12月7日のトップリーグセカンドステージ第2節、秩父宮で行われたサントリーvsNECの試合に、サントリーのフィフティーンは全員、左腕に黒いテープを巻いて登場した。
「昨日、フーリー(デュプレア)から提案されました」
試合後の会見で、大久保直弥監督は言った。
「南アフリカのマンデラ元大統領が亡くなったので、弔意を示したい。世界中の人がリスペクトする偉大な方で、ラグビーにも大きな貢献を果たしてきた。南ア人であろうと日本人であろうと関係なく、彼へのリスペクトを表したいということで、真壁(伸弥)キャプテンがリードして、みんなで喪章を着けることにしました」
南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が亡くなったのは、前日、6日の未明だった。アパルトヘイト(人種隔離政策)と戦い続け、27年もの長きにわたって投獄されながら、解放後は白人と黒人の融和を進め、内戦に陥ることなく政権移行を達成。それまで国際的に孤立していた南アフリカ共和国を国際舞台に復帰させた、世界中の尊敬を集める、不屈の闘士であり寛大で偉大な人物。政治家という枠を超えた英雄。
そのマンデラ氏は、実はラグビーにとっても偉大なサポーターだった。
南アフリカ共和国の人口は、8割以上を黒人(アフリカ・ネイティブ)が占めながら、僅か1割の白人が政治、経済、教育などすべてを支配していた。
その象徴が、ラグビーだった。