日本代表はシステム遂行にこだわりすぎか、判断が見えない。 サンウルブズは地上戦にシフト。レベル高い実戦で着実に成長している。 | ラグビージャパン365

日本代表はシステム遂行にこだわりすぎか、判断が見えない。 サンウルブズは地上戦にシフト。レベル高い実戦で着実に成長している。

2017/05/01

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


こんにちは、翔太です。
29日は日本代表の韓国代表戦と、サンウルブズのチーフス戦を続けてJスポーツで観戦しました。日本代表もサンウルブズも内容のある試合でしたね。特にサンウルブズの頑張りには興奮しました。

翌30日は、ワールドカップのキャンプ地誘致を目指して改修された小田原市の城山競技場のリニューアルオープンイベントで、子どもたちのラグビークリニックのお手伝いへ。
ここのラグビースクールは、実は2015年ワールドカップのあとにできたのだそうです。驚きました。誕生してから1年ちょっとしかたっていないというのに、何というか、ずっと前から活動しているような、ラグビースクール感が出ているんです。おじさんのコーチも大勢いて、子どもたちも学年ごとに大勢いて、全部で50人くらいかな。ジャージーもそろっていて、それもそろえたてというんじゃなく、そこそこ使い込んでいる感じで(笑)。

その様子を見て、新しく始めること、始めたことを続けていくことの大切さ、力を感じました。2015年のワールドカップを契機に新たに生まれたチームも、すでに歴史を刻んでいるわけですからね。歴史は今も生まれ続けているんだなと言うことを感じました。

日本代表に感じた「システム依存症」の気配


さて、日本代表とサンウルブズの試合です。
今週は、ふたつの試合がほぼ連続して行われたので、両方のチームの戦いぶりを、無意識のうちに比べてしまいました。
サンウルブズがスーパーラグビーを戦っていることもあり、アジア選手権を戦っている日本代表は、若手が中心になっています。先週は韓国にやられたというか、5トライ29点を失う不本意な戦いだったこともあり、今週は気を引き締めて臨みました。その結果が80-10という大差の勝利です。試合後のジェイミー・ジョセフHCのコメントも、メディアでは「2トライしか与えなかった」とポジティブなニュアンスで伝えられていました。

でも本心では「2トライも取られてしまった」と思っているような気もします。というのも、トライを取られた場面だけでなく、あっさり抜かれてしまうシーンが散見されたからです。
もちろん、アジア選手権の日本代表はとても若いチームです。ただ、今回の試合で抜かれた場面を振り返ると、僕には「若さ」とまとめるのは、違うんじゃないかなと思います。

それは、言ってみれば「システム依存症」。チームのプランとして「こうするぞ」と決められたディフェンスシステムを、各選手が守ることで精一杯なんじゃないか、他のことに目を配れていないんじゃないかということです。


前に出てプレッシャーをかける、相手との間合いを詰めるというディフェンスの決め事を履行しようと、自分が前に出ることに集中しすぎて、となりにいるディフェンダーとの連携がおろそかになって、隙間ができてしまう場面があった。具体的には、前半33分くらいからの一連のディフェンスでそれを感じました。前に出る意識は徹底されているけれど、相手を前で倒そう、倒してボールを奪い返すチャンスを見つけようという、個々の意志や臨機応変な判断が窺えなかった。ディフェンスの出方が機械的になってしまって、状況に応じた駆け引きが見当たらなかった気がします。その結果、韓国に連続支配を許してしまい、ハーフタイム直前に韓国に1トライを献上してしまいました。

日本代表には厳しいことを言っているかもしれません。でも、僕がそう感じてしまったのは、日本代表の試合の直後に、続けてサンウルブズのチーフス戦を見たからです。

 

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