14シーズンぶりの王者へ―ブレイブルーパス東京が練習公開、リーチマイケル、ブラッカダーHC、モウンガ、フリゼルに訊く | ラグビージャパン365

14シーズンぶりの王者へ―ブレイブルーパス東京が練習公開、リーチマイケル、ブラッカダーHC、モウンガ、フリゼルに訊く

2024/05/10

文●編集部


10日、NTTジャパンラグビーリーグワン、シーズン2位でプレーオフ進出をした東芝ブレイブルーパス東京が練習をメディアに公開した。練習後、リッチー・モウンガ、トッド・ブラッカダーHC、リーチマイケル、シャノン・フリゼルが19日に行われる東京サントリーサンゴリアス戦に向けた意気込みを話した。

東芝ブレイブルーパス東京 トッド・ブラッカダーHC

トッド・ブラッカダーHC

トッド・ブラッカダーHC




――今日のトレーニング


いい収穫がたくさんあったと思います。ユニット練習では試合の状況に応じた想定練習ができた。後半はここまで自分たちがやってきたことを賛えて、しっかり楽しんで終わりたかったので、それができて嬉しいですし、来週に向けて楽しみです。今日のゲームも今まで私たちがやってきた戦い方を表現しているようなものでした。楽しんで、自由に。そして来週の試合に向けて重要になってくるものを改めて確認するためのものでした。



――サンゴリアスというチームについて


両チームとも、2回対戦していて、2回お互いを分析することになると思う。プレーオフの試合では違うメンバーで臨むだろうから、僕たちは今シーズンのこれまでよりも最高の状態で臨めるように準備している。サントリーは何シーズンも続けて決勝に進出しているから、いい準備をする方法を知っている。だから我々としては、準備を万全にして本番に臨むだけだ。




――ゲームのキーとなるのは


たくさんのキーモーメントがあるだろう。今一番大きなことは、おそらく自分たち自身の内面的なディシプリンだろう。今までのような規律では決して決勝で勝てるようなものではない。昨日のチームミーティングでもその点をしっかり話したし、整備する必要がある。ここからは負けたら終わりのゲームなので、ペナルティをしたら相手に3点与えることになる。実際にやらなければならないところはたくさんある。



――レフェリーとのコミュニケーションも大事になる


そうです。自分たちのやりたいことはいろいろあるので、レフェリーとのコミュニケーションもそうですし、チームメイト同士のコミュニケーションもあります。そこは正しく行っていきたい。なるべくレフェリーに不要な笛を吹かなくて済むような良いゲームにしたい。


――モウンガ選手のスーパーラグビー7連覇の経験はプラスになるか。


いろんな要素で彼は経験を伝えてくれています。リーグ戦の間は試合でもミーティングでも彼はしっかりと私たちをリードしてくれていました。そして、長年プレーオフに進出してきた自身の経験を、ミーティングでみんなの前で話してくれているので、チームにとっていい助けになると思います。



――具体的には


外にベクトルを向かずに、自分自身にフォーカスを当てて、基本を忠実に行うというようなことですね。あといろんな雑音に惑わされることなく、自分の仕事に集中するということでしょうか。


――グラウンド外のチームへの貢献は期待通りか


フィールド内外含めて、実際に全く想像した通りです。


――自身にとってチャンピオンになることとは


もちろん勝ちたいですけど、もっと重要なのは、これ以上ないほど誇りに思う選手たち、スタッフと一緒に勝ちたいということです。私たちらしい戦いをして、このチャンスに対する準備もできているし、ハードワークが報われれば素晴らしいことだ。それが実現したら、とても嬉しいし、そうなったらブレイクダンスをしようかな(笑)。


――SRは寒くなるが、日本は暑くなる。環境の違いは?


そうですね。SRと違って美しい天候という違いがある。それから本当に湿度が上がってタフなコンディションになる。それがここのいいところなんだ。少なくとも、この時期のコンディションはラグビーに適している。だから今は充電するいい機会です。みんな決勝戦に臨むときは、本当に、準備万端、エネルギー満タンで臨めるでしょう。



東芝ブレイブルーパス東京 リーチマイケルキャプテン

リーチマイケル

リーチマイケル



――どんな気持ち


わくわくしています。勢いもあるし。 今年やってきたことをすべて出し切りたいなと思っています。


――昨日、リッチがミーティングでプレーオフの心得みたいな事を話したと聞きました。どんなことを話して、どういうふうに感じた?


