4月4日、神戸ユニバー記念競技場ではジャパンラグビートップリーグ2021、ここまで全勝同士の対戦。神戸製鋼コベルコスティーラーズ対パナソニックワイルドナイツの一戦が行われた。2017年の対戦から、3年半ぶりの大一番。コンディションは朝から降り続ける雨で厳しい状況。お互いボールを動かすラグビーが思い通りに展開できず膠着状態が続いた。
天候は3mm/時の時折強く振り付ける雨。
試合開始前、神戸製鋼のホームということもあり、これまでの両チームの対戦戦績がビックビジョンに映し出された。三洋電機時代を含めると神戸製鋼はパナソニック戦15連敗。トップリーグを制した2018年シーズンは対戦することがなかった。
ウェイン・スミス総監督がチーム改革を進め、「進化した神鋼」が鬼門とでもいうべきパナソニックとどう戦うか。大きな注目が寄せられた。
前半6分、神鋼がSOヘイデン・パーカーのPGで先制するも、パナソニックも16分と26分にSO松田力也がPGを決め6-3とする。神鋼も29分、敵陣22m手前でパナソニックがオフサイド。SO日和佐篤、パーカーでコミュニケーションをとり、ショットを選択。パーカーがゴール中央に蹴り込み6-6として前半を終える。
前半16分、松田力也のPGで3-3
前節に続き12番での出場となったCTBアタアタ・モエアキオラ。積極的なアタックで前進
パーカーのキックパスを受けた井関信介がトライ。
神鋼はPR山下裕史を投入。後半早々、パナソニックがノックオンオフサイドで神鋼がチャンス。敵陣ゴール前ラインアウトをキープ、モールで押し込む神鋼。ゴール前で数m。アドバンテージが神鋼にだされる。FWでフェイズを重ね、パーカーからのキックパスがWTB井関信介に通り、右隅にトライ。角度のあるところからのコンバージョンキック。蹴るのはパーカー。ここは見事な精度でキックを成功させ13-6と神鋼がリード。
角度のないところからパーカーがコンバージョンキックを決め13-13と神鋼がリード。
マイボールスクラムからSH内田啓介が突破
49分、パナソニックは敵陣10m手前でのマイボールスクラム。SH内田啓介が抜けるとそのままインゴールへ。ゴール中央へトライを決め13-13とした。同点にしたパナソニックは、HO堀江翔太、PRヴァルアサエリ愛、SH小山大輝を投入。
SO松田力也が難なくコンバージョンキックを決めて13-13の同点となる。
アーロン・クルーデン
56分、神鋼はパーカーに代わりアーロン・クルーデンを投入。クルーデンがいきなり見せる。自陣22m手前のマイボールスクラムからクルーデンがファーストタッチでゲイン。神鋼が一気にハーフウェイ超えるもノックオンで攻撃が継続できず。
63分、さらにクルーデンはハーフウェイ付近のラック、ノーハーフの状況でSHの位置から空いたスペースへ精度の高いキック。パナソニックは自陣22m内側のラインアウトをキープしてエリアを挽回。さらに直後の相手ボールラインアウトをターンオーバーしてピンチを凌いだ。
67分、パナソニックはWTB竹山晃暉に代わり山沢拓也を投入。70分、パナソニックは敵陣22m付近のラインアウトからモール、神鋼・LOブロディー・レタリックがボールに絡みモールパイルアップ。パナソニックのチャンスを摘み取った。
75分、神鋼はハーフウェイやや敵陣の位置でPKを獲得。風はほとんどない状況。神鋼はショットを選択。キックを蹴るのはクルーデン。距離は十分だったが、ゴールポストの右をかすめ失敗。
残り時間もわずか。79分、パナソニック・山沢が自陣22m超えた付近からショートパントを蹴り仕掛ける。ハーフウェイ手前でCTBディラン・ライリーがキャッチして、山沢にパス。山沢は左右からディフェンダーのプレッシャーをかけられながら、チップキックでボールをインゴールへ蹴り込む。ライリーがチェイス。インゴールでボールを抑えれば…という状況となるもボールがインゴールを超え、80分試合終了のホーンがなった。
