20日に開幕したジャパンラグビートップリーグ2021。愛知県、瑞穂ラグビー場で行われた注目のカード、トヨタ自動車ヴェルブリッツと東芝ブレイブルーパスの試合は前半優位に試合を運んだトヨタと後半1点差まで迫った東芝。勝者はトヨタ自動車だったが、東芝の選手にはノーサイド後、チームとしてやるべきことが明確になり自信につながる試合となった。80分をたっぷりと振り返る。
前半いきなりトヨタ自動車のサインプレーが決まった

WTBヘンリー・ジェイミーのトライでトヨタが先制。
トヨタのキックオフで試合が開始。東芝はいきなりCTBティム・ベイトマンのビッグゲインで自陣からハーフウェイまでボールをキャリー。ラックアンプレヤブルで東芝ボールのスクラム。SH小川高廣が裏のスペースへキック。トヨタ陣内22m内側へ入り込む。

FBウィリー・ルルー
トヨタはFBウィリー・ルルーが蹴り返し、ハーフウェイまでボールを戻し、東芝がアタック。ハーフウェイ付近でトヨタLO秋山大地がジャッカルでPKを獲得。SOライオネル・クロニエがPKで敵陣に入ると、直後のラインアウト。トヨタはサインプレーでWTBヘンリー・ジェイミーが内側のスペースを抜けゴール中央にトライ。クロニエのコンバージョンキックも決まって7-0。

ディフェンス3人を交わし突進するNo8山本
5分、東芝はテンポよいアタックでフェイズを重ね、CTBベイトマンからパスを受けたNO8山本浩輝が縦に突破、5mラインまでボールを運ぶ。東芝は左サイドに攻め込みディフェンスを集め、右サイドへキックパス。ベイトマンに対して、トヨタFBウィリー・ルルーのディフェンスで抑え、東芝にアドバンテージが適用され、ゴール前ラインアウト。FLマット・トッドにボールをもたせるが激しいディフェンスでノックオン。チャンスを活かすことができなかった。

80分通して、アタックでも存在感をみせたCTBベイトマン


LO梶川喬介
11分、東芝はFLリーチ・マイケル、LO梶川喬介とFWでゲイン。22m付近の攻防が続くが、マット・トッドがボールキャリーでラックが形成。ボールがラックからこぼれたところルルーがボールを奪ってそのままインゴールへトライ。14-0とトヨタがリードを広げる。

マット・トッドに対して、13番トンプソン、14番高橋が間合いを詰めて前進を許さない。

ラックへのカバーリングが遅れた東芝。ボールがラックからこぼれたとレフェリーがジャッジ。それを確認してFBルルーがボールを奪う。

ルルーがそのまま走りきりトライ。

21分、東芝は敵陣5m付近でのマイボールスクラム。スコアにつなげたい場面でトヨタのFWが奮起。スクラムでプレッシャーをかけPKを獲得。「FWサンキュー」という言葉がBKから懸けられる。

茂野がゲイン
ピンチを脱したトヨタは、自陣から茂野、キアラン・リードがビックゲイン。さらにWTB高橋汰地がつないでゴールまで数mとする。さらにその後のトヨタのアタック。東芝は我慢強くディフェンスしスコアを許さない。

リードに繋がり敵陣へ。
それでもトヨタの攻撃が続く。25分、敵陣22m手前のラインアウトをキープしラックを作ると、茂野から秋山そして秋山が内にボールをかえしFL佐藤穣司がブレイク。LOアラダイスが繋いでポイントを作ると茂野が右ショートサイドへすぐさま展開。クロニエ、そして右端にいたNO8タウファ・オリヴェにわたり右隅にトライ。難しい角度のコンバージョンをクロニエが落ち着いて決め21-0とトヨタがリードを広げた。

NO8オリヴェのトライでトヨタがリードを広げた
それでも直後の28分、トヨタのオフサイドからチャンスが転がり込む。ゴール前のラインアウトがドライビングモール。トッドがトライ。小川のコンバージョンも決まって7-21と1トライかえした。

「これぞ東芝!」と思わせるドライビングモールでFLトッドがトライ
33分、トヨタは敵陣22m内側でPKを獲得するとショットを選択。クロニエが難なく決めて24-7とリードを広げる。
前半も残り少なくなり39分、東芝が敵陣22m内側でラインアウト。再びドライビングモールでゴールに迫るもトヨタはモールからボールを出させずパイルアップ。スコアを許さずそのまま前半が終了。
後半、東芝の怒涛の攻撃
後半は東芝のキックオフでスタート。トヨタはキックオフボールをNO8リードがキャッチ。ボールをパスしようとするところ、東芝CTBタマニバルがタッチし、ルーズボール。タマニバルがそのボールをキャッチしインゴールへ走り込みノーホイッスルトライかと思われたが、TMOの結果、東芝のノックオンという判定で認められなかった。

