女子15人制ラグビー大会「OTOWA CUP」第3節マッチレポート | ラグビージャパン365

女子15人制ラグビー大会「OTOWA CUP」第3節マッチレポート

2020/12/23

文●大友信彦


Otowa Cup 第31回関東女子ラグビーフットボール大会(一般の部)が、12月20日に第3節2試合を行い、1次リーグのプール戦を終了した。

今大会には、単独チームとして昨年優勝のRKUグレースと一昨年優勝の日体大の2チーム、合同4チームのあわせて6チームが参加した。
各チームの編成とプール分けは以下の通り。

【プールA】

① RKUグレース
② 横浜TKM+東京山九フェニックス(YOKOHAMA TKM 山九フェニックス)
③ 横河武蔵野アルテミスターズ+国際武道大(Altemi-IBU-Stars)


【プールB】

④ ブレイヴルーヴ+世田谷レディース+北海道ディアナ(L.B.S)
⑤ アルカス熊谷+自衛隊体育学校(Morning Bears)
⑥ 日体大女子

第3節までの試合結果と順位

プール戦は11月22日(日)に第1節、12月6日(日)に第2節が行われ、12月20日(日)の第3節で1次リーグが終了した。各節の結果と順位は次の通り。(MIPはモストインプレッシブプレイヤー)

【プールA】

RKUグレース 12-0 TKMフェニックス (MIP:小林ちひろ/RKUグレース)
RKUグレース 29-19 アルテミ-IBU-スターズ (MIP:大塚朱紗/RKUグレース)
TKMフェニックス 8-3 アルテミ-IBU-スターズ (MIP:阪本結花/TKMフェニックス)


① RKUグレース 2勝0敗 勝ち点9 得失差+22
② TKMフェニックス 1勝1敗 勝ち点4 得失差-7
③ アルテミ-IBU-スターズ 2敗 勝ち点1 得失差-15


【プールB】
モーニングベアーズ 34-0 L.B.S (MIP:公家明日香/モーニングベアーズ)
日体大 55-10 L.B.S (MIP:阿部純佳/日体大女子)
日体大 8-5 モーニングベアーズ(MIP:人羅美帆/日体大女子)

① 日体大 2勝0敗 勝ち点9 得失差+48
② モーニングベアーズ 1勝1敗 勝ち点6 得失差+31
③ L.B.S 0勝2敗 勝ち点0 得失差-79

【得点ランキング】

1 大塚朱紗 (RKUグレース) 16 (1T4C1P)
2 古屋みず希(日体大女子) 15 (3T)
3 公家明日香 (モーニングベアーズ) 10(2T)
3 小林花奈子 (日体大女子) 10(2T)
5 人羅美帆 (日体大女子) 9(3C1P)
6 高木萌結 (アルテミ-IBU-スターズ) 7 (2C1P)

【トライランキング】

1 古屋みず希(日体大女子) 3T
2 公家明日香 (モーニングベアーズ) 2T
2 小林花奈子 (日体大女子) 2T
4 多数

昨年はRKUグレースと横河武蔵野アルテミスターズが決勝を戦い、40ー36のクロススコアでRKUグレースが悲願の初優勝。続く全国選手権でも両者は決勝で再び対戦し、互いに譲らず7ー7の同点で終了。いったんは抽選でアルテミスターズの優勝とされたが、翌日には抽選を撤回、両者優勝との裁定が下った。しかし今回は、アルテミスターズが今回は単独ではなく国際武道大との合同チームでエントリーしたこともあってかシード扱いは受けず、同じプールになった。


RUGBYJAPAN365では最終節の2試合を取材。フォトレポートをお届けする。

第1試合 TKM山九フェニックス 8ー3 アルテミ-IBUースターズ

TKM山九フェニックスLO佐藤優奈の突進

TKM山九フェニックスLO佐藤優奈の突進

昨季の全国チャンピオン、アルテミスターズは、加藤幸子がイングランドのエクセター・チーフスに留学、負傷者もあり今季は国際武道大との合同チームでエントリー。対するは横浜TKMと東京山九フェニックスの合同チーム。

TKM山九フェニックスFB鹿尾みなみが相手DFの隙間に走り込む

TKM山九フェニックスFB鹿尾みなみが相手DFの隙間に走り込む

昨年はTKMが自衛隊体育学校、ブレイヴルーヴとの合同チーム「Ponies」で、フェニックスは八戸学院大学との合同チーム「東京山九フェニックス15s」で参戦し、両者は5位決定戦で対戦していた。両チームはすでにRKUグレースと対戦してともに敗れており、プール2位をかけた対戦だった。