神鋼がスクラムを選択。右サイドへ展開し、WTB井関が裏へのスペースへキック。山沢がカバーしてタッチに蹴り出し試合終了。13-13で勝負つかず。両チームに勝ち点2を積み上げ、パナソニックはカンファレンス1位、神戸製鋼はカンファレンス2位のまま。
最終節はパナソニックがヤマハ発動機、神戸製鋼はNTTドコモと対戦する。MOMには神戸製鋼・橋本大輝が選出された。
ジャパンでも同部屋だった、中島イシレリとヴァルアサエリ愛
SCOREBOARD
トップリーグ2021・第6節 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場
TRY(1)G(1)PG(2) 前半6分 PG 10.ヘイデン・パーカー前半29分 PG 10.ヘイデン・パーカー後半3分 T 14.井関信介後半4分 G 10.ヘイデン・パーカー後半37分 PGx 22.アーロン・クルーデン PENALTYPK(12)FK(2)TRY(1)G(1)PG(2) 前半16分 PG 10.松田力也前半26分 PG 10.松田力也後半11分 T 9.内田啓介後半12分 G 10.松田力也 PENALTYPK(8)FK(1)
「難しいコンディションの中、選手たちがタフに戦い抜いてくれた」神戸製鋼 デイヴ・ディロンHC
今日は激しいラグビーで、難しいコンディションでの試合になった。見ていてなかなかいつものように楽しいラグビーではなかったが、難しいコンディションの中、選手たちがタフに戦い抜いてくれた。橋本(大輝)がトップリーグ100キャップはみんなで祝いたい。本当に橋本選手がこういうタフな試合でいいパフォーマンスを発揮してくれた。
神戸製鋼 SH日和佐篤共同キャプテン
雨の状況でタフなゲームになりましたし、自分たちの今の立ち位置がわかったいいゲームになった。来週のドコモ戦にしっかり準備してやっていきたい。
――雨はどのくらい影響があった?
ウェットな状況でしたが、同じ条件でしたし、お互いディフェンスでプレッシャーをかけあいながらいいゲームができた。
――立ち位置がわかった……とは具体的には?
難しい時間帯でもしっかり我慢できましたし、雨の状況、相手のプレッシャーで神戸のラグビーが全然できなかったが、いいディフェンスもできたし得点するところ得点できたので、もう1回見直して、これからいいチームになればいいなと思います。
――勝てなかったor負けなかった、どちらが強い気持ち?
難しいですね。まあ、しっかり負けなかったという気持ちですね。まだまだ、次に向けていい準備するだけです。
神戸製鋼 FL橋本大輝(MOM・100キャップ)
雨の中、コンディションはあまり良くなかったし、アタックする時間も両チーム長くなかったが、緊迫した試合になったのではないかと思います。
――勝てなかったがパナソニック戦の15連敗が止まった
キックゲームとなったが、よく対応してゲーム運びができたと思います。決勝トーナメントで対戦できるチャンスがあるので、そこでリベンジしたいと思います。
――引き分けという結果はどう捉えますか?
天候のせいにするわけではないですが、コンディション良ければもっと戦えたかなと思います。2009年に入社してから、今回が勝つ可能性が一番あった試合内容だった。神戸製鋼も年々強くなっているので、ポジティブに捉えていて、次対戦するのが楽しみです。
――カンファレンス1位か2位が決まった。次、パナソニックと対戦するときに何が大事になるか?
タフな内容でロースコアを制するのはミスが少ないチームが勝つと思うので、できるだけアタックでミスを減らすことがキーになってくると思います。
神戸製鋼 SOアーロン・クルーデン
全体的に試合が腕相撲みたいだった。天候は試合の中でインパクトがあった。スクラムやラインアウトなどが多くなった。スコア見ると、両チームにチャンスがあって、限られたチャンスをできるだけものにした試合になったと思います。
――後半20分の出場でした。エリアマネジメントはどう考えていた?
