ウルグアイ代表練習レポ「我々は2015年とは全然違うチームです」 | ラグビージャパン365

ウルグアイ代表練習レポ「我々は2015年とは全然違うチームです」

2022/06/15

文●大友信彦


日本代表の2022年テストマッチ・シリーズがいよいよ始まる。
対戦相手は6月の2試合がウルグアイで、次いでフランスと2試合が控える。

フランスは今年のシックスネーションズでグランドスラム(全勝優勝)。自国開催となる来年のワールドカップで世界の頂点を掴み取るべく強化が進んでいる、世界最強国の一角だ。実際、世界ランキングも現在、南アフリカに次いで過去最高の2位。ニュージーランド、アイルランド、イングランドよりも上位にいるのだ。

2015年に来日したウルグアイ

2015年に来日したウルグアイ


では、その前に対戦するウルグアイとはどんな相手なのか?
世界ランキングは日本の10位に対して19位。これは2015年の来日時と同じだ(日本は当時15位だった)。しかし、当時と現在では、ウルグアイ代表ロス・テロスを取り巻く状況はだいぶ違っているようだ。

LOディエゴ・マニョ

LOディエゴ・マニョ



「私たちは前回とは違うチームになっています」


6月14日、浦安市での練習後にメディアに対応したウルグアイ代表LOディエゴ・マニョは言った。2008年のロシア戦に19歳でデビューしたタフなFWは2015年、2019年のワールドカップを経て現在33歳。通算キャップはウルグアイ史上最多の97。


「当時とは違ってプロの選手が増えて、長い時間を一緒に過ごすことができている。若い選手も増えたし、2015年とはだいぶ違います」

今回のウルグアイ代表ロス・テロスは、来日メンバー26人のうち23人が同じチーム「ペニャロール」に属している。この「ペニャロール」は、2019年ワールドカップのあとにワールドラグビーの主導で設立された「スーペルリーガ」(スーペルリーガ・アメリカーナ・デ・ラグビー)にウルグアイから参戦しているチームだ。スーパーラグビーに参加していたサンウルブズをイメージしてもらえばよいだろう。実際、スーパーラグビーから除外されたアルゼンチンチームのハグアレス(ジャガーズ)は2021年からこのリーグに参戦している。


スーペルリーグには南米6カ国(アルゼンチン、ウルグアイ、チリ、ブラジル、パラグアイ、コロンビア)の6チームが参加。各チームはリーグ戦10試合とプレーオフ(勝ち進めば準決勝と決勝)を戦う。競技人口の少ないパラグアイとコロンビアのチームはアルゼンチンの選手が大半を占める。アルゼンチンやウルグアイのトップ選手は以前から欧州や北米のクラブでプレーしていたが、スーペルリーガ誕生後は、それ以外の選手もプロのフルタイム選手としてラグビーに打ち込める環境を得たわけだ。

2015年のレモイネ監督。1999年当時ウルグアイで唯一欧州でプレーするプロ選手だった

2015年のレモイネ監督。1999年当時ウルグアイで唯一欧州でプレーするプロ選手だった


これは大きな変化だ。ウルグアイではこれまで国内にはプロのラグビーが存在せず、プロ選手は国外でプレーする選手だけだった。ワールドカップ時点でいえば、初出場した1999年はフランスのスタッド・フランセでプレーしていたHOレモイネただひとり(2015年来日時にはHCを務めていた)。それが2003年には5人、2015年も5人、2019年大会では15人(欧州が4人=フランス3人、イングランド1人。他に北米が10人、アルゼンチンが1人)に増加した。そして今回は、来日メンバー26人のうち、海外組はフランスとイタリアの3人だけだが、残りの23人はみなペニャロールに所属する「国内プロ」なのだ。

マニョについていえば、2015年はモンテビデオ・クリケットクラブというローカルクラブでアマチュアとして、2019年は北米リーグ(MLR)のヒューストン・セイバーキャッツでプロとしてプレーしていたが、現在はペニャロールに在籍。国内にいながらプロ選手としてプレーしている。


