ジャパンラグビートップリーグ2021が2021年2月20日、1ヶ月遅れてついに開幕。東京都・秩父宮ラグビー場ではパナソニックワイルドナイツとリコーブラックラムズの一戦が行われた。
2021/02/22
文●編集部

先制したのはリコー。WTBキーガン・ファリアが先制トライ
先制したのはリコー。パスの乱れからボールを奪うとWTBキーガン・ファリアがトライ。FBマット・マッガーンのコンバージョンも決まり7-0。FBマット・マッガーンのコンバージョンも決まり7-0。パナソニックはSO松田力也のPGで3点を返すと、22分、ハーフウェイ付近のスクラムからCTBライリーがゲイン。

ライリーの突破
10m付近まで前進。細かくフェイズを重ね、再び、パスダミーからライリーがブレイク。22m付近までボールをキャリーしオフロードでボールをつなぐ。SH内田啓介、背走してきたFB野口竜司がディフェンス絡まれながらも体を小さくしてWTB福岡堅樹へ。


野口竜司も粘り強くボールをキープ
そして、福岡からCTBパークスとつなぎ、最後はタッチライン際を並走していたFL布巻峻介にわたり左隅にトライ。難しい角度のコンバージョンをSO松田が決め、パナソニックが逆転に成功する。

布巻峻介が左隅にトライ

30分、パナソニックは敵陣ゴール前のラインアウトからモールで押し込む。リコーはモールコラプシングのペナルティー。パナソニックは再びラインアウトモールで攻撃。近場のアタックになんとか対応するリコーだったが、

SH内田啓介のトライでリードを広げた
33分、PR稲垣啓太からパスを受けたSH内田啓介がBKへ展開。SO松田がゴール中央付近までボールをキャリーすると、相手ディフェンスが整備されていない隙間を見て、SH内田がラックのボールをピックアンドゴーで自らインゴールに持ち込みトライを決めリードを広げると、直後の36分、PGを1本決め前半は20-7とパナソニックがリードして後半を迎える。
後半先制したのは追いかけるリコー。後半6分、NO8タラウ・ファカタヴァがタッチラインギリギリのアウトサイドを抜けると、サポートに入っていたWTBファリアに繋いでそのままトライ。マッガーンのコンバージョンも決まって14-20とする。

後半、スクラムでパナソニックが圧倒。優位に試合を進めた
追い上げられたパナソニックはすかさずこのタイミングで4人交代。ミラー、堀江、平野の第1列とLO福井翔大を投入。このリザーブ陣が流れを変えた。福井が敵陣ゴール前で相手ボールに絡みPKを獲得。リコーのゴール前付近での攻防が続く。15分、パナソニックボールのスクラム。パナソニックが押し込み、ゴールラインへ徐々に前進し、福井がトライ。27-14と再び引き離しにかかる。

57分、再び福井が自陣10m付近でボールに絡み、リコーの流れを断ち切る。敵陣10m付近のラインアウトから、パークス、福井でゲイン。さらに敵陣22m付近で堀江が見事なハンドリングスキルで相手ディフェンスを交わしNO8コーネルセンへラストパス。34-14とすると、23分には、相手ボールをパスカットしたWTB福岡がトライをあげ勝負を決めた。

福岡の躊躇のない縦の突破。
パナソニックの攻撃は続く。30分にも敵陣ゴール前のスクラムから福岡がトップスピードで体をぶつけポイントをつくると、FL大西樹がラックサイドのボールをピックしてトライ。試合終了間際にもCTBパークスのトライも決まり、終わってみれば7トライとパナソニックが貫禄十分の試合展開で55-14でリコーに快勝しボーナスポイントを含む勝点5を獲得した。

