堀江翔太、現役最後のホーム熊谷での勇姿「男に二言はない」でいきます。 | ラグビージャパン365

堀江翔太、現役最後のホーム熊谷での勇姿「男に二言はない」でいきます。

2024/04/28

文●編集部


2024年4月27日、埼玉ワイルドナイツの堀江翔太が、本拠地熊谷ラグビー場での今季最終戦に先発フッカー、ゲームキャプテンとして出場。すでに今期限りでの引退を表明している堀江にとって熊谷でのラストマッチで60分まで出場、スクラム、ブレイクダウンでは先頭で身体を張ったと思えばSOの位置に入り、長短のパス、得意のノールックパスやキックパスでアタックを統率、ディフェンスに回ればタックル、ジャッカル、さらにキックを蹴られた場面での自陣への「激戻り」など衰え知らずのパフォーマンスをみせ、昨季第14節のブラックラムズ戦(熊谷)以来となるプレーヤーオブザマッチも受賞した。




この試合は堀江にとって、チームのカウントによる公式戦200キャップ(トップリーグ、リーグワンの公式戦のほか、プレーオフや日本選手権などもあわせた数字)達成という節目の試合。ゲームキャプテンも務めた堀江は、入場時も先頭でピッチへ入場。今季ホストゲーム5度目の1万人を突破した観衆から大きな拍手を浴びてホーム最終戦へと飛び出した。







試合では前半26分、相手陣に攻め込んだラックからSOの位置で(!)ボールを受けると、身体を左に向けながら右足のアウトサイドでゴール前へグラバーキックを蹴りWTB竹山を走らせる。この場面は相手WTB髙野がよく反応したが堀江はその密集にいち早く駆けつけてターンオーバー。






その3分後には相手ゴール前に攻め込んだ場面のPKから相手がロングキックを蹴ると、いち早く反応して全速力で戻り、24歳の相手SH河村と競り合いながらボールを確保。僅かにボールはこぼれノックオンになったものの相手のトライを阻止する激走だった。

前半10分、ペレスの先制トライ

前半10分、ペレスの先制トライ




試合は前半10分にワイルドナイツがPRダニエル・ペレスのトライで先制。12分にもSH内田のカウンターアタックからWTB長田智希が左隅に飛び込むが、直前にスローフォワードがあったとしてトライがキャンセル。難を逃れたライナーズはここから好ディフェンスでワイルドナイツのトライを阻止。前半終了間際にはワイルドナイツの福井翔大が自陣ゴール前からビッグゲイン、FB山沢京平がゴールに迫るがライナーズFL菅原がバッキングアップに戻って猛タックルを見舞い惜しくもタッチ。7-5の僅差で前半を終えた。

ハーフタイム直前、独走した福井を止めるライナーズディフェンス

ハーフタイム直前、独走した福井を止めるライナーズディフェンス



ハーフタイム直前、ゴール前に迫った山沢をライナーズFL菅原がタッチへ押し出しトライセーブ

ハーフタイム直前、ゴール前に迫った山沢をライナーズFL菅原がタッチへ押し出しトライセーブ




テンポよくパスをさばいたライナーズSH河村

テンポよくパスをさばいたライナーズSH河村

後半に入るとワイルドナイツが地力をみせ、4分にWTB竹山のピックからFB山沢京平がトライ。59分には15フェイズを重ねてLOハアンガナがトライ。21-5までリードを広げるが、一方のライナーズも62分にWTB髙野漣、66分には途中出場でリーグワンデビューとなったWTB江川剛人がトライ。21-17の4点差に迫る。

44分、山沢京平がトライ

44分、山沢京平がトライ



59分、ハアンガナがトライ

59分、ハアンガナがトライ



66分、ライナーズ新加入の江川がトライ。吹田RSのみならず千里新田小-南千里中を通じての先輩・堀江の引退試合がデビュー戦となった

66分、ライナーズ新加入の江川がトライ。吹田RSのみならず千里新田小-南千里中を通じての先輩・堀江の引退試合がデビュー戦となった



堀江より1年先輩、39歳のライナーズLO松岡も奮闘

堀江より1年先輩、39歳のライナーズLO松岡も奮闘



84分、ライナーズのタンギマナが意地のトライを返す

84分、ライナーズのタンギマナが意地のトライを返す

ワイルドナイツはそこから69分にSH高城佑太のショートパントを追った大西樹がキープし、CTBヴィンス・アソがトライ。74分にも竹山のキックチェイスとクイックスローインからLOマーク・アボットがトライ。33-17とするが、ライナーズは点差を離されても闘志を失わず、84分に途中出場のPRラタ・タンギマナがトライ。FB野口大輔のコンバージョンも決まり33-24まで追い上げ試合は終わった。









試合後、ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督は


「今日はいろいろな意味で特別な試合だった。内田と堀江にとっては熊谷でのラストゲームであり、堀江は200キャップという偉大な記録を達成した。同時に、木原とスタワーズはファーストキャップを獲得した。試合についてはみなさんがご覧になったようにすごくタフな試合でした。



