桐蔭学園が初の単独V、後半御所実の強固なディフェンスを打ち破り今季3冠達成 | ラグビージャパン365

桐蔭学園が初の単独V、後半御所実の強固なディフェンスを打ち破り今季3冠達成

2020/01/08

文●編集部


7日、第99回全国高校ラグビー大会決勝、御所実(奈良)と桐蔭学園(神奈川)の一戦が花園ラグビー場で行われた。全国51校による熱き戦いの最終決戦。朝から雨が降っていたが試合前にはほぼ止んでいた。初優勝をかけた御所実。単独優勝をかけた桐蔭学園。今季春の選抜大会と同じカードとなった。

 

前半4分、御所実がドライビングモールで押し込む

前半4分、御所実がドライビングモールで押し込む

御所実のキックオフから試合開始。桐蔭学園SO伊藤大祐キャプテンがキックでハーフウェイまでまずは蹴り返す。序盤流れを引き寄せたのは御所実。桐蔭学園のミスからスコアにつなげた。前半3分、御所実SO高居海靖(3年)のハイパント処理をミス。御所実は敵陣22m内側でのマイボールラインアウトのチャンス。

SH稲葉聖馬がトライ

SH稲葉聖馬がトライ

直後のラインアウトから真骨頂のドライビングモールでインゴールへ。SH稲葉聖馬(3年)がグランディングし御所実がトライ。FB石岡玲英(3年)のコンバージョンも決まり7-0。

桐蔭学園SO伊藤大祐はキックでエリアマネジメント

桐蔭学園SO伊藤大祐はキックでエリアマネジメント

 

前半14分、御所実・CTB谷中のトライでリードを広げる

前半14分、御所実・CTB谷中のトライでリードを広げる

14分、桐蔭学園は自陣22m付近でキックボールをキャッチできずノックオン。御所実がマイボールスクラム。CTB13冨岡周(3年)を走らせ前進。さらにNO8西林勇登(3年)でゴールまで10m近くまで迫る。SH稲葉は左サイドへ展開。

CTB12谷中廉(3年)がタックルをされながらも低い姿勢でインゴールへ入りトライ。石岡のコンバージョンも決まって14-0とリードを広げた。

前半19分、桐蔭学園CTB桑田のPG

前半19分、桐蔭学園CTB桑田のPG

直後のキックオフ。御所実は空中での危険なタックルでペナルティ。桐蔭学園はショットを選択。位置は、10mラインからやや内側に入ったところ。蹴るのはCTB12桑田敬士郎(3年)。落ち着いて決めて3点を返す。

前半も残り10分、互いにキック合戦で10mライン近辺での攻防が続く。24分、桐蔭学園SO伊藤のゲインから22m手前までボールをキャリー。FWでフェイズを重ねボールをキープ。伊藤がドロップゴールを狙うも失敗。

29分、御所実は敵陣10mでラインアウトモール。桐蔭学園FW陣がタッチラインに押し出しドライビングモールを止めた。先制トライを許したドライビングモールへの悪い印象が吹き飛んだ桐蔭FWの頑張りだった。

NO8佐藤健次(2年)

NO8佐藤健次(2年)

ロスタイムは1分。御所実FB石岡がタッチに蹴り出しゲームを切ろうとしたが、残り時間がまだあり桐蔭学園のチャンス。

FWながら、BKラインにも入って抜群のボールキャリーをしたLO青木恵斗

FWながら、BKラインにも入って抜群のボールキャリーをしたLO青木恵斗

ここで1トライ1ゴールをとると4点差。試合の流れを大きく変える状況で、ここまで1トライしか奪われていない御所実のディフェンスが光った。14フェイズかけてゴール前まで攻め込むが、粘り強く止める御所実。桐蔭学園が15フェイズ目にヘッドダウンでペナルティ。14-3と御所実がリードし前半を終えた。

 

後半桐蔭学園の追撃はキックオフボールをマイボールにしたところから始まった

後半桐蔭学園の追撃はキックオフボールをマイボールにしたところから始まった

「1本トライを取れたら射程圏内になるのでどうしたらいいかじっくり考えていた」(桐蔭学園・伊藤キャプテン)相手を追い詰めるため、桐蔭学園は1段ギアをあげアタックを仕掛ける。キックオフボールをコンテストしてマイボールにした桐蔭学園。14フェイズかけアタックを継続する桐蔭学園だったが、ボールがこぼれ御所実ボールへ。御所実が桐蔭学園陣内にキック。御所実選手たちのプレッシャーが襲いかかる。桐蔭学園は何とかボールをキープ。ハーフウェイ付近で御所実がペナルティをして桐蔭学園が再び敵陣に入り込む。