後半から出場したHO武井日向。チームペナルティーでシンビンが適用され、ほろ苦いデビュー戦となった。

試合終了間際にはウェールズ代表・パークスがトップリーグ初トライを決めダメ押し。
勝利したパナソニックは次節、HOME熊谷で日野レッドドルフィンズと対戦。一方敗れたリコーは、花園でヤマハ発動機と対戦する。
SCOREBOARD
パナソニック ロビー・ディーンズ監督
選手たちの表情を見てわかったと思いますが、ひとりひとりがトップリーグをエンジョイしていた。第1節は少しボールが散らかったりするが、練習から試合に入る際に対応して高いクオリティー、パフォーマンスを発揮してくれた。お客さんも楽しんでくれたと思いますし、次節も高いパフォーマンスを発揮したい。

――後半入った堀江のラストパス、福井選手のキャリーなどベンチメンバーの活躍が印象的でした。
今年、ベンチからの選手が試合にインパクトを与えてくれることを期待しています。うちの場合、(ベンチに)経験値の高い選手がいるのは非常にポジティブだと考えています。特にフロントローの選手が入ってすぐにトライをあげてくれて、試合に対してインパクト与えてくれたことはすごく評価しています。ラグビーは80分間通して、23人でプレーするスポーツです。選手全員で戦うことを大事にしておりまして、今後もそういう姿勢で試合に臨んでいきたい。
――山沢選手について
今日は体調万全ではなかったので(使わなかった)。
――ラストシーズンを迎える福岡選手について
福岡選手は毎試合自分の100%パフォーマンスを出してくれます。一緒にプレーしている選手も誇りに思うような選手です。医学部の試験を受けながらラグビーをすることは並大抵のものではない。人間ができる上限を証明してくれています。
パナソニック HO坂手淳史キャプテン

ファンの方がグラウンドに入った状態で試合できて嬉しかったし楽しかった。ゲームは、スタートから自分たちの強みを出していこうと臨みましたがボールが開幕戦ということで落ちてミスになることもあった。そこで選手同士でコミュニケーション取りましたし、開幕戦といところで選手が考えながら修正して 後半入ってきた選手が落ち着かせるプレーをたくさんしてくれましたし、チーム全体での勝利だと思います。
――今日のディエンスの満足度は
1年ぶりの公式戦でしたが、公式戦とトレーニングマッチでは全然違うと思いますし、練習してきたことが出せたことは満足しています。ビデオみながらもっと修正すれば(相手に)脅威になると思うので、自信をもって次につなげたい。
(ディフェンスについて)前に出てディフェンスできていた。相手がアタックしながら下がっていたのが良かった。一人でいくのではなく、ダブルで押し返すことができていた。そこは練習通りだと思います。修正点は、アウトサイドのディフェンス、内からもっとFWが走れた部分あったので、そこをやっていきたい。

――福岡選手について
同期で、パナソニックでも日本代表でも一緒にプレーしています、グラウンドでも信頼しているし、グラウンド外でもいい準備をして、クレバーに考えてWTBからFWにもBKにもいいコミュニケーションをしてくれる。堅樹の最後のシーズンをいい形で終えたいなと思っていますし、堅樹自身もそう思っていると思います。
パナソニック SO松田力也