まあ英語で言うと、「One chance, one opportunity」。 その1チャンスがもしかしたら自分に来るかもしれないし、その機会も自分に来るかもしれないから、しっかり掴みましょう。一つのパス、一つのキック、一つのタックルで勝敗が決まるかもしれないから楽しもうっていう感じですね。

――それを聞いて


いや、もう本当にもうワクワクしかないですね。このプレッシャーをどんどん、どんどんかかって欲しいし楽しみですね。



―― 優勝すると14シーズンぶりの優勝になるって意味で、まあ選手は誰もまだ優勝知らないというところで。


そうですね、この5年、過去5年の積み重ねが本当にチームとしてよくなってるし、過去の優勝した時のメンバーも少ないし。 あの時のラグビーと今の東芝のラグビーはだいぶ差も開いてるし、今いるブレイブルーパスのスタッフ、選手含めて、 優勝していい流れを作っていきたいなと思います。若い選手もたくさんいるし、継続的に強い東芝でいたいなと思います。


日本選手権で優勝した年にクラブハウスに描かれている星。2023年にも描いたが色は入っていない。今シーズンこそ頂点に立てるか

日本選手権で優勝した年にクラブハウスに描かれている星。2023年にも描いたが色は入っていない。今シーズンこそ頂点に立てるか



――優勝経験のない選手が多いというのは不安材料か。


やっぱり考えたときに、やっぱりパナソニックとか、サントリーも優勝を経験してるメンバーもスタッフもたくさんいる中で、差を感じるところもありますけど、それと逆にもう初めての優勝ってワクワクの方が上回ってると思っています。チャレンジしたいなと思います。


――試合まで時間があるけれども 選手の中に心境のの変化みたいなのは


まだ1週間前だし、そんなに感じないですけど、気をつけないといけないのはやっぱり確認事項が増えすぎて、メインからフォーカスが離れることもあるので、そこはちゃんと注意してやりたい。 選手だけじゃなくて、スタッフもあれもこれも…と大きくなっちゃうんで、今のところはすごくいい感じですね。



――そういう中で選手に伝えたいことは


プレッシャーをどれだけ楽しめるか。プレッシャーあった方がいろんなことを考えれるし、どんどん成長していけるし。あとはまあ落ち着いて判断していきたいなと思います。


――レギュラーシーズンの疲れは


疲れはなくて、キャプテンの経験も、最初やったときのキャプテンと今のキャプテンシーに比べたらだいぶ 自信もついたし、周りをよく使うっていうのも大事なポイントかなと思います。 スタッフとよくコミュニケーションを取って事前に準備します。


――今はもうスタッフの方が


そうですね。アタックに関してはリッチーに全部任せられるし、ディフェンスもまあ僕はディフェンス少しずつ入ってきて。セットプレーは(原田)衛に任せるし、あんまり今週 しゃべりすぎないように気をつけないといけないな。


―― その中でこうサントリー戦で何が一番大事になってくる


前回のサントリーとは違うというのも予測しないといけないなと思います。 2回戦って負けた後のサントリーが一番怖い。何してくるかわかんないし、 ちゃんと予想し、予測して、準備するのが大事です。


――やっぱり接点は大事


接点は変わらないですね。まあその接点の当てる場所は多分変わってくるから難しい。パスもそうだし、キックも、その中でもチャンスは増えると思うから。


――シーズン振り返ってペナルティ多かったなっていうところは、キャプテンとして反省点


難しいですよね。ペナルティが多いっていうのはもう認識してて、いろんなことをいろんな対策してても、ペナルティが多い。それだけチャレンジしてるんですよ。タックルのエリアが。 決勝トーナメントでは、一個のペナルティが大変になるけど、それだからチャレンジしないというわけにはいかないから、どんどんチャレンジしてやっていきたいなと思います。


――プレーオフは何%上げなくちゃいけないとかってある


いつも100%準備、マインドも100%。そんなにあげる必要ないし。ただ正確性、準備のところをしっかりやれば。


――100%きっちり100%やるということ?


