トップリーグ開幕直前・府中ダービーレポート―リーチ、バレットが初登場。 | ラグビージャパン365

トップリーグ開幕直前・府中ダービーレポート―リーチ、バレットが初登場。

2020/12/27

文●大友信彦


2020年12月26日、トップリーグ開幕を3週間後に控え、サントリーと東芝が府中市内でプレシーズンマッチ(練習試合)を行った。これは、同じ府中市内にホームグラウンドを置く両チームが開幕前、ほぼ毎年実施しているプレシーズン恒例のイベント。今回はコロナ感染拡大中ということもあり無観客で、場所も公表せずに行われた。

試合前、ウォームアップするボーデン

試合前、ウォームアップするボーデン

東芝は、6月に「頭から足首まで全身あちこちを」(本人)手術したリーチマイケルが先発6番フランカーで久々の実戦復帰。サントリーでは12月1日に来日、2週間の自主隔離を経て15日にチームに合流した現役オールブラックスSOボーデン・バレットがリザーブで初めてメンバー入り。見所の多い試合となった。

CTB12中村主将からCTB13ケレビへのパス。TLでのケレビの突破力が楽しみだ

CTB12中村主将からCTB13ケレビへのパス。TLでのケレビの突破力が楽しみだ

試合は前半2分、サントリーがCTBサム・ケレビの豪快なトライで先制。SO田村煕のコンバージョンも決まり、サントリーが7点を先行。

前半、リーチが左サイドを快走

前半、リーチが左サイドを快走

直後、東芝はリーチが左サイドを豪快に突破するが、オフロードパスが惜しくも繋がらずにトライならず。それでも直後に敵陣でのブレイクダウンでPKを奪うが、タッチキックが直接インゴールに入ってしまいチャンスを生かせない。直後、逆に攻め込んだサントリーはラインアウトからテンポ良くボールをつなぎ6番ツイヘンドリクスが左隅にトライ。難しいコンバージョンを田村が決め14-0とする。

リーチはラインアウトでもワークレート高く働いた

リーチはラインアウトでもワークレート高く働いた

東芝はサントリー陣深くに攻め込んでもラインアウトで再三ボールを失うなど得点機をなかなか生かせない展開が続いたが、17分、相手ラインアウトでノックオンを誘って得たスクラムからのアタックでFB豊島翔平、CTBセタ・タマニバルがラック、ボールを拾ったSH小川高廣共同主将が一瞬サイドへ持ち出すダミーを見せて飛び込み初トライを返す。自らコンバージョンも決めて14-7。

前半36分、東芝WTB松延のトライ

前半36分、東芝WTB松延のトライ

26分、サントリーはNo8テビタ・タタフが強烈なハンドオフで相手タックラーをはね飛ばして左隅にトライ。田村が再び難しいコンバージョンを決め、21-7。

リードされた東芝は、キックオフ直後の相手キックをチャージして敵陣ステイに成功。相手ゴール前に攻め込んでスクラムでプレッシャーをかけ反則を誘っては再びスクラム。なかなか得点を取り切るところまではいかなかったが、FW戦にこだわって体をぶつけ続け、36分、右隅にWTB14松延泰樹がトライをあげる。SH小川が難しいコンバージョンを決め21-14。

東芝の共同主将の一人、SH小川は2度のコンバージョンをキッチリ成功。得点源として活躍が期待される。

東芝の共同主将の一人、SH小川は2度のコンバージョンをキッチリ成功。得点源として活躍が期待される。

サントリーは39分、敵陣ゴール前に攻め込んだスクラムからフェイズを重ね、FB尾崎晟也のロングパスを受けたWTB14中野将伍が右隅にトライ。田村がここでも難しいコンバージョンを決め、28-14として前半を終えた。


途中出場のサントリーLO辻。アグレッシブさをアピールした

途中出場のサントリーLO辻。アグレッシブさをアピールした

後半、東芝はリーチに替えて山本紘史が入ったのをはじめ、FBに桑山聖生、SHに高橋昴平、CTBに渡邊太生らを投入。サントリーもPRを森川由起乙、セミセ・タラカイに替え、10分にはLO辻雄康も投入するなど、両チームとも積極的に選手交替を敢行していく。

FW戦は前半の途中からスクラムで東芝が優位を占めるようになり、メンバー交代を経た後半もその流れは変わらなかったが、スクラムでPKを取ったあとのラインアウトが安定を欠き、なかなかトライまで持ち込めない。

