「後悔のない、自分の決めた道を貫く」福岡堅樹、東京2020オリンピック7人制日本代表挑戦を断念。「ラグビーはまだ引退しない」 | ラグビージャパン365

「後悔のない、自分の決めた道を貫く」福岡堅樹、東京2020オリンピック7人制日本代表挑戦を断念。「ラグビーはまだ引退しない」

2020/06/14

文●編集部


14日、ラグビー日本代表、トップリーグ、パナソニックワイルドナイツ所属の福岡堅樹選手が東京2020オリンピック7人制日本代表への挑戦を断念することを決定、ウェブによる記者会見を行った 。

冒頭、福岡選手は以下のように、今回の決定に至った経緯、そして思いを話した。

「今回このような機会を設けていただき本当にありがとうございます。先日の発表にもありました通り、私はラグビー7人制日本代表からの引退を表明します。まずはこのオリンピックを目指すという挑戦を応援して頂いていたファンの皆様、そしてサポートしてくださっていたチームやチームの関係者の皆様には申し訳ないと思っています。このような結論に至った理由といたしまして、やはり自分の中で、本当に後悔したくない、後悔をしない人生を活きたいという思いが一番強かったからです。もともとアスリートとしてこの道を挑戦しようと決めたときから、ラグビー選手としての引退を考えていました。

その中で東京オリンピックの延期というものが囁かれ始めた時から自分の中ではどうするかっていうことは常に考えていました。自分の人生の中で今まで大きな決断をした時には、必ずどの選択が一番後悔をしないだろうかということを常に考えていました。今回の選択に関してもやはりそれが一番大きく自分の中で影響していて、この選択というものが自分にとって一番すっきりと受け入れることができるものでした。

自分自身は東京オリンピックの7人制のメンバーから離れることになりましたが、残されたメンバー達と共に一緒に同じチームメイトとして応援したいと思っています。

最後になりますが、まだ今回でラグビー選手としての引退っていうわけではありません。実際に次のトップリーグではパナソニックワイルドナイツの一員として自分らしい最高のパフォーマンスができるようにしたいというふうに前向きに検討しています。これからも応援よろしくお願いします以上です。」

所属するパナソニックワイルドナイツ、ロビー・ディーンズHCもコメントを寄せた。


「この一年は平凡とはかけ離れた日々でした。ラグビーワールドカップ2019で我々は日本代表の素晴らしいパフォーマンスを目にし、なかでも福岡堅樹選手は格別の輝きを放ち素晴らしい選手があることを世界に証明しました。パナソニックワイルドナイツは福岡選手の東京オリンピックに向けてセブンズ挑戦を表明した際に彼の決断を全面的にサポートしました。しかし新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックは延期となり、本日福岡選手は医学の道に進むために来年のオリンピックに挑戦しない意思を表明します。

この決断がどれほど難しかった彼は我々も理解しており彼の意思を尊重したいです。福岡選手は素晴らしい選手であるとともに周囲に良い影響を与えられる人です。そして幸運なことに我々は来年のトップリーグの舞台でもう一度福岡選手のプレーを見ることができます。パナソニックワイルドナイツと彼のサポーターは福岡堅樹選手が来年のトップリーグに出場してくれることを非常に楽しみにしており、良い形で医学の道へ送り出してたしてあげたいと思っています。」


福岡選手自身が話すように、「ラグビー選手を引退」するわけではなく、来シーズンのトップリーグで彼の華麗なプレーを私達は見ることができる。

新型コロナウィルス感染拡大予防のため、開始時期などは未定であるなかで「先はどうなるかわからないし、断言できない」(福岡)としながらも、トップリーグについては

「まずしっかりとトップリーグが開催されれば、そこに向けて自分としてはしっかりと準備をしていきたいと思います。もちろんやるからには、必ず優勝を目指したいと思っていますし、まだこのチーム、パナソニックワイルドナイツとして自分自身は優勝を経験していない。本当にそこで後悔がないように、最後、チームのみんなと笑って終われる、そういうシーズンにしたいなと思っています。」

と思いを話した。

15人制代表の引退表明同様に、今回の断念も決意は硬い。
前回のリオ大会では無念の4位。自国開催の東京大会ではメダルを狙いたい気持ちも合ったのではないか。


「もともとリオデジャネイロオリンピックの方に挑戦させて頂いた時には、4位という、それでも今までの7人制日本代表の結果としては、本当に今までで最も良い成績を収めることができました。でもやはりオリンピックという舞台ではメダルを取るか取らないか、そこの大きな違いを実際に帰ってきて実感させられたのでそういう意味では今回こそは必ずメダル取りたいって思いで準備をしていました。ですので、挑戦をしないで辞退するということ関しては多少の悔いは残るとは思っていますが、自分自身が挑戦しなくても後に残されたメンバーでも本当にたくさんの素晴らしい選手たちいます。彼らがきっとメダルをとってくれると信じて僕は応援したいと思っています。」