新しいコンビネーションを試したこともあったし、ライナーズの成長ぶりがすさまじかった。入替戦ではもっと良いパフォーマンスをすると思うし、これは順位はどうあれリーグワンがどれだけ激しい競争をしているかを表現していると思う」と話すと、堀江についてサプライズ発表。


堀江同様、今季で引退するSH内田もタフでクレバーなプレーを反復した

堀江同様、今季で引退するSH内田もタフでクレバーなプレーを反復した


「ご褒美として、6月22日にトゥイッケナムでフィジーと対戦するバーバリアンズに堀江を出場させることにした。バーバリアンズは私にとって、ラグビーの魂の根幹ともいえるドリームチームであり祝祭です。堀江はオールラウンドな能力を持ち、豊富な経験を持ち、賢く、チームメートに良い影響を与えて、チームを成長させることができる。この素晴らしい選手と一緒に仕事をできたことは私にとって光栄です。トゥイッケナムでは世界のトップ選手の中で、持っているスキルを発揮してくれると確信しています」

堀江はミックスゾーンで取材に応じた。



「新しいコンビネーションが噛み合わない中でも、きっと得点するチャンスは来ると狙いながらプレーしていました。こういう形で、以前静岡にやられたことがあるので、落ち着いてプレーするようにしました。今日は特別な試合だったけど、ヘンに気持ちを作りすぎるといつも通りのプレーができなくなるので、いつも通りにプレーすることを心がけました」

――200キャップについて。デビューも熊谷(2008年10月11日、九電ヴォルテックス戦の途中出場)、当時はシーズン直前の合流でした。


「デビュー戦が熊谷だったことは覚えてないです。当時は(帝京大を卒業して)カンタベリーのアカデミーでプレーしていて、NZがオフになったとき、『せっかくならラグビーできるところへ行け』ということでレンタル移籍の形で三洋へ来ました。当時はフッカーを始めたばかりだったし。迎えてくれるのはサニックスか三洋か、ということだったけど、僕はトップリーグのチームのことは何も知らなくて。試合に出るだけならサニックスの方が出やすいと言われたけど、三洋にはクルセ-ダーズのS&Cが行ってるということで、そこを教えてもらえることも考えて三洋に来ました。ブラウニー(トニー・ブラウン)のおかげです。その頃はフッカーのスキルはなかったけれど、3列のように動けることを買ってくれた」



――ワイルドナイツで200試合、他に日本代表で76キャップ、スーパーラグビーで45キャップ。合わせると321キャップです。


「めちゃめちゃ試合したな、という思いです。自分が100や150キャップのときは、200まで行くなんて思ってもみなかった。いっぱい試合したな、そりゃ経験つきますよね。ただ、試合になってみるとそんなに変わらない。いつも通り、チームの勝利のためにプレーしただけです」

スーパーラグビー挑戦で、田中史朗選手と対戦

スーパーラグビー挑戦で、田中史朗選手と対戦



――長年一緒にプレーしてきた田中史朗さんが会見して引退を発表しました。


「Youtubeで見てました。『緊急会見』っていうから、引退するんやろな……と思って見てました。まあ、とんでもない人やったけど、日本ラグビーを何とかしたいという思いで、あの小さな身体でガンバって、お疲れ様でしたと言いたいです」


――日本人最初のスーパーラグビー選手は田中選手と言われますが、実は堀江選手も同じ日、数時間違いでほとんど同時デビューでした。


「フミの方がとんとん拍子に上手くいってましたね、やっぱり日本のSHは評価されるんだなと。ほとんど一緒だったのに、僕は何か二番煎じみたいな感じで、一般の人には知られていない感じで、そういうつらさもありましたけど、僕自身はまず自分が成長して、日本ラグビーに還元できるものを持ち帰ろうという気持ちがあったから、やり続けられました」

――38歳の今季も成長できている部分はありますか。


「けっこう走れてるかなと思いますね」


――相手キックに反応した激戻りがありました。


「キツかったですよ。でもああいう場面でのディフェンスの動き、反応の早さは自分でもよくなっていると思う。タックルして起き上がってジャッカルに行ったり。ジャッカルはロッキー(ボーシェー)に教えてもらっていることもあるし、いつもの僕よりも取れているかな、前進できているかなと感じます」




――ロビーさんがバーバリアンズへの招集をサプライズ発表しました。


「ねえ。出たくないって言ったんですよ、行きたいけど。まあ、5分くらいで(笑)」


――これだけ充実しているし、まだできそうです。オファーもあるんじゃないですか? 昨年のワールドカップで引退を公言していたオールブラックスのディン・コールズがスピアーズで復帰した例もありますし。


「いや、言うたらナンですけど、そんなかっこ悪いことしたくないです。お金積まれて気が変わったとか言われそうだし(笑)『男に二言はない』で行きます」





――ゴールは国立競技場の決勝ですね。


「その思いはあるけど、ラグビーは分かりませんからね。メンタルが大きく作用するスポーツだし、そこを見るんじゃなく、1試合ずつ成長を辞めないようにしていきたい」




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