アルテミ-IBU-スターズのSO高木萌結がPGを成功

アルテミ-IBU-スターズのSO高木萌結がPGを成功

試合は前半、互いのディフェンスの圧力が相手アタックを上回り、相手ミスを誘い、あるいはターンオーバーを勝ち取ってはカウンターアタックの繰り返し。互いにアドバンテージを活用して攻める攻撃力はあるが、ディフェンスに回った側も規律高く速やかに戻り忠実にタックル。なかなか笛が鳴らないカウンターアタックの応酬は見応えがあった(高橋真弓レフェリーのゲームマネジメントも見事だった)。

アルテミ-IBU-スターズのSH津久井萌はリズミカルなパスさばきをみせた

アルテミ-IBU-スターズのSH津久井萌はリズミカルなパスさばきをみせた

試合は前半、風下のTKM山九フェニックスがNo8永井彩乃の突破を軸にポゼッションで優位に立ち、風下から攻めるがなかなか相手陣深くは入れず得点までは到らず。風上に立ちながらなかなかスコアできなかったアルテミ-IBUースターズは38分、相手陣近くで得たPKでショットを選択。SO高木萌結のPGで3点を先制し、3ー0で折り返した。

この日はフッカーで出場。スクラムを優位に組むなど健闘したフェニックス塩崎優衣

この日はフッカーで出場。スクラムを優位に組むなど健闘したフェニックス塩崎優衣

後半も同じようなディフェンス優位の時間が続いたが、風上に回ったTKMフェニックスがじわじわと陣地を進め、24分にCTB阪本結花(追手門学院大→横浜TKM)が逆転トライ。その後も一進一退の攻防が続いたが、TKM山九フェニックスは粘り強いタックルで小西想羅、高野眞希らアルテミ-IBUースターズ自慢の協力FWの突破を止め続け、ロスタイムには逆に相手陣に攻め込み、途中出場のヴェロニカ・スキャヴォンがPGを決め、8ー3で勝利した。

こちらも日本代表同士のマッチアップ、TKM永井彩乃がアルテミ小西想羅のタックルを突破

こちらも日本代表同士のマッチアップ、TKM永井彩乃がアルテミ小西想羅のタックルを突破

試合のMVPに選ばれたのは決勝トライをあげたCTB阪本。外側の司令塔としてアタックにアクセントを作り、アタックのアクセントを作った。サクラフィフティーン勢が並ぶアルテミFWに対し、スクラムで優位に立った渡辺莉紗、増井葵の両PR(ともにTKM)、フッカー塩崎優衣(フェニックス)の奮闘、ラインアウトにキャリーに奮闘した三村亜生と佐藤優奈の両LOの奮闘もMVP級だった。


勝利したTKM山九フェニックス集合!

勝利したTKM山九フェニックス集合!

 

第2試合 日体大女子 8ー5 Morning Bears

第2試合は、アルカス熊谷と自衛隊体育学校の合同チーム「Morning Bears」と日体大。両者はすでにL.B.S(ブレイヴルーヴ+世田谷レディース+北海道ディアナの合同チーム)を破っており、こちらはプール1位抜けをかけての対戦だった。

試合は第1試合のリプレイを見ているような展開だった。すなわち互いのディフェンスの圧力、規律が相手のアタックを上回り、ミスや孤立を誘ってはターンオーバー、PKを獲得して反撃。しかしそこでも相手のディフェンス力が上回り、数フェイズでまた攻守が入れ替わる。互いに相手陣22mラインを超えて攻め込む場面は少なく、試合時間の多くはハーフウェーをはさんだ中盤で進んだ。

第2試合で、素早いパスとキックをみせた日体大SH人羅。MVPを獲得

第2試合で、素早いパスとキックをみせた日体大SH人羅。MVPを獲得

試合開始からスコアレスの戦いが続いたが、ファーストスコアは前半22分、風下から相手陣22mライン付近に攻め込んでPKを得た日体大がショットを選択、SH人羅美帆がPGを蹴り込み3点を先行した。

パワフルな突破をみせたMorningBearsのPR藤本麻依子。今年からアルカスでプレー

パワフルな突破をみせたMorningBearsのPR藤本麻依子。今年からアルカスでプレー

対するMorning Bearsは27分、相手ゴール前に攻め込み、今季TKMからアルカスに移籍したPR藤本麻衣子がトライ。5ー3と逆転する。日体大はロスタイムの42分、再び攻め込んでPGチャンスを得るが人羅のキックはポストを逸れた。

