サクラセブンズが苦闘を続けている。HSBC SVNS2026(ワールドシリーズ)第5戦バンクーバー大会で、サクラセブンズは、プール戦でフランスとニュージーランドに連敗して4大会連続でTOP4進出を逃し、5位決定戦準決勝でもカナダに敗れ、最終戦で英国に勝っただけの7位に終わった。シリーズポイントは54で6位。
日本はこの大会、シンガポール&パースではチームを離れていた堤ほの花、同じくパースを欠場した永田花菜が復帰したほか、19歳の尾久土栞(早大)が初のサクラセブンズ入り。大内田葉月との2人が19歳、谷山三菜子が20歳、松田向日葵と小西春菜が21歳という若い編成で臨んだ。主将はケープタウン大会でも主将だった須田倫代が務めた。
日本の登録メンバーは以下の通り。
1)三枝 千晃 北海道バーバリアンズディアナ(34)
2)堤 ほの花 日体大(38)
3)梶木 真凜 自衛隊体育学校PTS(35)
4)内海春菜子 YOKOHAMA TKM(23)
5)大谷 芽生 ながとブルーエンジェルス(36)
6)永田 花菜 ナナイロプリズム福岡(36)
7)吉野 舞祐 ナナイロプリズム福岡(25)
9)松田向日葵 追手門学院大学VENUS(10)
10)谷山三菜子 日体大(12)
11)須田 倫代 Pearls(25)
◎12)小西 春菜 追手門学院大VENUS(3)
13)大内田葉月 日体大(3)
14)尾久土 栞 早稲田大(0)
※頭数字は背番号、カッコ数字は直前までのキャップ数、◎は主将
vs FRA 0-22(●)
前回パース大会で6位だった日本は初戦、パース大会3位のフランスと対戦。
先制を許した日本は5分、自陣22m線で得たPKから速攻をかけ大谷芽生がブレイク。そのまま独走トライかと思われたがフランスDFが猛追し、トライまであと5mまで迫りながら追いつかれてしまう。日本はそこからも攻撃を継続したが、我慢しきれずキックしたところフランスDFが素早く戻ってボールを確保し、逆に100mを切り返すカウンタートライを許してしまい、0-10で前半終了。

尾久土栞

大谷芽生
日本は後半もボールを支配。キャリー数28-20、パス数61-27、オフロード数6-1と攻撃面のスタッツでは圧倒的な数字を残したが、大型選手&俊足選手を擁するフランスDFの前にボールを動かしても得点につなぐことができずじまい。攻め続けて孤立してはボールを失い、0-22で敗れた。

内海春菜子

梶木真凜
vs NZ 5-43(●)
第2戦の相手は女王ニュージーランド。試合開始から日本は相手キックを捕ってアタックするが、NZ防御の猛烈なプレスにあってボールを自由に動かせず、猛タックルを浴び、ブレイクダウンであおられターンオーバーを許してしまう。前半だけで4トライを失い0-24で折り返すと、後半も、昨年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは北海道ディアナでプレーしたジャズミン・フェリックスボッサムらが4トライを量産。

内海春菜子

小西春菜
それでも日本は0-43とされた後半6分、内海春菜子のブレイクから小西春菜、大谷芽生、尾久土らがグイグイと右サイドを前進し、相手DFを集めておいて左に展開。大谷からパスを託された梶木は大外で待つ大内田葉月に絶妙なラストパス。大内田はトライライン上で相手DFのタックルを顔面に受けながらも左隅に押さえ、一矢報いるトライを挙げたが時間切れ。日本は5-43で連敗した。

大内田葉月

梶木真凜とジャズミンの握手
vs GB 31-7(◯)
連敗で4強進出が事実上消滅した日本はプール最終戦で英国(グレートブリテン)と対戦。日本は試合開始のキックオフを大内田葉月が出足良くキープして敵陣でのアタックスタート。パスを多用して英国DFを混乱させ、最後は堤-吉野からのパスを受けた須田倫代主将がトライ。自らコンバージョンも決めて7点を先行する。

三枝千晃

堤ほの花
この大会で初めて先制点をあげた日本はここから呪縛が解けたようにアタックをかける。
英国に1トライを許し7-7の同点になったあとの6分、相手キックオフを捕ると須田倫代が前進。さらに自陣10m線付近で細かくボールを動かしたところへ後方から勢いをつけて走り込んだのが背番号1の三枝千晃。そのまま70mを独走してトライを決めると、前半ロスタイムの8分には相手のキックを戻って拾った⑦吉野から①三枝がつなぎ、堤ほの花が右サイドを疾走。キャリア通算32号トライで21-7として折り返す。
日本は後半も攻撃の手を緩めず、2分、ハーフウェーのDFで得たPKをクイックスタート。小西、吉野、須田らが前進し、最後は松田向日葵から大内田葉月へパスが通りトライ。4分には相手22m線上のラインアウトを松田が読み切ったジャンプでターンオーバー獲得。堤、三枝の前進から松田→大内田葉月へとパスがわたってトライ。日本は次のキックオフも谷山のキックによく反応した大谷がダイレクト捕球。その後、ターンオーバーを許し、最後の時間帯では谷山三菜子がイエローカードを受ける一幕もあったが、冷静に対応した日本は31-7で勝利した。

