久々更新の「楕円球タイムトラベルPLUS」
12月27日、劇的な決着となった大学選手権第2ステージの早大vs東海大、日本代表のトライゲッターでもある早大FB藤田慶和に対して、勝負を決めるタックルを見舞ったのは、4年前、涙にくれた男だった。
4年前の花園へ、タイムトラベル!
「お前は悪ない!」
怒ったような声は、今も耳に残っている。
2011年1月3日。花園第1グラウンド。
全国高校大会準々決勝。桐蔭学園対東海大仰星。
26−27の1点ビハインドで迎えた後半ロスタイム、東海大仰星は左中間22mでPGチャンスを得た。ゴールを狙った背番号7のキックは、ゴールを逸れた。
泣き崩れる井波を、チームメートが抱きかかえ、「泣くな!お前は悪ない!」と叫び続けていた。その本人も泣いていた。
仰星のフィフティーン、いや、ベンチにいる全員が、スタンドにいる部員全員が大声で泣いていた。おそらくは、負けた悔しさよりも、井波の号泣に心臓を揺さぶられていたのだと思う。紙一重の勝利を手にした桐蔭のメンバーもまた、ほぼ全員が泣いていた。
それから4年。
大学選手権第2ステージの最終戦で、東海大と早大が対戦した。
東海大には、あの日の仰星メンバーが、先発に6人、リザーブに3人、入っていた。
早大には、あの日の桐蔭学園でキャプテンだった小倉順平がいた。
同じシーズン、東海大仰星は、春の選抜では、やはり準々決勝で東福岡に敗れた。
その東福岡の主将だった布巻峻介と、2年生ながらエースだった藤田慶和が、この日は早大の赤黒ジャージーを着ていた。
背番号13をつけた井波健太郎は、80分間、驚くほどのワークレートでタックルを見舞い続けた。試合の最後には早大の絶対的エース、藤田慶和に爆弾タックルを見舞い、日本代表のトライゲッターを仰向けに倒し、早大FWの反則を誘い、試合を決めた。ウィニングタックルを見舞った背番号13に、チームメートが次々と駆け寄り、頭を叩いて渾身の一撃をねぎらった。