nagata's eye6−演歌における男女関係とラグビー日本代表 | ラグビージャパン365

nagata's eye6−演歌における男女関係とラグビー日本代表

2015/05/21

文●永田洋光


5月28日は日本ラグビーにとっての記念日だ。
26年前=1989年のこの日、日本代表は、秩父宮ラグビー場でスコットランドXVを28−24と破った。

ホームユニオンの代表チームに勝利することがどういうことなのかわからなかったから、無条件に「頑張れニッポン!」と言えるような気分にならなかった

スコットランドは、同時期に行われていたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征に主力選手を取られ、来日したのはほぼ控えのメンバーだったが、それでもNO8イアイン・パクストンのような味のあるベテラン(88年まで代表=40キャップ)や、ニュージーランド生まれでその後も代表で大活躍したCTBショーン・リニーンのような伸び盛りの若手が参加していて、それなりの実力を備えていた。

実際、1977年には同様に主力抜きで来日したスコットランドに9−74と大敗した過去もあり、26年前の観客席の雰囲気も、勝利への期待感が高まる一方で、「本当に勝てるんだろうか?」という不安感が強く漂っていた。

当日詰めかけた3万人の観客はもちろん、選手も、監督も、誰もホームユニオンと呼ばれるイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの代表に勝つのがどういうことなのか、これまで経験がなかったのでまったくわからなかった。だから、現在のように無条件に「頑張れニッポン!」と言えるような気分になれなかったのである。

2013年のウェールズとの第2戦で歴史的な勝利を収めた日本代表

2013年のウェールズとの第2戦で歴史的な勝利を収めた日本代表

ファンにしてみれば、期待しては裏切られ、もう期待することはやめようと決意したところで善戦健闘を見せられてまた期待感を膨らませ、そしてふたたび裏切られる−−それが当時の心理状態だった。ラグビーマガジンの森本優子記者が、確かこのスコットランド戦のあとにそうした関係を指して「演歌のなかの男と女の関係」だと書いていたのを覚えている。それ以上に的確な比喩を思いつかないぐらい、この指摘は鋭かった。

日本代表は翌90年4月の第2回ラグビーワールドカップ(以下、RWC)アジア・オセアニア予選でも秩父宮でトンガ、韓国に連勝するなど、短期間に大きな勝利を立て続けに挙げて、ファンからの信頼を勝ち取った。しかし、その後は、いくつか記念すべき勝利は見られたものの、『スコットランド撃破』に匹敵するような快挙は、2013年6月15日のウェールズ戦勝利=23−8=まで待たなければならなかった。“演歌のなかの女”は、また“男”にだまされ続けて24年間を過ごしたのである。

実はRWCに関しても、私は同じような思いでいる。

 

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