準備のところから。日曜日が一番大事。 いい準備してても試合の日にパフォーマンスが悪かったらだめ。試合の日、どれだけフォーカスして結果を出せるか。


――この準決勝に向けてのキャプテンとしてやるべきことは?


いろんなプレーの対策を事前に考える。 あとは1週間通して話す必要はなくて。 試合の時は僕喋ろうかなと思って。


――今の東芝のカルチャーみたいな部分で、一番の強みとか誇れる部分ってどんなところか


昔から選手同士はすごく仲良くて、上下関係もそんなに厳しくやってないし。チーム内の 愛情は高いなとは感じます。まあ、それは一つの強み。スタッフとの関係はすごくさらに良くなってきてるし。 カルチャーの部分ではそこが一番感じるから。


――東芝が昔は強くて、少し低迷していたがその要因は


もう明らかに現在ラグビーと過去のラグビーの間で留まっていた。昔東芝がやってた強みは他のチームには通用しなかった。あと準備。それが一番。トップのラグビーと東芝のラグビーは止まっていた。昔は強みにしていたことがもう強みじゃなくなった。 頭を使わないといけない。昔は真っ向勝負。どれだけ前に出られるか。そればっかりでは勝てないし、パナソニックなんかは真っ向勝負に対しても強いし、頭も使う。新しいコーチ陣が入ってきてガラッと変わりました。


――トッドのおかげ?


トッドもそうだし、あとアシスタントコーチも。 まあ、でも大事な部分はやっぱコンタクトのプライドは守って欲しくて。スクラムもモールも。接点の強み、やっぱりコンタクトの部分は継続してやってほしい。


リッチー・モウンガ

リッチー・モウンガ



――モウンガのスーパーラグビー7連覇の経験ってやっぱり頼りになる


すごい頼りになります。優勝経験。 世界で、その優勝の雰囲気とか優勝の準備、事前の準備、何が必要か?本当に勉強になります。


――具体的にどんなところを勉強?


シナリオ形式の対策とか、こういうことを意識した方がいいとか。あんまりいろんなこと変えずに今まで通りやるとか。


―― 今日みたいにこうちょっとファンサービス的な要素が多いメニューの時も、ああやってエキストラのメニューをちゃんとやったほうがいいですか?


僕はどっちかというとハードにパッとやってパッとかえりたい。


――マイケルが声をかけたっていうよりは、自分たちでどんどん入ってきた?


そうですね。練習が終わってすぐ始めたかったけど。どんどん入ってきて30分くらいかかった。ああいうメニューがいちばん。ちょっとずつ入って、去年からタックルセットやってたんで、それもまあよかったけど、もうちょいやりたかったな。ダウンを無くしたくて、ああいう風に考えたらどんどん入りたいっていう。あれが足りない。


東芝ブレイブルーパス東京 リッチー・モウンガ

リッチー・モウンガ

リッチー・モウンガ



――プレーオフが近づいて今の心境は


精神的にも肉体的にもとてもいい感じです。決勝が近づくにつれ、内心緊張してくるのは確かです。でも、これから起こることへの興奮と期待で、いい緊張感です。乗り越えるべきハードワークはまだたくさんあります。そのバランスをうまくとることが大切です。これはラグビー選手として振り返って思い出に残る数週間ですからね。


――ノックアウトトーナメントに入ると何か意識が変わることとかありますか。


私にとっては、メンタル面では小さなひとつひとつの瞬間の重要性だと思っています。大きなことだけでなく、小さなことが大きな結果を生むのです。私にとって重要なのは、何が大事なのかに関係なく、自由でいること、プレーすること、すべてを見ること、そして楽しむことです。




――クルセイダーズでの経験がブレイブルーパスに活かせることはあるか


今週は、シーズンを通して他の週と変わらないことが重要だと思います。もしプレーオフだからといってプレッシャーやストレスを感じてしまえば、それは試合に影響してしまいます。ハードワークしながらも、そのプロセスを楽しむことです。笑顔で、笑って、そしてその1試合に全力を注ぐことが本当に重要だと思います。