「家族のことも考えたし、母国に戻って、ほぼ代表のチームでずっと過ごせるからね。今のロス・テロス(ウルグアイ代表)は、たくさんの時間を一緒に過ごせているのが強みだと思う」


そしてペニャロールは、2022年のスーペルリーガで初優勝を飾った。

……そんな背景もあり、ウルグアイは現在、世界でも注目される実力上昇中のチームとなっている。近年の成績を振り返ると

2019年ワールドカップ、釜石でフィジーを破るアップセットを遂げた

2019年ワールドカップ、釜石でフィジーを破るアップセットを遂げた


2019年ワールドカップでは伝説となっている釜石でのフィジー撃破を達成。
2021年に行われたRWC2023米大陸予選では北米ブロック1位の米国を2試合合計(●16-19、○34-15)で破り、予選1位で本大会出場権を獲得した。過去4度ワールドカップに出場しているウルグアイだが、それはすべて敗者復活の世界最終予選を勝ち上がってのもの。ストレートに進出したのはこれが初めてだ。

マニョは言った。
「これ(1位通過)はとても大事なことだ。ワールドカップに向けてこのまま準備していけるからね」

今回来日したロス・テロスのメンバーはノンキャップが6人、1キャップが5人。年齢でいえば23歳以下が10人を占める若い編成だが、スーペルリーガでの経験を考え合わせれば、キャップ数には現れない経験を積んだチームと言えそうだ。

若手の一人、23歳のWTBマテオ・ビニャーレスは言う。


「僕も含め、ロス・テロスの選手はみな、特別に足が速いわけでも体が強いわけでも大きいわけでもないけれど、みなメンタルタフネスを持っている。やると決めたらやり抜く。みんな力をあわせて国のために戦う、強い気持ちを持っているんだ」

TBマテオ・ビニャーレス

TBマテオ・ビニャーレス


そのピニャ―レスは、2019年ワールドカップは母国で見ていたという。釜石で演じられたフィジー撃破は深夜、自宅のソファで一人で見ていたが、見事な戦いに気持ちが昂ぶり、気がついたら泣いていたそうだ。

「U20で一緒にプレーした選手も出ていたし、興奮した。私の国のスポーツの歴史に刻まれる勝利だったと思う。間違いなくウルグアイのラグビーのベストモーメントだった」


CTBバウティスタ・バッソはノンキャップの21歳。ペニャロールと契約したのは2021年からだが、それまでもウルグアイのセブンズ代表でプレーしていたという。

CTBバウティスタ・バッソ

CTBバウティスタ・バッソ



「いまはエキサイトしています。日本戦で、代表のファーストキャップをぜひ獲得したいと思っています。このチームはとても若いチームで、僕と同じように初キャップの機会を待ち望んでいる選手がたくさんいる。雰囲気はいいよ。先輩の選手がすごくよくしてくれるし、エナジーをもらっている。

僕自身はセブンズも続けたいと思っている。去年の11月にはワールドカップセブンズの予選を戦って出場権を獲得したし、今年9月の本大会も目指している。でも今は、この日本戦を楽しみたい。日本はスキルが高く、プレーが速く、我々のディフェンスも集中力が求められる。日本には体の大きな選手もいるからコンタクトの面でもタフな試合になると思う。でも僕はタックル、フィジカルには自信があるからね、楽しみです」


スーペルリーガでは12試合中9試合に出場。トライはなかったが「リーグを戦う中でディフェンスは成長したと思う」と話す。ツアーキャプテンのCTBアンドレス・ビラセカとはペニャロールでも12-13のCTBペアを組む関係。日本戦ではフィジカルの強さを誇るCTBペアが、先陣を切って日本のアタックに突き刺さってきそうだ。

ウルグアイとの第1テストは18日、東京・青山の秩父宮ラグビー場で。第2テストは25日、福岡・小倉のミクニワールドスタジアムで。どちらもキックオフは15時だ。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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