サントリーは13分、右サイドを突破したWTB中野将伍からFB尾崎晟也につないだボールをFL7ショーン・マクマーンがフィニッシュ。田村のコンバージョンも決まり35-14とする。

サントリーSO田村煕。積極的なゲームリードをみせた

サントリーSO田村煕。積極的なゲームリードをみせた

そして16分、サントリーはSO田村に替えてボーデン・バレットがいよいよ日本デビュー。22分にはSH齋藤直人、CTB梶村祐介も投入するなど、フレッシュレッグスを次々とピッチへ送り込んだ。


しかし、このあとゲームの主導権を握ったのは東芝だった。スクラムで圧力をかけ、反則を誘っては敵陣に侵入。前半は不安定だったラインアウトも徐々に安定。27-30分にかけては、サントリーをゴールラインに釘付けにして、20フェイズ以上にわたる連続攻撃を仕掛け、サントリーに圧力をかけ続けた。

結局、最後はトライラインを割ることができず、サントリーディフェンスがノットリリースザボールの反則を勝ち取るのだが、No8徳永祥尭共同主将は「レベルの低い話ですが、決め手を欠いたとは言えあそこまでフェイズを重ねて攻め続けることができたのは自分たちにとって自信になった。昨シーズンまでだったら、あそこまでフェイズを重ねる前にターンオーバーされていたか、ミスでボールを落としていた」と、むしろポジティブに振り返った。

プレシーズンマッチは結果がすべてではない。本番に向けて有意義な材料を得られれば、たとえミスでもポジティブな要素になる。
とはいえ、この試合の流れ自体は、そこからサントリーに傾いた。
主役は、この日が日本デビューとなったラグビー王国の貴公子・ボーデン・バレットだった。

後半33分トライを決めるボーデン

後半33分トライを決めるボーデン

自陣深くでボールを持つと、右前方にスペースを見つけ、猛然とダッシュ。186センチの長身を折り曲げるように前傾して一気に加速してディフェンスを突破。インサイドをサポートしたSH齋藤直人にパスを出し、その齋藤がタックルされるとまたリターンパスを受け取り、そのままインゴール右中間へトライ。自らコンバージョンも決めて42-14とリードを広げると、続く37分にも同じように右サイドを攻略。

ゴールキックも丁寧に決めた

ゴールキックも丁寧に決めた

 

37分にはタックルされながら見事なボールコントロールでオフロードのラストパスを通しセミセのトライをアシスト

37分にはタックルされながら見事なボールコントロールでオフロードのラストパスを通しセミセのトライをアシスト

最後は相手タックルを呼び込みながら脇の下越しにパスを出してPRセミシ・タラカイのトライをアシストだ。出場時間は24分と短いながら、1トライ1アシスト。日本デビュー戦は短時間、無観客のもとでの出場だったが、この先のシーズンでの活躍を十分に予感させるパフォーマンスだった。

試合後、チームメートと健闘をねぎらい合うボーデン

試合後、チームメートと健闘をねぎらい合うボーデン

 

試合後、取材に応じた東芝の小川、徳永の両共同主将

試合後、取材に応じた東芝の小川、徳永の両共同主将

試合後、東芝の共同主将2人とリーチマイケルは距離を取った上でメディアに対応。

小川共同主将は「開幕前にこれだけいかれて目が覚めた。これから開幕に向けて、いいモチベーションをもらった」。徳永祥尭共同主将は「点差はついたけれど、いいプレーも多かったし、マインドセットを含めてポジティブに取り組んでいきたい」などとコメント。

ボーデン・バレットのパフォーマンスについて、東芝の小川共同主将は「常に余裕を持ってプレーしている印象だった」、徳永共同主将は「個人でも持って行けるし、オフロードでつないでいくのもうまい」と舌を巻き、リーチマイケルは「短い時間でもボールタッチのたびにチームにいい影響を与えていた。彼のプレーをみてサントリーの選手も真似をするだろうし、サントリー以外の選手、ファンにも、日本のラグビーにいい影響を与えると思う」とたたえた。

東芝とサントリーはTL第4節、2月6日に秩父宮ラグビー場で対戦する。なお、サントリーのボーデン・バレットは年明け6日に来日記者会見を行う予定だ。

 

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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