ゴールラインに攻める桐蔭学園。湯気が立ちこもる

ゴールラインに攻める桐蔭学園。湯気が立ちこもる

桐蔭学園はここでSHを亀井健人(3年)から島本陽太(3年)へ交替。さらに攻撃のリズムに変化をつける。左サイドのラインアウトから、右オープンサイドへ展開。敵陣22内側まで前進。5フェイズかけ5mラインまで前進。FWにこだわりフェイズを重ねる。

後半6分、LO青木のトライで10-14。

後半6分、LO青木のトライで10-14。

18フェイズ目、LO青木恵斗(2年)がトライ。CTB桑田のコンバージョンも決まって10-14。桐蔭学園の追撃が始まる。

コンバージョンキックを蹴るCTB桑田

コンバージョンキックを蹴るCTB桑田

 

 

後半16分、SO伊藤のビックゲイン

後半16分、SO伊藤のビックゲイン

桐蔭学園が怒涛の攻撃で御所実はなかなか自陣を脱出することができない時間帯が続く。16分、桐蔭学園SO伊藤が自陣10m付近からビックゲイン。

伊藤からFB秋濱へパス

伊藤からFB秋濱へパス

 

FB秋濱が右隅に走り込む

FB秋濱が右隅に走り込む

一気に22mまでボールをキャリーしFB秋濱悠太(2年)へパス。秋濱がそのまま右隅にトライ。桐蔭学園が15-14と逆転に成功。

秋濱が右隅にトライ

秋濱が右隅にトライ

 

 

桑田のコンバージョンは決まらず15-14

桑田のコンバージョンは決まらず15-14

 

3人がかりでNO8佐藤をとめる御所実ディフェンス

3人がかりでNO8佐藤をとめる御所実ディフェンス

1点をめぐる攻防。残り時間は10分。20分、御所実が自陣22手前でノックオン。桐蔭学園がチャンスを迎える。ボールを入れるのはNO8佐藤。スクラムから佐藤がボールをキャリーし22内側へ前進。さらにフェイズを重ねゴールまで10m。

後半23分、LO青木が右手一本でオフロードパス

後半23分、LO青木が右手一本でオフロードパス

じっくり攻める桐蔭学園。トライを許さない、強い気持ちでブレイクダウンでもプレッシャーをかける御所実。お互いのプライドがぶつかる攻防が続く。17フェイズ目、御所実はややカウンターラック気味になりボールに集まったディフェンス。SH島本が右サイドへ展開。そこで待っていたのはLO青木。タックルを受けながら右手一本のオフロードパス。

パスを受けたWTB西川賢哉がトライ

パスを受けたWTB西川賢哉がトライ

大外のWTB西川賢哉(3年)に繋がりトライ。桑田のコンバージョンはゴール右にそれてスコアは20-14。残り5分で1トライ1ゴール。

 

残り6分で20-14と桐蔭学園がリード

残り6分で20-14と桐蔭学園がリード

 

桐蔭学園SO伊藤のショートパントとキックで桐蔭学園が再び御所実陣内に。

桐蔭学園SO伊藤のショートパントとキックで桐蔭学園が再び御所実陣内に。

御所実としては敵陣での時間帯をキープして逆転を狙いたい場面、その流れを断ち切ったのは、桐蔭学園SO伊藤の1プレーだった。

伊藤がショートパントで裏スペースにキック。さらに伊藤がそのボールを敵陣へ蹴り込むと、ボールは敵陣22手前のタッチラインを割った。御所実としては何とかボールをキープして早く敵陣に入りたい場面。スローしたボールが桐蔭学園へ。桐蔭学園が再びゴール前に迫る。

桐蔭学園は再びアタックを繰り返し、27分、伊藤のドロップゴールで勝負を決めた

桐蔭学園は再びアタックを繰り返し、27分、伊藤のドロップゴールで勝負を決めた

8フェイズ目、SO伊藤のドロップゴールが決まり23-14。試合はそのままノーサイド。桐蔭学園は初の単独優勝を果たした。4度目のファイナル進出だった御所実は初優勝を飾ることができなかった。

桐蔭学園初の単独優勝の瞬間

桐蔭学園初の単独優勝の瞬間

 

勝利が決まってから桐蔭学園・藤原秀之監督はこれまでの苦労を振り返っていた。

勝利が決まってから桐蔭学園・藤原秀之監督はこれまでの苦労を振り返っていた。

 

決勝戦にふさわしい見ごたえのある好ゲームになった

決勝戦にふさわしい見ごたえのある好ゲームになった

  

