釜石シーウェイブス、ホーム戦で勝利ならず。NTTドコモの強力FWの前に敗れる | Rugby Japan 365

釜石シーウェイブス、ホーム戦で勝利ならず。NTTドコモの強力FWの前に敗れる

2018/10/10

文●大友信彦


10月7日(日)、新設された釜石鵜住居復興スタジアムで初開催されたトップリーグ公式戦「キヤノンイーグルスvコカ・コーラレッドスパークス」に続き、トップチャレンジ公式戦「釜石シーウェイブスvNTTドコモレッドハリケーンズ」が行われた。

SCOREBOARD

トップチャレンジリーグ 2018.10.07

  • TRY:(4) 
  • G:(2) 
  • PT:(0) 
  • PG:(1) 
  • DG:(0) 
  •  
  • SCORE
  • T 前半4' 29' 4 コーリー・トーマス
  • G 前半4' 29' 10 中村良真
  • PG 前半19' 10 中村良真
  • T 後半24' 11 小野航大
  • T 後半38' 13 菅原祐輝
  •  
  • SUBSTITUTION
  • 後半0' 14 藏田知浩 → 23 スルンガ・ラリースティーブン
  • 後半0' 7 辻井宏介 → 20 衞藤陽介
  • 後半16' 2 緑川昌樹 → 16 牛原寛章
  • 後半16' 3 金廉 → 18 河野悠輝
  • 後半16' 9 浜野達也 → 21 小樋山樹
  • 後半22' 1 岡部瞬 → 17 西川和眞
  • 後半22' 5 ヴィンピー・ファンデルヴァルト → 19 杉下暢
  • 後半22' 12 パエアミフィポセチ → 22 佐藤善仁
  • TRY:(8) 
  • G:(6) 
  • PT:(0) 
  • PG:(0) 
  • DG:(0) 
  •  
  • SCORE
  • T 前半10' 13 小林正旗
  • G 前半10' 34' 36' 後半6' 30' 40' 10 王子拓也
  • T 前半34' 36' 後半 6' 15 久内崇史
  • T 後半1' 20 衞藤陽介
  • T 後半21' 40' 23 スルンガ・ラリースティーブン
  • T 後半30' 4 ミーウィット・キーパ
  •  
  • SUBSTITUTION
  • 後半0' 14 藏田知浩 → 23 スルンガ・ラリースティーブン
  • 後半0' 7 辻井宏介 → 20 衞藤陽介
  • 後半16' 2 緑川昌樹 → 16 牛原寛章
  • 後半16' 3 金廉 → 18 河野悠輝
  • 後半16' 9 浜野達也 → 21 小樋山樹
  • 後半22' 1 岡部瞬 → 17 西川和眞
  • 後半22' 5 ヴィンピー・ファンデルヴァルト → 19 杉下暢
  • 後半22' 12 パエアミフィポセチ → 22 佐藤善仁
  • LINEUPS

  • 1 田邊篤
  • 2 マット・マフィ
  • 3 ホラニ龍シオアペラトゥー
  • 4 コーリー・トーマス
  • 5 ダラス・タタナ
  • 6 木村優太
  • 7 高田裕雅
  • 8 ケイン・コテカ
  • 9 南篤志
  • 10 中村良真
  • 11 小野航大
  • 12 村田オスカロイド
  • 13 菅原祐輝
  • 14 星野将利
  • 15 ニック・ユースト
  •  
  • 16 伊藤大輝
  • 17 高橋拓也
  • 18 ナウランギシリベヌシ信玄
  • 19 上田宥人
  • 20 中野裕太
  • 21 森雄祐
  • 22 佐々木裕次郎
  • 23 村井佑太朗
  • 1 岡部瞬
  • 2 緑川昌樹
  • 3 金廉
  • 4 ミーウィット・キーパ
  • 5 ヴィンピー・ファンデルヴァルト
  • 6 佐藤大朗
  • 7 辻井宏介
  • 8 ハリソン・ブリューワー
  • 9 浜野達也
  • 10 王子拓也
  • 11 茂野洸気
  • 12 パエアミフィポセチ
  • 13 小林正旗
  • 14 藏田知浩
  • 15 久内崇史
  •  
  • 16 牛原寛章
  • 17 西川和眞
  • 18 河野悠輝
  • 19 杉下暢
  • 20 衞藤陽介
  • 21 小樋山樹
  • 22 佐藤善仁
  • 23 スルンガ・ラリースティーブン
  • REPORT