――東芝の強みをプレーオフにどのくらい伸ばせるか


東芝のゲームスタイルは本当にポジティブだと思います。私たちはボールを持って、ボールを投げて、フィールドのあらゆる場所から走り回るのが好きです。ですが、私が東芝ラグビーで最も誇りに思っていることのひとつは、ボールのないところでの仕事、ディフェンスでの懸命な働き、そしてプレーに対するケアです。それが東芝のDNAだと思います。



――サントリーに対してどういう準備を


これはノックアウトゲームなので、余計なモチベーションは必要ないと思います。サントリーの強みはチーム全体にたくさんありますし、彼らのことも少しは意識しますが、私たちは自分たちのことに集中しなければなりません。それこそが、私たちがやってきたことであり、本当に効果的なことだと思います。


――レギュラーシーズン、チームへのアドバイス


私が東芝に来たのは、ベストを尽くしていいラグビーをするためだけではなくて、ラグビーシステム全体とアカデミーのために、私が経験してきたことを、特に10番の選手、中尾や松永らに伝えるためです。今年はラグビーに恩返しをする年、異なる世界のラグビーに恩返しをする年だと思っています。

このような機会を最大限に生かさないのであれば、私は自分の仕事をしているとは言えませんし、特に私が熟知していること、それはラグビーなのですから。成功したことも失敗したことも含めて、私にはたくさんの経験がありますから、それを他の選手に伝えることは重要なことです。


――実際の東芝のラグビーは来日前と違いはあったか


プレースタイルも含めて同じだと思います。違いは以前よりもよりタイトなゲームに勝つことができ、より正確で安定したプレーをすることができるようになったことでしょうか。以前は東芝が負けていたような試合でも勝てるようになったのは、今年はどんなファイティングスピリットが生まれたからだと思います。どんな時でも、試合に集中し続けること、それが私が感じた大きな違いだと思います。


東芝ブレイブルーパス東京 シャノン・フリゼル

シャノン・フリゼル

シャノン・フリゼル



――初めての日本でのシーズン、ここまでどう感じているか。


すごく楽しんでやれてます。15試合プレーしたという実感は正直ないくらい、まだ数試合しかプレーしていないようなフレッシュな気分です。


――見ていたリーグワンとプレーしていたリーグワン、違いはあるか。


もちろん、昨年来たばかりではあるけど、そんなに大きな違いがあるとは思っていません。今年との違いはほんの少しで、今年はいいトレーニングだったり、スタッフのおかげでトレーナーやフィジオのおかげで体のコンディションをうまく整えることができたりして試合に臨めたりしていることが、試合でいい状況を生み出しているということだと思っています。


――オタゴの人には日本の夏は暑い


まず私はトンガで生まれて、7年前くらいにダニーデンに来ましたので暑さにはそんなに弱くないです。


――チームにフィットできた要因


とにかく東芝のDNAに自分がしっかり入り込むということを来る前から主眼に置いていたので、最初の週からすんなり溶け込むことができたので、今のところはうまくやれています。


――やりやすかった?


簡単な部分もあったし、少し手こずった部分もありました。自分が過去にプレーしたチームから学んだことですが、しっかりとコーチ陣が自分に何を求めているのかということをしっかり理解して、彼らやチームメイトに耳を傾けて取り組んでいくべきだということだったので、そう努めています。

――リーチ選手について


彼はここで長くプレーしているし、長い間トップレベルでプレーしている。だから彼のいうことは全て信頼できるし、また彼も自分に信頼をおいてくれている。互いにいい関係を築けていると思うし、またリッチーとも来日前からしっかり東芝のためにプレーするということを話し合ってきたので、他のチームメイトともいい信頼関係を築けていると思います。


――プレーオフ前の今日のような楽しいプログラムやることについて


そうですね、来週はしっかりプレーオフに向かって行かなければならないので、今週は少し楽しんでやっています。


――リフレッシュできました。


はい。


――サントリー戦ではどういうことが一番大事になってきますか?


プレーオフになったら、どんな小さなことでも徹底することが必要です。トライをとってスコアを取るというのも大事ですけど、それ以上にスクラムやラインアウトでしっかりボールを確保するなど、細かいプレーを精度高くやれば結果につながると思っています。


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