天候もあったので、場面によってはボールを持たない選択肢を選んだ試合だった。できればスペースまでボールを運んで、スペースでプレーしようと話していた。スペースがなければキックを使って攻めていこうという話だった。できた場面もあったし、もっとできた場面もあった。
――外してしまったPGのシーンを振り返ると
少し横風があった。当たりは良かった。少し右に置いてしまったが、もう一度同じ場面があれば、ボールを置くときに真ん中に置きたい。キック入れなかったのは残念な気持ちです。できれば橋本選手の100試合に貢献したい気持ちが強かったができなくて残念です。
――入ってすぐ、ランで抜けたシーンもあった。もっと上手く攻撃をするならばどうしたら良かった?
試合の中に入ってなんとかチームに貢献しようと思っていた。基本をよくするを考えていた。ボールを持ったとき少し相手のディフェンスが流れていたので、そういった判断をしました。もう少し斜めにボールをキープしてギリギリのタイミングで林選手にパスをすればよかった。少し早かったので相手のディフェンスができた。
パナソニック ロビー・ディーンズHC
今日対戦した両チームが高いパフォーマンスを維持していければ、また対戦することになるでしょう。それを楽しみにしています。
――実力が拮抗しているチームと試合をすることで課題が見つかるのでしょうか。
今日の試合については、プランや戦術をもって戦いましたが、その戦術を実行するためのデリバリーという部分については天候も相まって難しかった。お互いにやりたかったことができなかったと思います。ですから、両チーム満足行かなかった部分もあると思いますし、再び戦うときは両チームともにいいチームになっていることでしょう。
――65分すぎに山沢の交代の意図
山沢選手は今シーズン、リザーブからインパクトを与えてくれています。プレー精度やキックの正確性など、彼が入ることでゲームを作って、我々のやりたいラグビーを実行してくれると思っています。今日はもう少しでトライというプレーをしてくれましたし、みなさんも見ていただいたように、試合にスパークを与えてくれます。
パナソニック 坂手淳史キャプテン
天候的に難しい試合でした。お互いミスもありましたが、やらなければならないことを相手よりも早く対応する部分もあってよかったかなと思います。またこのカンファレンスでトップをとるためにもう一試合戦うことができるので、そこにむけてチーム一丸となって頑張っていきたい。
――今日のコンディションは大変でしたか?
前半の方が強かったなという感じです。後半もスリッピーな感じでアタックもディフェンスもミスが多かったかなと思います。ハンズアップのところでお互いプレッシャーもきつくてハンドリングミスが多かったと思います。
――スクラムについて
前半のスクラムについてはヒットしたときに前に出ることができていたので、試合の中で1番と3番とバックローと話しながら、相手にプレッシャーをかけていくことができるのではないかということでスクラムを選択していきました。
後半は、山下さんが入ってきたところでうまさがあったかなと。一度ペナルティーを取られてそこで同じことを繰り返してしまうと前半と逆になってしまうと思ったので、もう一度1番、3番とどうやってスクラムを組むのかということをゲームの中で話すことができました。その点はすごくポジティブに考えています。組み方を変えたというより、相手も癖があるので、1番、3番にどうだった?と聞いてそれに対する策はたくさんあるのでそれをコミュニケーションしながら決めていきました。
――ペナルティーの判断について
ショットの判断については、その時に出場しているキッカーとコミュニケーションしながら決めています。前半の最後の場面ではラインアウトでプレッシャーをかけて1本トライがほしかったというのもありますが、距離も遠くて外だったので、もう一度ラインアウトからモールを組んでしっかり時間を使ってもう一度ペナルティー、またはトライを狙いました。自分が交代してからは、ピッチレベルでの判断になると思うので、その辺はあまりよくわかりませんが、狙うべきところ、狙わないところを見返していこうと思います。
パナソニック 堀江翔太
