27日、ジャパンラグビートップリーグ2021第2節、東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズの一戦が、秩父宮ラグビー場で行われた。東芝は、前節トヨタ自動車と対戦し、33-34と1点差で破れた。真骨頂であるモール、スタンディングラグビーで負けはしたもののチームとして自信につながる試合だった。一方、クボタは43−17で宗像サニックスに快勝。今季は南アフリカ代表、マルコム・マークスが新加入。LOルアン・ボタ、FLピーター・ラピース・ラブスカフニとFWに厚みが増した。FWにはプライドがある東芝とどんな試合が繰り広げられるか注目された。
2021/02/28
文●編集部

小川、徳永に代わりゲームキャプテンを務めるリーチ・マイケルを先頭に入場する東芝
試合は、クボタがセットプレーを圧倒。東芝は自陣で貼り付けとなり防戦一方の展開となる。FW戦を優位に進めるクボタはSOバーナード・フォーリーがプレッシャーの少ない状態でボールを受けると空いたスペースへ精度高いキックでゲームをコントロール。CTB立川理道も縦のアタックで確実にゲイン。ゴールに迫った。



19分、クボタはゴール前のラインアウトからドライビングモール。ボールを持つのはマークス。東芝は、No8山本紘史がモール内で対抗し前に進ませず、ラックアンプレヤブルでクボタボールのスクラムとなる。

運動量の多いマークス、大外にいて一気にゴール前へ
SH井上大介は、CTB立川理道を走らせポイントを作ろうとするが、オールブラックスの東芝FLマット・トッドがボールをもぎ取りターンオーバー。東芝はすぐにキックを蹴らず、BKに展開。自陣22mを出たところまでボールを運んだところで、CTBタマニバルが外に押し出されて、クボタのチャンスは続く。
直後のラインアウトからクボタはWTBタウモハバイホネティがゲイン。22m内側までボールをキャリー。5フェイズ目、クボタは左サイドへ展開し、ボールは大外にいたマークスへ渡りさらに前進。5mライン付近でポイントができる。

ゲラードに対して、松岡久善がタックル。見事な集中力だった。
SH井上は右オープンサイドへ展開。FWで2フェイズ、東芝ディフェンスを集めてからすぐさま順目にBK展開。SOバーナード・フォーリーのロングパスが大外のWTBゲラード・ファンデンヒーファーにつながり、突破したかと思われたが、東芝WTB松岡久善が必死の戻りで足元へタックル。一発で倒しゲインを許さない。

攻撃の勢いをとめたくないクボタは左サイドへ展開。FW、BKが一体となって止めどもなく繰り返される攻撃に東芝もしっかりと対応するが、ついに14フェイズ目、「スペースが空いたのが見えた」(立川理道・クボタ)。井上からの絶妙なタイミングでパスをうけた立川が体をねじりながら執念のトライ。ようやくこの試合初めてスコアが動いた。見ごたえある両チームの攻防に会場も熱気に包まれた。



29分、東芝は敵陣ゴール前のラインアウトでプレッシャーをかけて、ノットストレートのミスを誘う。東芝ボールのスクラムとなるが、今度はクボタFW陣がプレッシャーをかけて東芝はボールをキープできないがクボタのノックオンで再び東芝ボールのスクラム。東芝はボールをキープしながらアタックを繰り返すが、クボタの出足鋭いディフェンスに食い込まれて、前進するどころか押し下げられてしまう。

岸岡に対してアドバイスを送るライアン・クロッティ
それでも31分、相手のフリーキックからのリターンアタックで、CTBティム・ベイトマンのオフロードパスを受けたWTB桑山聖生がハンドオフで相手ディフェンダー3人を抜き去りインゴールへ。パスを受ける直前のプレーでオブストラクションの反則があったとしてトライは認められず、前半、東芝はノースコア。7−0とクボタがリードして折り返した。

風下の前半をリードして折り返すことができたクボタ。後半は風上となりキックを使ったエリアマネジメントでゲームをコントロールする
後半、いきなりスコアが動く。クボタのSOフォーリーが風上となった利点をいかして、自陣22m内側からのロングキックで一気に敵陣22m内側までボールを戻す。東芝はFB豊島が対応。クリアキックを蹴るも、タッチに出しきれずフォーリーがハーフウェイ付近でボールをキャッチ。

フォーリーの的確な判断と精度髙いキックでエリアを制圧した。

金がリーチとのボール争奪戦に競り勝ちトライ
フォーリーが仕掛けて、相手ディフェンダー2人を引きつけた状態でWTBゲラード・ファンデンヒーファーにパス。詰めてきたディフェンダーに対して、ゲラードが裏のスペースへショートパント。インゴールへ弾むボール、チェイスするのは東芝リーチとクボタ、金秀隆。ボールをキャッチしたのは金。まさに一発の攻撃でクボタが後半最初にスコア入れリードを広げた。


追いかける東芝は、5分、12分にペナルティーを犯し2本のPGを決められ、27−0と苦しい展開。クボタの強力FWの勢いを止めることができない。さらに16分、東芝はWTB桑山聖生から、大外にいたリーチへのパスをクボタSH井上大介がインターセプト。井上にそのままトライを決められ0−27と大きく突き放された。

さらに23分、クボタはLO青木祐樹のジャッカルから敵陣ゴール前のラインアウトのチャンス。ドライビングモールで押しきって、HOマルコム・マークスがトライ。32−0とし勝負を決めた。


このままでは終われない東芝は、クボタのディフェンスミスからできたアウトサイドのスペースをFB豊島が走り抜けトライを決めるもこの1トライのみ。

クボタは39分にも、リザーブで出場したSO岸岡智樹が相手の隙をつく、リスタートで、FLトゥパフィナウのトライを演出。結局、39−7でクボタが快勝。前節に続き、ボーナスポイントを含む、勝ち点5を獲得。次節は、元スコットランド代表SOクレイグ・レイドローが加入したNTTコムと対戦する。

クボタ・岸岡がキックを蹴り出し試合終了
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MEMBER_東芝

MEMBER_クボタ
