関東学院六浦が佐賀工、石見智翠館破り悲願の初優勝! 第4回全国U18女子セブンズ、激闘フォトレポート | ラグビージャパン365

関東学院六浦が佐賀工、石見智翠館破り悲願の初優勝! 第4回全国U18女子セブンズ、激闘フォトレポート

2021/10/26

文●大友信彦


10月23,24日、熊谷ラグビー場で、第4回U18女子セブンズが開催され、関東学院六浦が初優勝を飾った。

大会初日のプール戦結果

大会初日のプール戦は3チーム✕4組で行われた。
プールA 1=佐賀工 2=PEARLS 3=開志国際
プールB 1=関東学院六浦 2=福岡レディース 3=鳴門渦潮
プールC 1=麗澤 2=追手門学院 3=北海道選抜
プールD 1=石見智翠館 2=京都成章 3=東北選抜

プールCでは、初出場の麗澤(千葉)が関西1位の追手門学院に14-12で逆転勝ちしてカップ戦に進出。プールDは第1、2回大会優勝の石見智翠館と昨年(第3回)優勝の京都成章が同組となり、石見智翠館が17-10で勝ちカップ戦に進んだ。

夏のオッペンカップで優勝した関東学院六浦は、初戦の鳴門渦潮には終了直前まで5-0の僅差の戦いとなったがラストプレーでトライを加え12-0。福岡レディースには43-0で大勝して1位通過。同じく準優勝の佐賀工も、初戦の開志国際には前半リードを許したが後半に逆転し、21-12でカップ戦へ。鳴門渦潮と開志国際はプール戦3位でボウル戦に回ったが、上位校だけではない女子高校ラグビーのレベルアップを証明したといえそうだ。


そして迎えたDAY2。優勝を争うカップ戦の準決勝、第1試合は優勝2回、石見智翠館と麗澤の対決。先制したのは智翠館だった。


前半3分、6.川内愛結のゲインから5永山風桜がトライ&ゴールを決め7点を先制。対する麗澤は6分、自陣22m線付近のスクラムから5.原田紗羽のキックを7.三好志歩が長躯チェイスしてトライ。5.原田紗羽がコンバージョンを決め7-7の同点に追いつく。この大会では選手の体重データは公表していないが、印象的だったのは麗澤の選手の大きさだ。日本協会の女子TIDストロングガールズPJTに選ばれた選手は6佐久間怜奈、11.山口桃佳、12.伊藤仁那の3人で、これは全12チームで最多だった。


だが時間が進むにつれて、女子セブンズの最前線を長年にわたってリードしてきた智翠館の試合運びのうまさが目立ってくる。7分、11.高井優花がステップ勝負で外へ仕掛けると、相手DFが釣られた内側に3藤原海心が走り込み鮮やかなトライ。12-7とリードして折り返すと、後半も智翠館は敵陣で多くの時間を消化するなどじっくりとゲームを進め、3分に6川内愛結、5分に高井優花が、ともに理詰めの外展開でお手本のようなトライ。サイズとフィジカルの強さで勝負する麗澤を、基礎スキルの高さとチーム全員のラグビー理解度で上回った智翠館が22-7で破り、昨季は逃した決勝に勝ち進んだ。


第2試合は夏の菅平オッペンカップでは決勝を戦った関東学院六浦と佐賀工の対決。

先制したのは佐賀工。3分、右ゴール前のラインアウトからモールを押すと、関東学院六浦がこらえきれず崩してしまいペナルティートライ。こちらもストロングガールズPJTに峰愛美主将、町田美陽の2人を送り出しているFWの強さでいきなり7点を先制する。


続く5分には4.水間美夢音のみごとなパスダミーから7.松尾汐里-5.谷山三菜子とつないでトライ。12-0とリードを広げる。水間は日大WTB水間夢翔の、谷山は筑波大CTB/WTB谷山隼大の妹。大学ラグビーで活躍する兄に負けない活躍だ。オッペンカップの決勝は24-0と六浦の完勝だったが、この日は佐賀工が逆に大きくリードを奪った。


関東六浦の反撃は前半終了直前だった。サクラセブンズ候補合宿から合流した7.矢崎桜子が右サイドをビッグゲインしてゴール前へ。そこからの左展開では一度パスが乱れたが、それが相手DFを幻惑し、再びボールを持った矢崎がトライ。7-12と追い上げて折り返すと、後半も先に関東六浦が点を取る。2分、相手ゴール前に攻め込むと、2.松澤ゆりか主将のフェイントからのパスを受けた3大友はるなが腕を伸ばして左中間にトライ。


