存分に活かされた。サンウルブズではずっと、10番がトゥシ・ピシ、12番がずっと田村優で来て、ストーマーズ戦とチーターズ戦はデレク・カーペンター、ハルはずっと13番でした。でも、今回はハルが慣れた12番に戻ったことで、生き返ったように見えました。

10番、12番、13番はフロントスリーと呼ばれ、同じ選手がこなすことも多い。僕自身、現役の間はどのポジションもやりましたが、実際にやるとだいぶ違うんです。

10番は最初にボールを受ける役目で、相手ディフェンスとの距離も一番近いから、考える時間が短い。早く判断しなければならないんです。キックのオプションもあるから、相手がかけてくるプレッシャーと向き合う度合いも一番高い。

12番は、その10番の判断や負担をサポートとする役目ですが、ボールをもらう順番からいって、考える余裕がある。ディフェンスの仕事は10番よりも回数が増えるけれど、どちらかというと、2人で司令塔を分担するというイメージです。

 

だけど13番は全然違う。


近年はNZなどで10と12を「インサイドバックス」13と両ウイング、フルバックを「アウトサイドバックス」と呼ぶことが多くなっているように、10、12と13とでは求められる役目が全然違う。僕のプレー経験、コーチ経験から言っても、13番はことディフェンスに関しては、現代ラグビーのBKで一番難しいポジション、いや、15人の中で一番難しいポジションと言ってもいいと思います。

特に、スーパーラグビーの13番は負担が多い。スーパーラグビーではどのチームもアタッキングラグビーを目指しているので、アウトサイドバックスにはどのチームもスピードランナーをそろえている。アタックとディフェンスの人数が合っているときは問題ないけれど、アタック側に数的優位を作られてしまったとき、13番の仕事は一気に難しくなる。外側ウイングとの2人で、相手のフルバックも含めた3人、場合によっては4人を見なければいけない場面が頻繁に出てくる。相手のスピードに合わせてこちらもトップに近いスピードで走りながら、流すのか詰めるのかを判断しなければならないのです。

この状態では、試合中に自分のエネルギーのかなりの部分をディフェンスに割かなければならなくなる。練習も含めて、ディフェンスのことを考えて、ディフェンスのことを話し合うことに時間を使わなければならない。必然的に、アタックに割けるエネルギーは減ってしまいます。

今回のジャガーズ戦に関しては、ハルが本来の12番に戻ったことで、アタックにエネルギーを集中できたことが大きかった。また、ディフェンスでも12番の方が思い切っていける。ジャガーズ戦のハルはディフェンスも素晴らしかったですね。そして、13番で負担の多い仕事をしっかりやりきったカーペンターも立派だったと思います。

キャプテンの堀江も素晴らしかった。惜しいところで負け続けて、チーム全体がキレてもおかしくない状況だったけれど、堀江はどんなときもポジティブな言葉を使ってチームを励まし続けた。サンウルブズというチームが高いアチチュードを保ち続けることができたのは、堀江の存在が大きかったと思います。ジャガーズ戦の終盤、タッチ沿いを走って相手ディフェンスと1対1になって、普段の堀江ならキックやバックフリップパスをしたような場面で、あくまで継続しようと内に入った場面があった。キャプテンの責任感を感じたし、時間と点差、ゲームの流れと内容にあったプレーを選択できる。改めてすごい選手だと思いました。

そして、僕にとっては同級生のキンちゃんこと大野均。最後にハルがトライしたときのキンちゃんの笑顔。久しぶりにあの笑顔を見られて、僕も本当に嬉しかった。

サンウルブズのみんなは辛かったと思いますよ。エディーさんにもいろいろ言われてたし。まあ、エディーさんはあえて奮起を促すために辛辣なことを言ったんだと思うけれど……でも、初勝利の相手がジャガーズ。新規参戦チームというよりも、ワールドカップで4強のチームですからね。本当にすごいことです。

しかし、ジャガーズは疲れていたかな。スーパーラグビーの全チームの中でも、ジャガーズはサンウルブズに次いで移動距離が長い。今回はNZでタフな3試合が続いたあとの試合でした。先週のサンウルブズのチーターズ戦と似ていたかもしれない。サンウルブズにとっては高地の空気の薄さが敵だったけど、23日の暑さと湿度はジャガーズにとって厳しかったんじゃないかなと思います。

そして、あまりスポットは当たっていないけれど、サンウルブズで分析を担当しているクリス・ミルステッドにも祝福を贈りたいです。昨季はずっと、豊田自動織機シャトルズのスタッフとして一緒に分析をしていたから、彼の分析力も人間的な魅力も、僕はよく知っています。現代ラグビーでは分析の役割は本当に大きい。クリスの働きなくして、サンウルブズの歴史的勝利はなかったと思います。クリス、本当におめでとう!

そしてサンウルブズの選手のみなさん、次のフォース戦も期待しています。連勝しましょう!

 

最後に、報告です。24日、同志社大のBKコーチに就任することを発表させていただきました。同志社には将来可能性のあるプレーヤーがたくさんいます、特にバックスには! 1人でも多くの選手が次のワールドカップの舞台に立ってほしいと思っています。その可能性と能力を最大限に出せるように自分も学生と共に成長していきたいと思っています。就任発表後、たくさんの激励のメールをいただき、やはり古豪復活を待ち望んでいらっしゃるというか、同志社のファンの方はたくさんいらっしゃるなぁと改めて感じております。

頑張ります!

 

大西将太郞
(おおにし・しょうたろう)

1978年、大阪府東大阪市生まれ。布施ラグビースクールでラグビーを始め、啓光学園高3年で全国高校大会準優勝。同志社大を経てワールドファイティングブル、ヤマハ発動機ジュビロ、近鉄ライナーズ、豊田自動織機シャトルズでプレーし、トップリーグ(リーグ戦)は通算143試合出場。日本代表には同志社大4年の2000年に初めて選ばれ、2008年サモア戦まで33キャップ。2007年ワールドカップのカナダ戦では終了直前に同点ゴールキックを決め、引き分けながら日本代表のワールドカップ連敗を止めた。2015年度終了後に引退。



 

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