    この日、釜石では全国でも2番目という最大風速37.7mを観測する暴風が吹き荒れ、飛ばされた石で自動車の窓が割れたり、釜石市内からスタジアムへ向かう国道45号線が倒木で塞がれ片側交互通行になるなど、大きな影響が出た。スタジアムでは予定されていた関連イベントやケータリングなどが中止されたが、昼前に風は峠を越し、試合は無事開催された。

    クレバーなゲームリードをみせたNTTドコモのSH浜野

    クレバーなゲームリードをみせたNTTドコモのSH浜野

    NTTドコモは昨季、トップリーグで6勝をあげ、全体では12位の勝ち点26ながらカンファレンス制のマジックで13位以下決定戦に回り、コカ・コーラに敗れ、入替戦では日野自動車に敗れてトップチャレンジに降格したが、地力はトップリーグ中堅クラスの実力チーム。今季は栗田工業、三菱重工相模原、マツダに完勝を重ねここまで3戦全勝。

    鵜住居スタジアムのスタンドには富来旗(大漁旗)が翻った

    鵜住居スタジアムのスタンドには富来旗(大漁旗)が翻った

    一方の釜石シーウェイブスは開幕から三菱重工相模原、マツダに連敗スタートながら、前節は敵地で九州電力を破り1勝2敗。トップリーグとの入れ替え戦に出場するには、第1ステージで8チーム中上位4チームに入らなければならない。地元・釜石に新設された釜石鵜住居復興スタジアムでのトップチャレンジ初公式戦は、相手がトップリーグから降りてきた強敵とはいえ必勝を課された試合だった。

    試合は、釜石シーウェイブスのそんな決意がうかがえるたちあがりだった。
    前半、風下からキックオフした釜石は開始4分、新加入のLOコーリー・トーマスがゴール中央に先制トライ。すかさずSO中村良真がコンバージョンを成功。幸先良いスタートを切る。

    ドコモCTBミフィポセチを釜石はSO中村良とPRホラニのダブルタックルで止める

    ドコモCTBミフィポセチを釜石はSO中村良とPRホラニのダブルタックルで止める

    NTTドコモは10分にCTB小林正旗のトライと天理大から新加入のSO王子拓也のゴールで追いつくが、釜石はすぐに攻め返し、およそ20のフェイズを重ねて攻撃を継続して相手ゴール前でPKを獲得。中村がPGを決めて10-7とリード。

    サンウルブズ&日本代表でも活躍するドコモLOファンデルヴァルト

    サンウルブズ&日本代表でも活躍するドコモLOファンデルヴァルト

    ドコモは日本代表LOヴィンピー・ファンデルヴァルトらパワフルなFWが激しいコンタクトでじわじわと前進するが、釜石は粘り強いディフェンスで対抗。21分には自陣ゴール前のディフェンスでノットリリースザボールの反則を勝ち取りピンチを脱出。

    この試合2トライをあげた釜石の新加入LOトーマス

    この試合2トライをあげた釜石の新加入LOトーマス

    29分にはハーフウェー付近のディフェンスでLOコーリー・トーマスが相手ボールに絡んでPKを獲得。ここから相手ゴール前に攻め込み、ラインアウトは乱れたものの、こぼれ球を拾ったトーマスがトライ(中村ゴール)。ブレイクダウンのしつこさ、ボールへの嗅覚と、出色の働きをみせたトーマスの活躍で、釜石は17-7とリードを広げた。

    38分には、ドコモがハーフウェー付近で得たPKから速攻を仕掛けるがファンブル。このこぼれ球を釜石は大きく蹴り込んでドコモのゴール前へ。大チャンスだったが、ドコモはSO王子が猛然と戻り、チェイスしてきた釜石の2人のタックルに捕まりながらもふりほどいて逆にカウンターアタック。ここから攻め返したドコモがWTB茂野主将、FL辻井宏介とつなぎ、FB久内崇史がトライを返す。

    釜石LOトーマスを止めるドコモFL衞藤

    釜石LOトーマスを止めるドコモFL衞藤

    激しく攻守の入れ替わったこの場面が、試合の流れを変えた。ドコモは直後のキックオフからもCTBパエア・ミフィポセチが豪快にディフェンスをブレイク。WTB茂野洸気主将から再び久内にパスが渡り連続トライ。ドコモが21-17と逆転して折り返す。

