歴史的な名勝負に―東福岡対東海大大阪仰星、激闘の全て | ラグビージャパン365

歴史的な名勝負に―東福岡対東海大大阪仰星、激闘の全て

2021/01/04

文●編集部


1月3日、東大阪・花園ラグビー場では第100回全国高校ラグビー大会準々決勝が行われた。第4試合、東福岡(福岡)対東海大大阪仰星(大阪)の一戦は、歴史に刻まれるであろう激闘となった。試合終了のホイッスルが吹かれたのは48分。15分以上のロスタイムを戦い抜いた選手たちの全てを振り返る。

HIGHLIGHTS

MATCH

試合開始早々にWTB大畑がスピードを生かしてゲイン

試合開始早々にWTB大畑がスピードを生かしてゲイン

 

仰星PR川口も縦の攻撃でゴール前に迫る。

仰星PR川口も縦の攻撃でゴール前に迫る。

 

東福岡HO村尾がボールに絡み、ピンチを脱する。

東福岡HO村尾がボールに絡み、ピンチを脱する。

 

仰星CTB野中の突破からチャンス

仰星CTB野中の突破からチャンス

最初にスコアしたのは仰星。前半12分、敵陣10m付近のマイボールラインアウトからモール組んで、左オープンサイドへ展開。CTB13番野中健吾がゲイン。22m内側までキャリー。ブライドサイドへ展開。

初先発のHO三村がゴール前に迫る

初先発のHO三村がゴール前に迫る

東福岡がたまらずペナルティー。仰星はクイックスタート。HO三村真嶺がゴール前までキャリーしポイントを作ると、NO8倉橋歓太がギャップを走り抜けトライ。

NO8倉橋が先制のトライ

NO8倉橋が先制のトライ

 

 

直後のキックオフボール、東福岡が前に出るプレッシャーでSO楢本幹志朗がボールに絡みPKを獲得。ゴール前のラインアウトのチャンス。モールを作って押し込むがノックオン。仰星のディフェンスに隙がない。

前半23分、東福岡は自陣10m付近からNO8茨木颯がビッグゲイン。一気に敵陣22mまでボールをキャリーしポイントを作る。一度落ち着かせてFW中心にゴリゴリとフェイズを重ねる。

26フェイズ目、東福岡はBKへ展開するも、残り5mから10mのところで仰星ディフェンスに阻まれる。さらにボールをキープする東福岡。

東福岡CTB寺下がスペースをついてゴールラインに迫るが…

東福岡CTB寺下がスペースをついてゴールラインに迫るが…

35フェイズ目、CTB寺下功起が抜けてトライなるかと思われたがここも仰星が凌ぐ。ただ、仰星にオフサイドのペナルティーがあり東福岡ボールでリスタート。

フェイズを重ね、ようやく仰星ディフェンスをこじ開けCTB平がゴール中央へトライ

フェイズを重ね、ようやく仰星ディフェンスをこじ開けCTB平がゴール中央へトライ

29分、タップキックでリスタート。PR本田がポイントを作ると今度は素早くBKへ展開。ディフェンスが整備されていない状況で、CTB平翔太がトライ。コンバージョンも決まって7-7で前半を終えた。

後半開始早々、東福岡がカウンターラックでボールを展開。ただ、ゲインラインを突破することができない。3分、東福岡ボールのスクラム。左オープンサイドへ展開。CTB平翔太がインゴールへグラバーキック。仰星がノックオン。5分、ゴール前スクラム、右オープンサイドに6名のBKライン。

用意してきたプレーでしっかりとトライを奪った東福岡

用意してきたプレーでしっかりとトライを奪った東福岡

東福岡は平がデコイラン、FB坂本からCTB川端へ内に返すパスが通り突破。ゴール中央にトライ。FB坂本のコンバージョンも決まって14-7と逆転に成功する。

 

これで勢いがついた東福岡は直後のキックオフボールを自陣から展開。100kgを超える体格ながら、「50m、7.9秒」という快足のPR本田が自陣10mから激走。敵陣10mまでボールをゲイン。

内に返してFB坂本がそのままインゴールへ。ノーホイッスルトライ。坂本はボールグラウディング時に右肩を脱臼。そのまま負傷退場となってしまう。コンバージョンを蹴るのは、CTB平。ここは落ち着いて決め21-7とリードを広げた。

ファーストキッカーだったFB坂本がこのプレーで負傷。

ファーストキッカーだったFB坂本がこのプレーで負傷。

 

リードを広げられ、嫌な流れになった局面でその流れを大畑が変えた

リードを広げられ、嫌な流れになった局面でその流れを大畑が変えた

追いかける仰星は15分、自陣22m手前のラックでターンオーバー。ボールをもったWTB大畑が一気に60m独走。そのままインゴールへトライ。14-21とし残り時間は15分弱。

 

 

直後のキックオフボール、東福岡がマイボールにするも、仰星がカウンターラックでターンオーバー。ヘッドキャップが取れて、仰星ボールのスクラムでリスタート。タップで仰星がリスタート。ゴールまでフェイズを重ね、仰星が確実にゲイン。PR前川直哉がゴールポスト横へボールをグラウディングし同点。

