こんにちは、将太郎です。
ウインドウマンスのテストシリーズが終わりました。
今年は4年に一度のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(BIL)のツアー年。これがNZに回ってくるのは12年に一度です。僕自身、本当に待ちに待ったツアーでしたから。あっという間の1ヶ月半でした。
12年に1度のNZツアー。試合を重ねる中でベストなメンバー編成が決まり、チームとして機能していった。
シリーズ全体を通しての印象をひと言で言うと「世界ランキングはウソをつかないな」ということです。いまの世界ランクは1位はNZですが、2位にイングランド、3位にアイルランドと、3強に北半球のホームユニオン勢が2つも入っている。これまで長い間、世界の3強は南半球トライネーションズ勢が独占しているのが普通でしたから、異変といっていい状態ですが、ライオンズの戦いを見ると、実際に北半球勢のレベルが上がっているんだな、ホームユニオン勢の力が上がっているんだな、ということを実感しました。
最初のうちこそ、ブルーズやハイランダーズに負けたりしていましたが、試合を重ねるうちにすごくチームが力をつけていった。短期間に変われる部分、強くなれる部分はしっかり強くなった、さすが一流の選手がそろっているんだなと思いました。
例をあげると、ディフェンスラインの連携ですね。ツアーの前半は、個々の選手が自分の判断で、闇雲にラインスピードを上げようとして、ディフェンスラインがガタガタになる場面が目につきました。それがツアーで試合を重ねて、オールブラックスと戦う頃には横の選手との連携がすごくよくなって、網だったディフェンスがコネクト(連結)されてウォール(壁)になっていった、という印象です。
そして、ディフェンスがうまくいくと、アタックに割けるパワーが増える。結果的に、オールブラックスにとってはライオンズのアタックがかなり脅威になっていたと思います。
振り返ると、スーパーラグビーのチームに黒星を喫していた時期は、チームを2つに分けて、どのメンバー編成が一番力を発揮するかを模索していた、テスティング状況だったと思いますね。試合を重ねる中で『これがベスト』というメンバー編成が徐々に決まってきて、チームとして機能していった。近年は世界的にテストマッチのみのツアーが増えていますが、ウィークデーマッチのある長いツアーの価値を改めて感じました。
ともかく、ワールドカップの中間年に、こういう形で、北半球と南半球のトッププレーヤー同士が激突して、最終的に1勝1敗1分けという五分で戦いを終えたということは、2019年に向けてますます面白さが増したな、と僕自身は思っています。
イングランドやアイルランドなどライオンズに選手を送り出したホームユニオン勢だけでなく、他のチームにとっても今回のライオンズのオールブラックスとの戦い方はすごく参考になるでしょうしね。さしあたり、11月のテストシリーズがものすごく楽しみになりました。
オールブラックスとしても「ライオンズとはぜひ戦いたい」と国内に残っていた選手が、このあと欧州や日本などへ流出することがあると思います。これは南半球の3カ国ではどこでも起こっていることで、それだけライオンズとの戦いは魅力的なものだ、ということなんですね。コーチングスタッフでも、アシスタントコーチのウェイン・スミスも今年のザ・ラグビーチャンピオンシップが終わったら退任して、スコット・マクラウドに交代することが決まっている。逆に言うと、チームが変わるチャンスでもある。ライオンズ戦で初キャップを取った選手たちが、これからどう伸びていくかが楽しみです。
僕の注目は20歳のリエコ・イオアネ。