5位決定戦準決勝 vs カナダ 12-19(●)
そしてDAY2。日本は1勝2敗でプールA3位となり、5位決定戦準決勝でプールB4位のカナダと対戦。日本は4分、自陣22m線のディフェンスで堤ほの花がジャッカルでPKを奪うとクイックスタート、永田花菜のリンクをはさみ、再び堤がボールを持つと約60mを疾走。ワールドシリーズ通算33号トライで5点を先制する。しかしカナダはそこから2トライを奪い返し、5-12。カナダがリードして前半を終えた。

三枝千晃

須田倫代
追う立場になった日本は後半、パスを多用して何とかカナダ防御に立ち向かう。ハンドリングエラーやサポートの遅れ、孤立からくるペナルティーでなかなか得点できなかったが、6分に須田がトライ。12-12の同点に追いついた。
そして迎えたロスタイム。ハーフウェーのスクラムから攻撃をかけた日本だったがカナダのディフェンスがカウンターラックをかけてターンオーバー。昨年の太陽生命シリーズでは東京山九フェニックスで活躍したチャリティ・ウィリアムスが大外を爆走してトライ。19-12でカナダが勝利した。

尾久土栞のタックル

永田花菜
7位決定戦 GB 34-19(◯)
日本は7位決定戦で、プール最終戦でも対戦した英国と再戦。2分、スクラムからボールを持ち出してそのまま走り切ったSH小西春菜の独走トライで先制すると、5分に谷山三菜子、7分に松田向日葵という21歳以下トリオのトライで前半をリードする。
後半も吉野舞祐、大内田葉月、さらにこの大会がセブンズ初キャップとなった尾久土栞が自陣から約60mを走り切る豪快弾でワールドシリーズ初トライ。34-19の快勝で最終順位を7位として大会を終えた。
日本は各試合の序盤からパスを多用し、ボールを細かく動かしてブレイクチャンスを探したが、ギリギリのコースを抜けようと狙うあまりかハンドリングエラーを多発。そこからのカウンターアタックでスピードランナーに走り切られるパターンで失点を重ねた。コンタクトとスピードは、日本にとっては古くから男女共通の課題だが、相手も日本を研究してフィジカル勝負に注力してくる現状を見ると、日本もタックルをはじめとした接点のさらなる強化が必要そう。もっとも、初キャップの尾久土をはじめ、新世代の選手を多用したのは、日本が戦おうとする世界レベルの高さを若い選手に体感させる――という狙いもあっただろう。
ドバイ大会で史上最高の3位になったあとは、これで4大会続けて5位以下。随所に良いところは見えているだけに悲観する必要はないが、ここからのシリーズ終盤戦は、経験したこと、学んだことを形にする、成長ぶりを証明するステージになる。上位国に対して、もう一度『日本は手ごわい』と思わせておきたいところ。次のニューヨーク大会では、もう一段成長したサクラセブンズの姿をみせてくれることを期待しよう。
兼松 由香 HC
「いつもサクラセブンズへの温かい応援をありがとうございます。今大会、目標に掲げていた『ベスト4』『ブレイクスルー』には届きませんでしたが、国内合宿で取り組んできた成果を随所に発揮することができました。一方で、『練習でできないことは試合でもできない』『日頃から意識していないことは、いざという場面で体現できない』という課題も改めて痛感しました。次戦のニューヨーク大会に向け、14分間自分たちのラグビーを貫き、体現できるように心身ともに準備を進めてまいります。引き続き、サクラセブンズへの応援をよろしくお願いいたします」
須田 倫代 キャプテン
「今大会も時差のある中たくさんの応援をありがとうございました。国内合宿で取り組んできたことを発揮できた部分も多くありましたが、勝ち切るためにはそれを14分間し続ける必要があると感じました。相手よりも「低く」「早く」「速く」常に全員で動き続け、チャンスをトライまで繋げられるようにチーム一丸となって取り組んでいきます。今後ともサクラセブンズの応援をよろしくお願いします」
梶木 真凜 選手
「今大会も沢山の応援ありがとうございました。2日間を通して難しい時間が多くありましたが、学べた事も沢山あったので、次の大会までの1週間で考え行動し改善していければと思います。自分たちが取り組んでいることをしっかりまたチャレンジして勝ち切れるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いいたします」
永田 花菜 選手
「サクラセブンズへの応援、本当にありがとうございました。プール戦から思うような結果を残すことができず、2日間を通して難しい時間も多くありましたが、その中で多くの学びや気づきも得ることができました。今大会の結果をしっかり受け止め、何を改善していくべきかをチーム全員で考え、次に向けて良い準備をしていきます。これからも応援よろしくお願いいたします」
尾久土 栞 選手
「今大会もサクラセブンズへの応援、本当にありがとうございました。個人としてはワールドシリーズという大舞台で初キャップを獲得でき、非常に嬉しく思います。結果としては悔しさの残る大会となりました。ワールドレベルの試合では思うようなプレーができない時間も多くありましたが、自分自身の課題に気づき、向き合う貴重な経験となりました。これを、ポジティブな課題として受け止め、今後の成長に繋げていきたいと思います。引き続きサクラセブンズへの応援をよろしくお願いします」
大友信彦(おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |

大友信彦