アルカスFB今釘小町のキックにプレッシャーをかける日体大の柏木那月と高崎真那

アルカスFB今釘小町のキックにプレッシャーをかける日体大の柏木那月と高崎真那

後半は日体大が風上に回ったが、試合のトーンは変わらず、互いのディフェンスが優位なまま。それでも日体大はPR細川恭子、LO阿部純佳、No8柏木那月、CTB小林花奈子らが接点で前に出てじわじわと陣地を進め、13分に柏木がゴール前ラックからねじこみ再逆転のトライ。

後半13分、相手ゴール前の密集から日体大No8柏木が逆転トライ。決勝点となる値千金のトライだった

後半13分、相手ゴール前の密集から日体大No8柏木が逆転トライ。決勝点となる値千金のトライだった

結局これが決勝点となった。Morning Bearsは23分にFLで出場した平山愛が同点PGを狙うが失敗。その後は互いにチャンスを掴みながら攻撃を継続できず、得点を加えられず、日体大が8ー5でMorning Bearsを振り切った。MVPにはキックにタックルに奮戦した日体大SH人羅が選ばれた。

強烈なタックルをみまう日体大LO阿部純佳

強烈なタックルをみまう日体大LO阿部純佳

2試合を通じて印象的だったのはディフェンスの堅さ、ディシプリンの高さだった。ただ、それは裏返せばアタックの決定力の物足りなさとも言えるかもしれない。4チームとも、準備してきたアタックを遂行しようとする意識が高いことは窺えたが、強引にでも突破しよう、自分でトライをとりに行こうという意識はあまり見えなかった。

3点差で逃げ切りノーサイドの笛に喜ぶ日体大の選手たち

3点差で逃げ切りノーサイドの笛に喜ぶ日体大の選手たち

個々が前に出ないままで展開すれば、ディフェンス側は安心してスライドして、コンタクト局面ではダブルタックル、トリプルタックルが可能になる。必然的にディフェンスが優位になりターンオーバーが連発する。

突破を計るアルテミFL小西想羅

突破を計るアルテミFL小西想羅

加藤幸子、鈴木彩香、平野恵里子の欧州挑戦で、今季は欧州の女子ラグビーを見る機会が増えたが、各国のクラブレベルの試合では、スキル的には高いものを感じないが、何でもない場面で強引に突破して、そのままビッグゲイン、あるいはトライまで持って行く場面もままある。

レフリーを務めたのは早大3年生の池田韻(ひびき)。笑顔でゲームを柔らかくさばいた。女子レフェリーにも新しい世代が台頭してきた。

レフリーを務めたのは早大3年生の池田韻(ひびき)。笑顔でゲームを柔らかくさばいた。女子レフェリーにも新しい世代が台頭してきた。

日本国内の女子ラグビーは、規律高くチームプランを実行することでは長足の進歩を遂げているが、それだけでは強敵相手の勝利には届かない。その均衡を崩す、突破する、プラスアルファの存在あるいは戦術が必要だろう。国内の女子ラグビーは、そういう段階に入ってきた。

次に必要になるのは、相手ディフェンスの圧力を逆手にとるキックを使ったゲームメークだろうか。今回第3節では試合を見ることのできなかったが、グレースの大塚朱紗はキックに関しては国内トップクラス。

新旧日本代表の司令塔対決、高木萌結vs福島わさな

新旧日本代表の司令塔対決、高木萌結vs福島わさな

TKMフェニックスの福島わさな、アルテミ-IBUースターズの高木萌結も日本代表経験者で、皆キックの得意なSOだ。日体大の秋山歩花はもともとSHだが、國學院栃木時代はキッカーも務めている。他では日体大WTB南侑里も、TKMフェニックスのCTB阪本結花も、もともとSOでキックは上手い。

試合後はエルボータッチ

試合後はエルボータッチ

 

年明けのプレーオフではきっと、勤勉なだけでなく、停滞した状況を打開するためのキックを含めたオプション、アクション、コミュニケーションを各チームが発揮してくれるだろう。楽しみだ。

プレーオフ日程【準々決勝】1月17日(日)

M7 アルテミ-IBUースターズ 対 Morning Bears
M8 TKM山九フェニックス 対 L.B.S

【準決勝】1月24日(日)

日体大はプールBを1位通過。準決勝の相手はTKM山九フェニックスとL.B.Sの勝者だ

日体大はプールBを1位通過。準決勝の相手はTKM山九フェニックスとL.B.Sの勝者だ

M9 RKUグレース 対 M7勝者(アルテミ-IBUースターズ 対 Morning Bears)
M10 日体大女子 対 M8勝者(TKM山九フェニックス 対 L.B.S)


【決勝/3位決定戦】2月7日(日)

3位決定戦=M9敗者 対 M10敗者
決勝=M9勝者 対 M10勝者


※会場は未定

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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