桐蔭学園 藤原秀之監督


花園に来てから随分長い間、単独優勝届かなかったので、いろんなことが走馬燈のようによみがえってきました。(単独優勝は)素晴らしい景色ですね。勝って生徒を迎えられるのは監督冥利に尽きます。何度も跳ね返されて、7回目ですがやっと。全国大会出るのに神奈川県7回かかりました。優勝するのもそれくらいかかるのかなと思いながら、負けて帰ったとき何回も何回も心が折れそうになったことがあった。七転び八起きの精神で生徒とともにやってきた。報われたかなと思います。

素直に嬉しい。ちょっと長かったなという気持ちもありますし、もしかしたら2度とうちには優勝は転がりこんでこないかと思っていたが、花園の神様がうちにほほえんでくれた。

4点差で折り返してくるかなと思ったが1本取れなかった。後半10分以内に取ればワンチャンスくるなと思った。前半はうちのエラーでしたが、後半、向こうの相手がサインミスだと思いますがSHがいったときにいいディフェンスして流れが来た。うちのボールキャリーが前進できていた。BKがゲインし始めて、外側でチャンスあるとわかっていました。後半、10番の伊藤が(ランするのを)4試合溜めていたので、どっかで使ってくる。(伊藤に)力が残っていたのでよかった。


――後半序盤にSHを交替した点について


先発は亀井ではなく島本の方がいいかなという僕の中での予想があったが、今大会、亀井がスピードがあり調子が良かった。前半ちょっと頭打ったところもあったので替えた。もう少し早く替えても良かったかもしれない。(島本は)こういうゲーム得意だし、正確だし、期待通りやってくれました。

――これまで2点差、5点差で泣いたが今年は勝ちました


全国大会で勝ちきるのは何か一つ欠けても勝てないですし、一辺倒のことをやっても勝てない。すべてのことを全部やってその結果、勝ち負けは、あとからくるかもしれませんが、生徒が次のステージに上がっていけるように。もしラグビーを次のステージでやらなくても指導者とかで彼らが楽しんで教えられるように、そんなクラブのカルチャーを作りたい、それはずっと前から一緒ですし、それはできていると思います。

すべてのことを想定して最後までやり切った。100%準備をした。今まではそれが足りなかったのかな。僕のマネジメントだと思いますが、ここまででいいではなく、99%ではダメ。100%の準備をしようとずっと言ってきました。それをやりきったのでこういう結果になった。

――長かったですか短かったですか?


竹田先生より短いですよね。途中で僕もまだまだ修行は足りないかなと思いましたが、うちの方が1回多く負けているんですかね。


――これまでのチームとの違いは?


3年生は24人しかいない。3位、準優勝と悔しい思いをしてきて、そういう経験が準備に出た。足りないものはなんだったのか。その先輩達は自分たちを踏み台にしろとさんざん言っていた。それがすべてです。

――「優勝できるような準備を」と伊藤キャプテンが言っていた


その通りだと思いますし、素晴らしい言葉だと思います。本当に、キャプテンではなく監督を超えるような子どもだと思います。


――関東勢としては、国学院久我山以来(第77回大会)の単独優勝です。


そうですね。関東が弱い弱いと言われていますが、みんな他の監督さんも頑張っているので、本当に箱根の山を越えられたのは良かった。少し風穴を開けられたかなと思います。


――帝京、東海にいったことは


ものすごく大きかった。岩出監督も木村監督も日体大の先輩ですし、日体大にも行きましたが、日体大の先輩がこうやって胸を貸してくれたのでこういう結果になったんじゃないかなと思います


――100回大会。連覇を狙う大会になりますが


まずその舞台に上がることが大変。また戻ってこられるようにがんばりたい。

桐蔭学園 伊藤大祐キャプテン


優勝して最高でした。一番思い浮かべたのは藤原先生に「ありがとうございました」という感謝の気持ちでした。2年間目指してきた中で一度も取れなかったタイトルなので、取れてよかった。松島幸太朗さんの45期に同校優勝だったんですが、昨日の夜、スタッフにも「そろそろ決着つけよう」と言われて単独優勝への思いは高まりました。それが成し遂げられてよかった。

桐蔭学園に3冠をもたらしたというのは大きな自信になります。3年生は次のステージに向かっていきます。僕自身、今日の試合が100%の試合だったわけではないですし、反省点もあります。将来の夢は日本代表なので、そこはしっかり修正して新たなステージでレベルアップできるように頑張っていきたい。