前川のトライで21-21の同点とした仰星

前川のトライで21-21の同点とした仰星

 

後半24分、平がPGを狙うも失敗

後半24分、平がPGを狙うも失敗

追いつかれた東福岡は24分、敵陣22m手前でPKを獲得。ショットを選択。ファーストキッカーの坂本は負傷でそのまま交代となったためキックを蹴るのはCTB平。ボールはゴールポスト右をかすめ失敗。スコア変わらず21-21のまま。

互いに粘り強いディフェンスそしてアタック。力と力の勝負はロスタイムに突入する

互いに粘り強いディフェンスそしてアタック。力と力の勝負はロスタイムに突入する

ライニングタイムは30分を超え、東福岡は自陣からフェイズを重ね、敵陣22mまで前進。互いに力勝負。30フェイズ、仰星必死のディフェンスで東福岡は前進することができない。

この局面で、キックパスを選択した東福岡の懐の深さを感じたプレー。残念ながら、直前のペナルティーでトライは認められず

この局面で、キックパスを選択した東福岡の懐の深さを感じたプレー。残念ながら、直前のペナルティーでトライは認められず

32フェイズ目、ショートパントに反応した東福岡FB西端玄汰がボールをグラウディングしてトライかと思われたが、事前のプレーで東福岡がノーボールタックルのペナルティー。トライは認められずゲームが再開。

22m内側でPKを獲得した東福岡、スクラムを選択

22m内側でPKを獲得した東福岡、スクラムを選択

自陣から脱出を試みる仰星。東福岡の分厚いディフェンスでなかなか前進できず、17番西野帆平がボールに絡みゴール前でPKを獲得。ファーストキッカーがいない東福岡は、ショットではなくスクラムを選択。ランニングタイムで39分を超えた。

FWでフェイズを重ねる東福岡。「やりきれ!」「ヘッドアップ!」。攻守共にプライドをもってゴール前の攻防が続いた。23フェイズ、仰星がゴール前でボールを奪う。

仰星が逆転をかけアタックをかけるもノックオン。21-21で引き分け。ランニングタイムは48分。互いに力の全てを出し尽くした両校の選手たち。試合終了とともに互いの健闘を称えた。

互いに「やりきった」という充足感と「勝ちきれなかった」悔しさが入り混じっていた。

互いに「やりきった」という充足感と「勝ちきれなかった」悔しさが入り混じっていた。

 

 

トライ数、ゴール数、ともに同じだったため準決勝へ進出するための抽選を行った。抽選の結果、東福岡が準決勝進出を決めた。

試合終了後に行われた準決勝の抽選結果、5日の組み合わせは以下のとおりとなった

第1試合 12:45KO 京都成章 ー 東福岡 
第2試合 14:30KO 大阪朝鮮 ー 桐蔭学園

「仰星さんと当たれてよかった。監督をする限りでこの試合は語り継がれる」 東福岡高校 藤田雄一郎監督

仰星さんとこんなゲームできて嬉しいですね。勝ったり負けたり、湯浅監督とも交流が深いし。夏くらいまで仰星と差があったが、試合で修正してもらった。ディフェンスは石見(智翠館)さんの分もという気持ちもあったと思う。次は仰星さんの分も背負って戦ってくれると思う。


――後半PG狙える場面がありました


メインキッカーがケガしてしまったので、あそこで狙うくらいのメンタルの強い、セカンド、サードキッカーを作っておかないといけない。仰星と東福岡らしい、どこまでも攻め続け合えるチームなので。

――引き分けという結果について


今年の力は仰星の方が上だと思っていたので、選手たちはよくコンタクトに挑んでくれて、仰星さんのFWとうちのFWが本当に気持ちいいくらいやり合って、48分。48分なんて見たことない!100回大会で、仰星と熱いゲームができて、抽選で行かせてもらうのは、すがすがしいとうか、準々決勝で仰星と当たれて良かったな、高校ラグビーっていいなと思います。

――仰星の主将が『30人で一つのチームでプレーしていた』と言っていましたが


ノーサイドをしたくないというか、仰星と東福岡の友好関係というか、両校、終わりたくないやろうなと。


――100回大会で思い出に残る試合だったのでは?


ですね。大きいですね。両監督、湯浅監督も、あのときのゲームと、監督をする限りは語り継がれると思う。仰星というチームとやれて本当に良かった。仰星、湯浅監督の思いも背負って、東福岡らしくないと言われるかもしれないが、そういう高校ラグビーをちょっと、彼らもやりたいと思うので、次の京都成章に挑んでいきたい。

――成章戦に向けて 


成章も力が上だと思うので、挑んでいくことをテーマにやっていきたい。疲労を取るしかない。疲労を取って、万全な体勢でやってあげるしかない。これだけのゲームをやっているので、明日、何をやっても変わらない。


――PR本田について 


調子いいですね。替えなければいけないポジションですが、この2試合は替えられなかった。



――抽選の瞬間はどんな様子でしたか?