4分には自陣のPKからクイックで攻め、4小川愛夢がうまくスピードをコントロールしながら相手ゴール前へ持ち込み、1.寺谷芽生がトライ。12.松村美咲のコンバージョンはクロスバーに弾んで成功し、19-12と逆転する。


リードされた佐賀工だったが、大型FWながら終盤になっても走力は衰えず、スピード勝負に来る六浦に猛タックルで応戦。そして7分、スクラムからのアタックでハーフウェー手前でPKを獲得。すでにロスタイムだったが、ワンプレーで追いつける7点差とあって、敵陣ラインアウトからの勝負を選択、タッチを狙ったが、このキックがタッチを出ず、捕球した関東10.高井瞳が蹴り出して試合終了。関東六浦が3年連続の決勝に進んだ。

決勝は関東学院六浦と石見智翠館の対決となった。2年前も決勝で対戦し、そのときは智翠館が36-0で完勝。昨年は準決勝で対戦し、六浦が17-15で雪辱していた。夏のオッペンカップにはともに複数チームでエントリーしたが、A同士は17-7、B同士は36-12で、ともに六浦が勝利し、六浦の2チームが4強入りしていた。
しかし、決勝が始まると、春の全国選抜時代に4度、秋の全国U18になってからも2度の優勝を飾るなど熊谷ではめっぽう強い智翠館が先に攻め込む。


相手キックオフミスからのリスタートで軽快にパスをつなぎ、一気に六浦ゴールに迫る。だが六浦のDFは崩れない。智翠館は攻めあぐねている間にノックオン。そこを六浦は見逃さない。準決勝は足首の不調で欠場したが決勝で復帰したチャレンジチームメンバーの向來桜子がボールを拾うとカウンターアタックで前進、タックルされるとすぐに松澤主将がパスを出し、サクラセブンズ候補のエース矢崎桜子がマークをスワーブで抜くと左サイドを約60m独走。ダブルサクラコの爆発で先制トライを奪った。


先制された智翠館だったが、闘志は衰えず、六浦陣に攻め込んで攻撃を継続するが、この日の六浦の防御は容易に突破を許さず、フェイズを重ねるうちにノックオンなどハンドリングエラーが出てしまう。ここは智翠館が攻めきれなかったというよりも、六浦のDFを称えるべきか。


しかし後半開始早々、智翠館が六浦DFを破った。2分、六浦のラインアウトミスで得た相手陣10m線の左中間スクラムから右にボールを動かすと、内返しパスの2連発。精度の高い防御を続けていた六浦だったがここには反応しきれない。鮮やかにインサイドブレイクした智翠館9.下村真穂がゴールポスト真下にトライ。5.永山風桜のコンバージョンも決まり、智翠館が7-5と逆転する。


だが六浦は直後のキックオフからすぐにリードを奪い返す。相手キックオフを捕った自陣ゴール前から、左サイドを矢崎桜子が仕掛けてキック&チェイス。捕球した智翠館DFに矢崎が襲いかかり、PKを奪うと向來がクイックスタート。5.西亜利沙-2.松澤主将-3.大友はるながつなぎ、右サイドにパスを出すと、そこに走り込んでパスを受けたのはクイックスタートした向來。驚異的な運動量で右端のスペースに現れた向來は、鋭いステップで相手タックラーをかわすと右中間にトライし10-7と逆転する。


だがコンバージョンは失敗し、点差は3点。トライだけで逆転できる点差とあって、智翠館も果敢に反撃する。しかし六浦のDF網は崩れない。6分を過ぎたところで、智翠館のスクラムからのアタックを自陣10m線付近で止めた向來がジャッカルでPKを獲得すると、またもクイックタップでスタート。ハーフウェーまで出たところで左へパスすると、サポートの3大友-7矢崎とパスがわたり、交替で入ったばかりの10.高井瞳が快足を飛ばし、左隅から回り込んでポスト左にトライ。西のコンバージョンが決まると、高橋真弓主審のノーサイドの笛が鳴った。



関東学院六浦・梅原洸監督


「ホッとしています。これまで2年間決勝で負けて、今年は日本一を取らなきゃいけないと思っていたし、ここまでの大会で勝てることが多かったので、実力を発揮すれば勝てると思っていました。大きなアクシデントもなく追われたのでホッとしています。
去年は大会直前に負傷者が出るアクシデントがあって、チーム全体が動揺してしまったので、その反省から、今年はメンバー全員が複数のポジションをできるように、1年間トップチームを固定しないで、選手層を厚くすることを心がけました。試合の機会を多くの選手に与えて、みんながまんべんなく試合を経験して成長したことが、この結果につながったと思う」