    突進する釜石LOタタナ。釜石駅前のホテルフォルクローロ釜石駅前勤務

    突進する釜石LOタタナ。釜石駅前のホテルフォルクローロ釜石駅前勤務

    後半は釜石が風上に立った。だが、先に流れを掴んだのはドコモだった。

    1分、後半からピッチに入ったばかりのドコモFL衞藤陽介が、釜石のゴール前でのファンブルを押さえて左隅にトライ。
    6分にはFB久内が鋭いステップで次々にタックラーを抜いてハットトリックとなる3トライ目。

    釜石LOトーマスは80分フル出場で相手ディフェンスにくさびを打ち続けた

    釜石LOトーマスは80分フル出場で相手ディフェンスにくさびを打ち続けた

    釜石も接点ではトーマス、ダラス・タタナの両LOらFWが粘り強くからみ、たびたびPKを得て敵陣深く攻め込むが、チャンスのラインアウトをことごとく失敗し、得点につなげられない。

    逆にドコモは21分、ミフィポセチのパワフルな突破から後半出場のWTB、トンガ出身19歳のルーキー、スルンガ・ラリースティーブンがトライを決め、38-17と大量リードを奪う。後半投入の2人が効果的なトライを奪うなど、マイク・ブリュワーHCの采配がずばり当たった。

    釜石の小野主将は後半24分、FB村井のブレイクをサポート、相手タックルを次々とかわしてトライ

    釜石の小野主将は後半24分、FB村井のブレイクをサポート、相手タックルを次々とかわしてトライ

    一方の釜石も途中投入組が奮起する。
    後半24分、PKから速攻に出た後半出場のWTB村井佑太朗が独特の間合いを持ったステップで大きくゲインし、パスを受けたWTB小野航大主将が相手タックルを受けながら腕を伸ばしてトライ。22-38と追撃態勢に入る。

    突破を図る釜石FBユーストにタックルするドコモLOキーパ

    突破を図る釜石FBユーストにタックルするドコモLOキーパ

    しかしドコモは30分、小刻みにパスをつないで釜石ディフェンスを崩し、こちらも新加入のLOミーウィット・キーパがトライ。38分、釜石は途中出場のSH森雄祐のキックをCTB菅原祐輝がロングチェイスし、相手と競り合って右隅に押さえ、27-45。
    だが、次のキックオフを釜石は確保できず、ドコモがそのまま攻め込んで、再びスルンガがトライ。SO王子がこの試合6本目のコンバージョンを決め、52-27。トライ数は8-4でドコモが4差をつけ、ボーナスポイントつきの勝利をあげた。

    試合終了。釜石のファンは両方のチームに温かかった

    試合終了。釜石のファンは両方のチームに温かかった

     

    「我々にとっては今季4試合を戦ってきた中で一番難しいゲームだった」NTTドコモ マイク・ブリュワーHC

    マイク・ブリュワーHC

    マイク・ブリュワーHC

    まず、釜石は素晴らしいチームだったことを称賛します。我々にとっては今季4試合を戦ってきた中で一番難しいゲームだった。釜石の選手たちは自分たちにあった、見ていても楽しいラグビーをしていて、我々はブレイクダウンでもキッキングゲームでも凄くプレッシャーを感じたので、後半はシンプルなラグビーをしようとゲームプランを変えた。それまで以上にダイレクトなプレーをして、ブレイクダウンで勝ちに行けばスペースができると考えました。

    ドコモのユーティリティBK小樋山は途中からSHに入り冷静にクローザーの任務を遂行

    ドコモのユーティリティBK小樋山は途中からSHに入り冷静にクローザーの任務を遂行

    ここで試合をできることについては、試合前のミーティングでも選手に話しました。釜石の方々がラグビーに対して持っている情熱、この地域の人たちにとって今日という日がどんなに大切な日なのか、それをしっかり考えよう。私たちにとっても、今日のゴールは勝ち負けよりも、釜石の人たちに何を見せられるかだと話して臨みました。

    ドコモNo8ブリューワーにタックルする釜石FL木村

    ドコモNo8ブリューワーにタックルする釜石FL木村

    今日は自分たちのやりたいラグビーをさせてもらえなかったけれど、このスタジアムで、釜石の人たちの前でラグビーができたことは良かった。来年のワールドカップでは、ニュージーランドはじめ世界中から友だちが日本に来るけれど、釜石に来ることをぜひ薦めたい。グラウンドもいいし景色も素晴らしい。そして地元の人たちのラグビーへの情熱が素晴らしい。ワールドカップにとっても、ここが会場になっていることはとても良いことだと思う。