両キャプテンとも冷静で、出場権あり、なしで、同時に引いて、うちのキャプテンは申し訳なさそうでした。

「そろそろ東福岡らしいラグビーも。でもチャンスがあればFWでも攻める」東福岡 PR本田啓

試合をやっていてただただ楽しかったです。技で取るんじゃなくて、お互い力で取りに行くという展開で。これで自分の高校ラグビー生活が終わるんだと思えば体も勝手に動きました。タイトな試合になるとは思っていましたが、こんな展開になるとは思っていませんでした。22mに入ったら、FWで攻めて(トライを)取り切るというのは前の石見智翠館戦からチームの強みになっているので、そこは決めていました。ゴール前は自陣も敵陣もどっちも我慢で、最後までその思いを統一していました。

――ランでも速かったですね


スピードは体重の割にはあると思います。50m7秒くらい。ボールもったら速くなると言われます。


――藤田監督は今年のチームはBKに強みがあると言っていましたが、大会が始まるとFWもパワフルですよね。


花園っていう場所は、どんどん成長できる場所で、確かにうちの(チームの)強みはBKなんですが、FWも成長できていると思います。


――仰星のキャプテンが後半は敵とか味方とか関係なく、30人でラグビーをしている感覚だったと言っていました。


スクラム中でも、FWだけですけど仰星さんと会話したり、本当に楽しい。

――どんな話をしていた?


このゲーム最高じゃない?決勝や。とか。事実上の決勝や、お互いやりきろうという話をしていました。本当に楽しかったです。


――笛がなった時どんな気持ちだった?


楽しくてお互いにやりきったという感じでみんな笑顔でしたね。


――抽選については?


結果についてはキャプテンを信じるしかないので、出た結果に対して、喜びも悲しみをせずにバス乗るまで自分を演じきる気持ちでした。


――この試合を経験したことで何に役立てたい?


そろそろヒガシらしいBKを活かした広くワイドに展開したラグビーをやりたいし、それでもチャンスがあったらFWでバンバン攻めていきたい。



「この経験から大きく成長していってくれる」 東海大大阪仰星 湯浅大監督

東福岡さんとの過去の成績を見て、ヒガシとはとはこういう点差になるんですよといって。引き分けってこんな事あるんですね。


――49分まで戦ったことはないですよね?

大学のロスタイムでも見たことないですね。本当に彼らはすごい。これからこの経験から大きく成長していってくれると思います。


――7-21となってから追いつくまでの集中力


それは彼らが積み重ねてきたもの、とにかく仰星の一番大切なところを見れたと思います。ただ、スタートのところのヒガシさんの集中力もすごいなと思いました。


――東福岡がキックパスでトライに迫る攻撃がありました。


やってきたことを見せる品評会ではないので、1点でも多くスコアしなければならない勝負なので、身の引き締まる思いです。ああいうプレーを見せられて、もっと自分たちも積み上げていきたいですね。


「プレー中に先に『ノーサイド』が来ていた感じだった」 東海大大阪仰星 SO近藤翔耶キャプテン

――抽選の結果は


次回出場権なし、ということです。前半からお互いの持ち味を出してファイトできた。キャプテンとしてチームのトップに立たないといけないが僕からのミスからポンポン取られてしまったのは反省です。花園は何が起こるかわからないので、日々の積み重ねを怠ってはいけないと思います。花園は最高の場所です。

――後半はどんな戦いにしたかった?


2本じゃ追いつかないので3本取ろうとした。


――東福岡の印象は


自分たちの決めたことを遂行仕切るチームだった。全員でファイトする、味方を考えてファイトし続けるチャレンジし続ける最後のプレーで見せられた。もう同じチームでもやることはないが、会場に来られなかった仲間たちに感謝して、(後輩達たちは)仰星の根幹を見て、やってほしい。



――試合終了は48分05秒でした


東福岡というスペシャルな相手なので、もっとやりたいと思いました。今までで一番長い後半だった。敵と味方ではなく、30人で試合しているというか、トライ取られるとか勝敗もありますが、一体感というかプレー中にノーサイドが先に来ていた気がします。

「後悔よりやりきったという気持ちの方が大きい」東海大大阪仰星 NO8倉橋歓太

楽しかったです。ヒガシもバチバチで。今年一番いいゲームだった。昨日の夜、これまで仰星とヒガシは勝ったり負けたりという話をしていて、今日のゲームでもタイトな試合になると思っていました。試合が終わって、後悔というよりはやりきったという気持ちの方が大きいです。自分は最後まで出ることができませんでしたが、他のメンバーが最後までやりきってくれたので。

――点差をつけられた場面でどんな話を?


点差をつけられても仰星には取り切れる力があるので、そこで焦らず、落ち着いていこうと話していました。

――ロスタイムではどんな気持ちでしたか


やりきるしかないという気持ちでした。最後までやりきるしかなかったんです。特にあんまり考えていなかったです。


――この試合で学べたこと


ヒガシと仰星はずっとライバルのような関係で、昨日の夜からずっとリスペクトしていて、最後も同点で終わったですけれど、いい試合できました。


――抽選結果については?


(キャプテンが)帰ってくる前に、笑顔で迎えてやろうという話をしていました。


――実際、笑顔で迎えられた?


はい(笑)。

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