一回ショートパントを蹴って、敵陣に入れたところ。やっとリードしてああいう選択で敵陣に行くことができた。ラインアウトプレッシャーをかけてペナルティーもらってPG。そこで3点とれるのも何となくイメージしていたのでよかった。御所実さんはディフェンスのチームだと思っていたので、東福岡のような100m使ってトライをとってくるようなチームではないというのはわかっていたので、とにかく敵陣に入る。それがいい形でできてよかった。

準備が全てというわけではないですが、ある程度の想定、リスクマネジメントをするというのは大切だと思います。試合中になにか起きたときに対応できるというのが良かった。

多少雨の影響でボールが滑る感じがありましたが、基礎スキルの部分は、1、2、3月のところでじっくりやってきていたので大会でもうまくいったと思います。


――仲間に対して


1年間、ウザいキャプテンだったと思います。しっかりついてきてくれてみんなのおかげで優勝できたと思っています。決勝戦だけ僕が走っただけで、それ以外の試合はみんなが走ってくれた。ディフェンスもみんなが頑張ってくれたので感謝しています。

――監督が4試合ためておいて今日は走ったと言われていましたが


作戦どおりといえばそうですね。しっかりためておいてよかったです。劣勢になったら走ろうかと思っていましたが、準々決勝でも準決勝でも劣勢にはならならなかったので見せる必要はないかと思い、そこは自分でうまくコントロールできました。

これから桐蔭学園が優勝したことで注目されると思います。「見られる」立場になるということで言動や態度も気をつけて後輩たちには令和の高校ラグビー界を引っ張っていってほしいです。

――今日も相手の歴史についてのプレゼンがあった?


ありました。はじめは須賀コーチが御所市の歴史を話してくれて、その後2年生4人が御所実高校の歴史を話してくれました。こういう高校なんだとかどうして御所実はラグビーが強いのか、というところも理解できました。それが決勝に役立ちました。


夏合宿負けて、チームをもう一度やり直そうということを決めました。それが一番、自分たちは日本一ではないということを再認識してチャレンジャーとしてやれたのでそれがよかった。色々厳しいことも苦しいこともしっかり乗り越えてやってきました。「一心」ということを掲げてやってきてみんなに感謝したいです。


最初は先行したいというのはありましたが、先に2本取られてしまったので、どういうゲームするのか、後半始まる前にじっくり考えて1本取ったら射程圏内なのでそれからどうしようか考えながら試合をしていました。


――落ち着きがあるように見えましたが


昨年の決勝も経験しているプレーヤーがいるというのは大きかった。リードされている場面でも、落ち着いてプレーができたので、決勝の舞台を経験させてくれた、昨年の先輩たちにも感謝したい。1年生から出場させてもらって何もできなかったですが、しっかりそこでずっと経験を積ませてもらったのが大きかった。


――桐蔭学園にとって新しい伝統ができました


今年は今年。次の年は次の年。僕もこの日に「新チームが始まった」と言いました。佐藤(健次)も、青木(恵斗)も、秋濱も切り替えてやっていってほしい。


桐蔭学園 STATS

1 床田淳貴
2 中山大暉
3 岡広将
4 安達航洋
5 青木恵斗 36'TRY
6 久松春陽大
7 石塚勝己
8 佐藤健次
9 亀井健人 33'OUT
10 伊藤大祐(Cap) 57'DG
11 飯塚稜介
12 桑田敬士郎 19'PG 37'54'G
13 渡邉誠人
14 西川賢哉 53'TRY
15 秋濱悠太 46'TRY
16 真利香之輔
17 武田烈輝
18 倉島昂大
19 平石颯
20 渡部創太郎
21 島本陽太 33'IN
22 榎本拓真
23 樋口豪
24 天羽秀太
25 粟飯原謙


御所実 STATS

津村大志(左)、石岡玲英(右)

津村大志(左)、石岡玲英(右)

御所実 STATS

1 津村大志
2 元林祐太 55'OUT
3 島田彪雅
4 平井半次郎
5 川上善也
6 蓑洞功志
7 長船鉄心 8'TRY
8 西林勇登
9 稲葉聖馬 9'TRY 60'OUT
10 高居海靖
11 安田昂平 13'34'TRY
12 谷中廉
13 冨岡周 60'OUT
14 澤口飛翔 3'OUT
15 石岡玲英 8'22'34'G
16 小林龍司
17 山内翔大
18 中森樹生 55'IN
19 柳田京助
20 荒島海陸
21 登根大斗 60'IN
22 高山瑛介 60'IN
23 黒木潮音
24 須股草太 3'IN 60'OUT
25 生田弦己 60'IN

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