最後惜しいところまでいきましたが、こんな状況だったので、あんまりボールをが動かなくて、見ていた方にはあんまりおもしろくない展開やったかもしれません。ディフェンスでプレッシャーをかけられるところがあった。もうちょっと反省的にはディフェンスの枚数を増やした方がよかったかなと思います。アタックについてはチャレンジした部分は誇りに思いますし、僕らFWもこの状況の中でもセットプレーのレベルをあげる、質をあげることは追求していきたい。
――ラインアウト苦しんだ
お互いかなと思います。お互いプレッシャーをかけていたかなと。中で急遽サインを作ったりしました。あわないこともありました。こういうことが起こることを想定して準備していきたい。サインがお互い読まれていたりとか、LOがそこは修正をしてくれると思います。
――新しいスタイルの神戸製鋼の印象。
これまでのことは覚えていないです。人がガラッと代わっています。タレントがたくさん増えて個が強い印象があります。
そこまで意識をしていなくて、特別、神戸にという感じではないです。どのチームでもからわず、僕らのやることは勝つために変わらないので。
パナソニック 福岡堅樹
戦う前からタフなゲームになることはわかっていました。この天候もあって、なかなかボールが動かず、FWがしんどいゲームになるだろうと思っていました。僕自身はあまりボールが回ってこなくて自分らしい仕事をすることはできませんでした。すごくFWが頑張ってくれたと思います。今日の試合でも課題が見つかった部分があるので、そこは修正して、まだ1位通過するチャンスは残っているのでそのために今日の試合を糧にしていきたい。
――ウェットコンディションの中でどんな思いで試合を見つめていた
個の力を感じた。勢いをつけてしまうと止めることができないので、しっかりディフェンスしてそこから自分たちのチャンスをつくっていくということを考えていました。
SCOREBOARD
トップリーグ2021・第6節 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場
TRY(1)G(1)PG(2) 前半6分 PG 10.ヘイデン・パーカー前半29分 PG 10.ヘイデン・パーカー後半3分 T 14.井関信介後半4分 G 10.ヘイデン・パーカー後半37分 PGx 22.アーロン・クルーデン PENALTYPK(12)FK(2)TRY(1)G(1)PG(2) 前半16分 PG 10.松田力也前半26分 PG 10.松田力也後半11分 T 9.内田啓介後半12分 G 10.松田力也 PENALTYPK(8)FK(1)1 中島イシレリ2 平原大敬 後半13分 OUT → IN 16 松岡賢太3 渡邉隆之 後半0分 OUT → IN 18 山下裕史4 張碩煥 後半35分 OUT → IN 19 今村陽良5 ブロディ・レタリック6 トム・フランクリン (Cap)7 橋本大輝 後半30分 OUT → IN 20 橋本皓8 ブロディ・マクカラン9 日和佐篤 後半35分 OUT → IN 21 徳田健太10 ヘイデン・パーカー 後半16分 OUT → IN 22 アーロン・クルーデン11 山下楽平12 アタアタ・モエアキオラ13 ベン・スミス 後半16分 OUT → IN 23 林真太郎14 井関信介15 山中亮平16 松岡賢太17 高尾時流18 山下裕史19 今村陽良20 橋本皓21 徳田健太22 アーロン・クルーデン23 林真太郎
MEMBER_パナソニック
1 稲垣啓太 後半12分 OUT → IN 17 クレイグ・ミラー2 坂手淳史 (Cap) 後半12分 OUT → IN 16 堀江翔太3 平野翔平 後半12分 OUT → IN 18 ヴァルアサエリ愛4 ヒーナンダニエル 後半0分 OUT → IN 19 長谷川崚太5 ジョージ・クルーズ6 ベン・ガンター7 布巻峻介 後半29分 OUT → IN 20福井翔大8 ジャック・コーネルセン9 内田啓介 後半12分 OUT → IN 21 小山大輝10 松田力也11 福岡堅樹12 ハドレー・パークス13 ディラン・ライリー14 竹山晃暉 後半27分 OUT → IN 22 山沢拓也15 野口竜司16 堀江翔太17 クレイグ・ミラー18 ヴァルアサエリ愛19 長谷川崚太20 福井翔大21 小山大輝22 山沢拓也23 セミシ・トゥポウ