3月27日(土)、大阪府・東大阪花園ラグビー場ではジャパンラグビートップリーグ2021、ヤマハ発動機ジュビロ(ヤマハ)対神戸製鋼コベルコスティーラーズ(神戸)の試合が行われた。ここまで開幕4連勝と連覇に向け前進する神戸に対して、前節は序盤の失点が響いてキヤノンに初勝利を献上してしまったヤマハ。この試合では神戸が追求するラグビーが炸裂。8トライを決め53-22で快勝。ボーナスポイントを含む勝ち点5を獲得し、総勝ち点は23と伸ばした。
2021/03/28
文●編集部
神戸製鋼 デーヴ・ディロンHC

今日の勝利嬉しく思います。一週間準備してきたことが試合で出すことができていました。それを遂行してくれた選手たちを誇りに思います。
――前半スクラムでプレッシャーをかけることができていた
スクラムもそうですし、全体を通して戦うことができました。後半はスクラムでやり返されてしまいましたが。ヤマハさんは伝統的にセットプレーに強みがあるチームなのでそこに対して自分たちが準備してきたことができた。

――アタアタ選手の12番の起用意図と今日のパフォーマンスの評価。
「オオキナセンシュ(日本語で)」。体も大きいし、スキルもある。ボールタッチが多い12番におくことで彼の能力を引き出せると思ったからです。その中でいいパフォーマンスができたのは今後につながると思います。
神戸製鋼 日和佐篤キャプテン

一週間いい準備してきました。試合中、厳しいときもありましたが、自分たちのスタイルを貫いてして、相手のスペースにボールを運べて、いいゲームができたと思います。
――前半スクラムでプレッシャーをかけることができていた
セットプレーが強いヤマハさんに対して、今週いい準備ができたことでドミネイトできたと思います。

――来週、パナソニック戦。今日の試合から来週の試合につながること
まずはセットピースが強いヤマハさんをプレッシャーを与えることができたのは自信につながります。その中で空いているスペースを見つけてボールを運ぶこともできました。僕自身、神戸に来てはじめてのパナソニック戦となるので楽しみです。
神戸製鋼 SOヘイデン・パーカー

リコー戦の反省点の一つは、最後までやりきれなかったことでしたが、今日は最後まで前進し続けることができました。前にいる選手が最後までハードワークし続けてくれました。
神戸製鋼 CTBアタアタモエアキオラ(本日のMOM)

リコー戦の反省を今日はやりきることができたと思います。(12番として求められていることは)まずは自分の強みのフィジカルを優先でプレーする。スキルの部分はもっとレベルアップしたい。キックなど、いろんなスキル。

(ベン・スミス選手とのWTB・CTBのポジションチェンジについては)2人とも両ポジションができるので、ボールの近くにいる方が優先して臨機応変に対応しています。やっていて楽しいです。
ヤマハ 堀川隆延監督

SO清原祥、後半は自ら仕掛け、チャンスを演出した。
神戸製鋼さんのようなチャンピオンチームと対戦して、経験した選手たちがこういうプレッシャーの中でゲームできてそこから学ぶことができたと思います。こういうゲームに自分の力を出しきれなかったことを受け止めて選手たちが成長につなげてほしい。
こういう大差のゲームになりましたけれどヤマハの力がみれたと思います。残り2戦、自分たちのスタイルをやりきることにこだわっていきたい。
ヤマハ LO大戸裕矢キャプテン

試合内容は新しいメンバーが入り、神戸製鋼さんにチャレンジができたと思います。今は試合に負けた悔しさがありますが、これから映像を見て、細かな部分でポジティブになれることがあると思いますので一週間しっかり準備していきたい。