今回の断念は、予測不可能な状況でそれでも自分が決めた人生設計、プランを遂行できた背景にあるものは一体何だったのだろう。

「実際に、(新型コロナウィルス感染拡大により東京2020が延期することが)決まった時には自分の中で割とすんなりと受け入れることができました。自分の中で『自分はこういう運命だったのかな』っていう風に受け入れることができたので、あまりその落胆であったりというのは感じませんでした。」


簡単ではなかった決断。7人制日本代表HC、岩渕健輔氏は、そしてチームメイトはどんな声を福岡選手にかけたのだろうか。


「東京オリンピックの延期が決まった時点で直接岩渕(HC)さんとお話をさせていただきました。その中で本当に自分の選手個人としての人生を応援する、っていう風に直接言って頂けた事はやっぱり自分がこの選択をする上でもちょっと後押しになっています。また同期であったり本当にたくさんのチームメイト達からも、残って欲しいっていう風に言っていただいたりとか、頑張れよっていう風に背中を押してくれたり、本当に様々な反応がありました。本当にそれぞれが僕にとってはすごくありがたい言葉でしたし、本当にセブンスっていうのは人数も少なくて、(15人制)よりファミリー感の強いものでもあるので。本当にこのチームを応援したいなって思えるようなそういう言葉をいただきました。」


多くの高校生、大学生に対して難しい決断をした福岡選手だからこそいえるアドバイスは、という質問に対して以下のようにエールを送った。


「上を目指したいという若い選手たちは、アピールの場がなくなったりしてすごく辛い思いはしてると思います。ですが、やっぱり自分の力ではどうしようもないコントロールできないことに関しては仕方がないと受け入れて、その中で今の自分に何ができるかということをしっかりとして、そのためのアピールをすること。動画でのアピールも一つの手段だと思います。色々な状況の中でしっかりと自分にできることを考えて自分の道を調べていけたらそれが一番いいのかなと思います」



新たに目指す「医療への道」どんな「医療人」を目指しているのか。


「今のところまだ自分の中でははっきりと明言することはできません。実際に自分がこれから医学を学んでいく中や研修医として経験していく中で色々と変わることでもあると思います。ただ、自分自身の経験というものは生かしたいと思っています。アスリートとしてトップレベルでやってきたこの経験は自分にとってのアドバンテージとして何か活かせるような分野ではやっていきたいなと思っています。アスリートとしてやってきたからこそ、その気持ちというものも分かるということもあります。怪我を治すことだけではなく、精神的な部分メンタル面にもしっかりと寄り添ってあげられるような、そういうお医者さんになれたらいいなという思いはずっと持っています。」

福岡選手にとって、ラグビー選手として「やり残したこと」はないのだろうか。


「後悔ってものはラグビーに関してはありません。もちろん今回のオリンピックへの挑戦ってことに関しては少し心残りはありますが、だからといってそれがラグビーからセカンドキャリアに進むという段階で、何か後悔があるかっていうとそこはしっかりと後悔はしていないといえます。」


セブンズでの思い出のトライ、セブンズでの経験が選手としてプラスになったことはあったのだろうか。


「正直、あの、セブンスであまりトライを取れていないのでやはり記憶に残るトライというものはあまりないです(笑)。記憶に残る試合という意味ではやはりリオデジャネイロオリンピックの初戦、ニュージーランド戦ですね。あの試合で勝ったことが4位につながったと思いますので最も記憶に残ってる試合にはなります。7人制を経験したことで、自分のプレー選択の幅も広がりましたし自分にとってはもともと苦手であったスプリントを何度も繰り返すということも、7人制の激しいきついトレーニング中で培うことができました。そういう点で自分自身のプレーは大きく成長することができたと思っています。」



ワールドカップ終了後のトップリーグ2020で見せたスーパープレーの数々。それを見るだけで、チケット代を払った価値がある、そう思わせてくれた福岡選手。もう日本代表のジャージを着た姿を見ることはできない。だが、「後悔のないラグビー人生の最終章」。それはパナソニックワイルドナイツの優勝。そこにむかって、歩み始めた。

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