    「U18の合宿の時、ボランティア作業で来たことがあった。ここでプレーすることに特別な思いがあった」NTTドコモ SO王子拓也

    天理大からドコモに新加入のSO王子。冷静かつ果敢なゲームメークをみせた

    天理大からドコモに新加入のSO王子。冷静かつ果敢なゲームメークをみせた

    釜石のプレッシャーが強くて、自分たちのやりたいゲームプランは遂行できませんでした。ここまでの試合をスカウティングして、釜石はブレイクダウンでそれほど激しく来ないと予想していたけれど、今日は激しくプレッシャーをかけてきて、受けに回ってしまったのが反省点です。

    釜石には高校2年の時、U18の合宿が岩手(北上)で行われたときに、選手全員でボランティア作業に来たことがあります。そのときは震災から1年しかたっていなくて、瓦礫だらけの景色を目の当たりにしました。そのときのことは今でも覚えています。それだけに、ここでプレーすることには特別な思いがありました。

    自分たちのプレーを見て、何かを感じてもらえたら…と思って試合に臨みました。スタジアムは本当にきれいで、芝もいい。ここでワールドカップが開催されることは素晴らしいと思います。

     

    「実際に十分戦えた手応えはあったけれど、前半の最後と後半の立ち上がりでゲームを支配された」釜石シーウェイブス 桜庭吉彦監督

    ラインアウトを捕球する釜石FL高田

    ラインアウトを捕球する釜石FL高田

    相手は昨季トップリーグで戦っていたチームということは意識せず、十分に戦える力関係だと考えて、十分な分析をもとに挑戦しました。実際に十分戦えた手応えはあったけれど、前半の最後と後半の立ち上がりでゲームを支配されたことがこの結果につながってしまったと思う。トライを取ったあとの相手キックオフのレシーブミス、攻め込んだラインアウトでのミスがあって、なかなか自分たちのリズムを作れなかった。

    試合後の円陣で、釜石SWの桜庭監督

    試合後の円陣で、釜石SWの桜庭監督

    後半の立ち上がりにドコモがスイッチを入れてくるのは分析でも分かっていたけれど、そこの意識づけをハーフタイムで徹底できず、ブレイクダウンのバトルで負けてしまった。ラインアウトに関しては、我々は高さで勝っているわけではないのだから、早く並ぶ、早く仕掛けるとか、やれることはあったと思うけれど、物足りなかった。

    総括すると、十分戦える感触はあった。4トライを取れたことはプラスに評価できると思う。けれど、勝てなかったのも事実。そこの差がどこにあるのか、基本的なプレーの精度の部分から、もう一度トレーニングに落とし込んで修正していきたい。

    「試合中にうまく修正できれば勝てる相手だった」釜石シーウェイブス 小野航大主将

    ドコモWTB藏田のタックルを外して前進する釜石WTB小野主将

    ドコモWTB藏田のタックルを外して前進する釜石WTB小野主将

    自分たちの時間帯があったのに、簡単なミスでトライを取れず、逆にトライを取られてしまった。後半の立ち上がりは、風上になったことで、エリアを取ろうとして簡単にキックをして、ドコモにボールを持たせてしまったのが反省点。敵陣に入ったところで大事にアタックできていれば。

    釜石FL高田の突破をダブルタックルで止めるドコモ。ディフェンスの粘りは最後まで衰えなかった

    釜石FL高田の突破をダブルタックルで止めるドコモ。ディフェンスの粘りは最後まで衰えなかった

    (前半に飛ばしすぎたか?)

    自分たちは80分をトータルで考えたりするよりも、アタマから100%の力で行くしかない。相手は格上だし、最初のプレーから全開で行くしかない。ただ、昨年までトップリーグで戦っていたチームを相手に通用するところはたくさんあった。試合中にうまく修正できれば勝てる相手だったと思う。チームとしては伸びしろがあると思うし、次に向けて良い課題をもらったと受け止めたい。

    チームの今の目標は、第1ステージでトップ4に入ることなので、残り3試合全部勝つつもりでやる。今日は8月のヤマハ戦よりもお客さんが少なかったし、もっとたくさんの方に来てもらえるよう、エナジーを見せられるゲームをしていきたい。

    大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    プロフィールページへ


     

    記事検索

    バックナンバー

    メールアドレス
    パスワード
    ページのトップへ