ベン・スミスと井関信介のダブルタックル。なかなかディフェンスを崩しきれず。
MATCH REVIEW

前半11分、トム・フランクリンのトライ
試合開始早々、SOヘイデン・パーカーのPGで神戸が先制。11分にはFLトム・フランクリン共同キャプテンがトライ。左隅からSOヘイデン・パーカーがコンバージョンを蹴るも、バーに当たり失敗。スコアは8-0。
12分、神戸FB山中亮平がキックオフボールをノックオン。ヤマハは敵陣でのマイボールスクラムのチャンスを迎える。ヤマハがプレッシャーをかけPKを獲得する。タッチに蹴り出しトライを取りにいった。ラインアウトからボールキープ。敵陣5m付近の攻防が続く。ヤマハはフェイズを重ねるも神戸ディフェンスの壁を破れない状況が続きノックオン。
17分、神戸がオフサイドのペナルティー。ヤマハはPGを選択。SOサム・グリーンが難なく決めて3-8。

LOブロディ・レタリックが力強い縦の突破
20分、ヤマハがハーフウェイ付近でオフサイドのペナルティー。神戸はパーカーがタッチに蹴るがダイレクトタッチとなってしまう。ヤマハがスクラムを選択。神戸FW陣が奮起。スクラムを押し込みボールをターンオーバーし神戸にPKが与えられる。再びパーカーがタッチに蹴り出し敵陣22m手前でのラインアウトとなる。LOレタリックが相手に絡まれながらもゴール前5mまでボールをキャリー。ヤマハのノックオンで神戸製鋼ボールスクラム。

30分、WTB山下楽平のトライで20-3。
このスクラムでも神戸が優勢に押してPKを獲得。神戸は再びスクラムを選択。CTBアタアタモエアキオラが縦に力強い突破。ゴール中央にトライ。15-3とした。
30分、ヤマハは敵陣22m陣内ラインアウト。ボールが乱れ神戸がターンオーバー。すぐさま左オープンサイドへ展開。大外のWTB山下楽平までつながってそのまま左隅にトライ。20-3とリードを広げた。

ラファエレティモシーがビッグゲイン
直後のキックオフでヤマハ、サム・グリーンが10mギリギリを狙うも届かず、神戸ボールのセンタースクラム。ここでも神戸が押し込む。SH日和佐篤が左サイドへ展開、CTBラファエレティモシーがビックゲイン、ゴールまで数mまでボールをキャリー、アタアタにつなぐもボールがこぼれトライならず。ヤマハボールのスクラム。神戸にフリーキックが与えられ、神戸は再びスクラムを選択。ヤマハはここをなんとかしのぎきりたい。

神戸製鋼NO8前川鐘平
時間は36分、第1列の駆け引きが続く。日和佐がボールを入れる。神戸が押し勝って、日和佐はディフェンスラインが薄いBKへ展開。アタアタが再びゴール中央へトライ。27-3として前半を終了した。

アタアタの2本目のトライで27-3として前半を終了。

後半5分、PR中島イシレリがシンビンで一時的退場。この優位な状況でヤマハは、CTB石塚弘章がトライ。失点した神戸はすぐさま11分、ヤマハに自陣ゴール前まで攻め込まれるも、自陣ゴールライン内側から攻撃を継続。WTB山下楽平がビッグゲインで一気に敵陣ゴール前までボールを運び、最後はLOレタリックがトライ。

さらに13分、神戸は再び自陣まで攻め込まれた局面でボールを奪い、全員が攻撃の意識が高く、次から次へとボールがつながり、ヤマハディフェンスを完全に翻弄。FB山中亮平がトライ。16分にはCTBベン・スミスの突破から、ラファエレティモシーがトライ。46-10と勝負を決めた。

獅子奮迅のパフォーマンスを見せたNO8クワッガ・スミス
ヤマハは直後の19分にNO8クワッガ・スミスがトライを決めるも、32分、神戸は敵陣ゴール前のスクラムからブラインドサイドをついてLOトム・フランクリンがトライを決めダメ押し。53-22で神戸製鋼がヤマハ発動機に快勝し、全勝をキープした。次週はユニバーでパナソニックとの大一番を迎える。一方敗れたヤマハは、2勝3敗。次節はここまで好調のNTTドコモと対戦する。

FBサム・グリーン