関東学院六浦・松澤ゆりか主将


「ただただうれしい。私は高1から出させてもらっていて、決勝を戦うのも3回目。決勝はずっといいイメージで試合が進むわけがないことはわかっていたし、それぞれが責任感あるプレーをしたのが良かった。逆転されたときも、ディフェンスは崩れていなかったので、不安はありませんでした。


今季は下級生の時から出ている3年生が多いけれど、ファーストミーティングのときに監督が『今年から3連覇しよう』といって、後輩も育ててやってきた。中学生も一緒に練習しているので、来年にもつながるシーズンになったと思う」


(左から)MVPの向来、松澤主将、梅原監督

(左から)MVPの向来、松澤主将、梅原監督

MVP表彰を受ける向来

MVP表彰を受ける向来


MVP:関東学院六浦・向來桜子


「準決勝は、足首が少し痛かったので、大事をとって休ませてもらいました。でも決勝は、勝たないといけない試合だとわかっていたし、痛みは全然感じませんでした。自分も高1、高2とここで決勝に出させてもらって、今年は違うプレッシャーもあったけれど、その中でしっかり仕事をしたかなと思います。自分の六浦での仕事は外側勝負よりもインサイドのキャリーとディフェンスなので、今日はディフェンスでチームを助けられたかなと思います」

3位決定戦 麗澤 22-12 佐賀工

プレート準決勝1 追手門学院 10-10 京都成章(抽選で追手門が決勝へ)

プレート準決勝2 PEARLS 31-7 福岡レディース

プレート決勝 追手門学院 12-7 PEARLS

プレート3位決定戦 京都成章 24-5 福岡レディース




準決勝では追手門学院と京都成章が10-10のドロー。セブンズのトーナメント戦では延長戦が行われることが多いが、今回は抽選にゆだねられ、追手門が決勝へ進出。決勝ではPEARLSと対戦。試合はPEARLSがTIDとセブンズジュニアメンバーでもある2水谷咲良のビッグゲインから6出口ありい主将が先制トライ。

プレート優勝の追手門学院

プレート優勝の追手門学院



追手門は6分、相手ゴール前のラインアウトでファンブルを誘い、インゴールでボールを持った相手にプレッシャーをかけて、4小西春菜がタックルで相手落球を誘い、5松下小雪がトライ。チャレンジチームメンバーの7松田向日葵がコンバージョンを決め同点で折り返すと、後半3分には自陣10m線の左中間スクラムからSH小西春菜がサイド突破でそのまま60mを走りきるみごとなトライで勝ち越し。表彰式後は、準決勝で引き分けた京都成章と一緒に記念撮影。プレート優勝の栄誉を分かち合ういい光景だった。

ボウル準決勝1 北海道選抜 10-7 東北選抜



ボウル準決勝2 開志国際 32-5 鳴門渦潮


ボウル決勝 開志国際 54-0 北海道選抜


ボウル3位決定戦 鳴門渦潮 38-10 東北選抜

プール戦で佐賀工、PEARLSを追い詰めた開志国際が、ボウル戦では別格の強さを見せつけた。鳴門渦潮との準決勝では、試合開始の相手キックオフから、TIDメンバーでもある5小池くるみ主将が70mを独走するノーホイッスルトライで先制。そこから7.小島里緒、6.西夏穂、2.熊澤彩乃らが次々とトライし32-5と大勝。北海道選抜との対戦となったボウル決勝では、7.小島里緒が3トライのハットトリックをあげるなど8トライを奪う猛攻で54-0と圧勝した。

準決勝の北海道選抜v東北選抜の北日本対決は、7-5とリードした東北が後半6分、相手ゴール前のDFでPKを奪って速攻、みごとにトライ! と思われたが惜しくもスローフォワード。そのスクラムから攻めた北海道はPKをはさみ、2辻村晴海のビッグゲインから10白幡来美が残り0分の逆転サヨナラトライ。北海道単独チームとして初のボウル決勝進出を果たした。

ボウル優勝の開志国際

ボウル優勝の開志国際


初戦で関東学院六浦と終盤まで5点差の激戦を演じた鳴門渦潮は、最後の東北選抜戦で6高田夢月、7辻川綾音が2トライずつあげるなど6トライを奪い初勝利。敗れた東北選抜も、大きくリードされたあとで9小林海、7町田風羽がトライを返すなど、試合を重ねるごとにパフォーマンスをあげていた。カップ、プレート、ボウル各トーナメントとも女子高校生セブンズのレベルアップを証明する大会だった。


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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