トップリーグが開催できることに感謝してプレーしようと思っていましたし、その中で、グラウンの中の風も含めて、チームをコントロールしようと考えてプレーしようと思っていた。前半は風下で相手にチャンスを与えるところもあったが、自分たちにフォーカスして、いいコントロールでできた。80分、パナソニックが主導権握れたと思います。開幕戦でいいスタートができたので、次戦に向けてのいい準備して、おごることなくやっていきたい
――新型コロナの感染対策をした試合でした。観客からの思いや気持ち
これまで無観客で準備してきましたが、グラウンドでウォーミングアップする中、5,000人のしばりはあったが、やっている方は多く見守ってもらえていると思いました。観客に見られて僕たちはエキサイティングして、楽しくラグビーできた。
――福岡選手はどんな選手?
福岡選手にとってラストシーズンということで、パナソニックとしても優勝して送り出したいとみんな思っている。毎試合、ワールドクラスのパフォーマンスを出してくれるので仲間としても心強い。頼りすぎず、頼るところは頼って、SOとしては堅樹さんの良さが出せるように、ゲームメイクしていきたい。
――前半、途中まで攻め急いだ?
攻め急いだというより、全員がつながれてなくて、個人の判断でパスを放ってそこでミスがおきた。コミュニケーションを取って、全員で同じ絵を見てアタックしようとした。開幕戦なので、絶対ミスがあると思っていましたのでそこは切り替えて、出していけるように話して、前半の後半からうまくいった。
――前半最後、内田選手のトライに至る前のシーンについて
敵陣5m入ってゴール前、FWはパワー勝負を挑んで、ディフェンスラインが寄ってきたので、BKで外をパスで攻めるオプションをしようとした。相手がもっと詰めてくれると思っていたら、流してきたので僕の前にスペースがあり、内田選手のトライにつながった。相手を見ていいアタックができた。
――パナソニックで長いプレシーズンの影響は
長いプレシーズンのおかげで一人一人のキャラクターを再確認できましたし、FW、BKに求めることをコミュニケーションとりながらできました。FWからもBKからも、こうしてほしい、ああしてほしいとコミュニケーション取りながらできた。前半ミスがでたところでも、どうすべきかわかっていたし、僕自身どうすれば取り戻せるかわかっていた。自分のしたことでプラスになることも多かったし、(長いプレシーズンは)プラスになることしかない。
――今日はキック成功率100%でした。
準備を長く持てたので、自分自身、満足をするゴールキックできるように意識して練習してきた。キックを蹴るので、責任を持ってチームに勢い与えられるように、勝利をもたらすキッカーになるように自分としてもやっていきたいと思っています。風の中でも100%だったのですが満足することなく、上を目指してずっと100%狙ってやっていきたい。
リコーブラックラムズ 神鳥裕之監督
映像で準備していたときと変わらず、(パナソニックは)しっかりDFのラインが乱れず、我々のフィジカルのゲインラインに対するアタックを簡単に破らせない。今日のゲームを通じても非常に強いのは同じだったという印象を持ちました。
そこで我慢強く、反則せずにフェーズを重ねて、スペースを見つけていこうとしたが、その前に反則してプレーを切ってしまったところが今日の反省です。前半最初のラインアウトモール、後半のスクラムとセットプレーのチャンス。セットプレーでターンオーバーからのトライが次の試合に向けて課題かと思います。(次の試合に向けて)我々のやろうとするアタック、ディフェンス信じて、セットプレーは修正したい。
――パナソニックにはラグビーW杯に出場した日本代表メンバーが多くいました。
試合前にパナソニックのメンバーを見た次点で素晴らしいメンバーが揃っていたことはわかっていた。前半であればWTB福岡選手のランであったり、PR稲垣選手のセットプレーの強さだったり、上からみても持っている実力を出していた印象だった。後半でてきたHO堀江選手のスクラムも苦しめられた。日本を代表する選手だなと上からみて感じていました。
リコー CTB濱野大輔 共同キャプテン
1つ目は、パナソニックさんはBDのプレッシャーかけて、そこに対して寄りが遅くてジャッカルされて反則した。ディシプリンのところ、プレッシャーをかけられて勢いに乗れなかった。2つ目はスクラム、ラインアウト、プレッシャーかけられてターンオーバーされて僕たちの思うようなアタックできなかった。次に向けてはブレイクダウンのフィジカリティーを磨き上げること、セットプレーに関して見つめ直すともにヤマハさんの試合に備えたい。
――パナソニックの日本代表選手の印象
福岡選手に関しては外からプレッシャーかけて、インターセプトを狙っていて1本取られてしまった。松田選手のゲームメイクは代表クラスだなと感じました。
――新型コロナの対策の試合でした。グラウンドに立ってみて感想は?
グラウンドに立てたことに関しては、ラグビーができることに感謝しています。ファンはかけ声ではなく、ハンズクラップで最後まで応援しようとする姿が伝わってきた。僕も最後の最後まで、ひたむきなプレーを続けようと声を掛けていた。なかなか体現することができなかったですが、ここからシーズン始まったので、リコーらしさ、泥臭くひたむきなプレーを感じてもらって、少しでも感動、エナジーを感じるラグビーを発信していきたい。引き続き気を引き締めてやっていきたい。