直後、トヨタはWTBジェイミーがビッグゲイン。一気に東芝陣内22m付近まで攻め込む。ここで東芝はオフサイドのペナルティー。トヨタはショットを選択。クロニエが決めてトヨタが27-7とする。

クロニエのPGfで27-7とリードを広げた。
東芝は前半同様、トヨタ陣内に攻め込むも中々トライが奪えない。後半9分、ゴール前ラインアウトからモール。NO8リードに絡まれボールが出せずアンプレヤブル。するとここで、トヨタはFBルルーがHIAの検査のため交代。そのタイミングで、マイケル・フーパーが投入される。

元オールブラックスキャプテンのキアラン・リードとワラビーズキャプテンのフーパーが同じスクラムを組むという歴史的な瞬間が訪れる。東芝はスクラムでフリーキックを獲得。マイボールの状態でスクラムを選択。直後、CTBタマニバルがゴール右にトライ決め14-27とし追撃を開始。

東芝WTB松岡久善
15分、東芝は敵陣10m先のラックから左オープンサイドへ展開。トッドがディフェンス2人をひきつけてWTB松岡久善にオフロードパス。松岡は前方のスペースへ走り込みゴールまで数m。さらに、ストラトンがピックしてグラウディングしようとするが、リードとクロニエが止める。ゴール前の攻防でトヨタがブレイクダウンでボールをターンオーバー。しかし、ラックからこぼれたボールに対して、素早く反応したSHジャック・ストラトンが抑えトライ。中尾のコンバージョンも決まり21-27とついに、6点差に迫る。

迫られたトヨタは、次のキックオフからキーモーメントが訪れる。クロニエが右サイドに高く蹴り上げらたボールを、WTB高橋がジャンピングキャッチ。マイボールとして攻撃を開始。滑川は順目に展開。パスが乱れ、アンストラクチャになった場面でCTBロブ・トンプソンがもう一度22mライン付近にポイントを作る。



HO加藤竜聖
PR浅岡、FL佐藤、そしてHO加藤竜聖とつながり、再び高橋へ。高橋がそのままトライ。トヨタにとっては貴重な追加点となった。再び34-21となり残り20分。東芝の猛攻は続いた。

HO加藤から高橋へ。

後半20分、ハーフウェイ付近の東芝ボールラインアウト。トヨタがブレイクダウンで食い込まれノットロールアウェイ。東芝がPKでゴール前ラインアウト。モールからボールをだしてゴール前の攻防。トヨタもノーペナルティーで必死のディフェンス。11フェイズ目、ラックアンプレヤブルで東芝ボールのスクラム。

トヨタはチャーリー・ローレンスのパスダミーからパスを受けたフーパーがゲイン、東芝陣内に攻め込む。22m内側まで入りリードからジェイミーへのオフロードが通らずノックオンタッチ。東芝が自陣22m内側でマイボールスクラム。FB豊島翔平が自陣10mまでステップを切って挽回。さらに直前から登場したルーキー桑山淳生もゲインしハーフウェイ付近。さらに、ベイトマン、タマニバルの見事な連携で敵陣へ。右サイドへ展開し、リーチのオフロードパスを受けた桑山がつないでゴールまで5m。ストラトンが左サイドへ展開。流石にトヨタディフェンスもラインが崩れ、大外にいたFLシオネ・ラベマイがトライ。自陣から攻撃を止めることなく、立ってボールを繋いた見事なトライだった。

中尾のコンバージョンは決まらずスコアは25-34。70分、ついにこの瞬間が訪れる。東芝ゴール前でフーパーがトップリーグ初のジャッカルが決まりトヨタボールのスクラムへ。残り10分ない中でこの時間の失点は東芝にとって致命的となるだけに何としても防ぎたいところ。トヨタがノックオンで東芝ボールのスクラムに。

フーパーがトップリーグ初のジャッカル

自陣から攻める東芝。豊島が相手に絡まれながら立ってボールを繋ぐとWTB桑山聖生が自陣10mまでキャリー。ストラトンが絶妙なタイミングで桑山(淳)にパス。スペースへ抜けると一気に敵陣10m。もう一度桑山(聖)へパスを返し、トッド、さらに桑山(淳)とつながりゴールまで10m。東芝にオフサイドのアドバンテージがだされる。東芝は休むことなく、右オープンサイドへ展開。22m付近でボールをもったリーチが、3人のディフェンスを交わしトライ。コンバージョンも決まってついに33-34と1点差まで迫った。


リーチのトライで1点差に迫るが

トヨタが1点差を守りきり試合終了
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