ラグビージャパン365創刊からご寄稿いただいている、スポーツライターの斉藤健仁さんが2016年に発表した「ラグビーワールドカップ2015観戦記」を特別に公開します。
エディー・ジョーンズHC(現・イングランド代表HC)率いる日本代表の戦い57試合全て現地で取材し迎えたワールドカップ2015・イングランド大会で何が起きたのか--全4回に渡ってたっぷりと観戦記をお楽しみください。
(文章は当時のままを掲載しております。※初掲「ゆるすぼ」2016年4月)
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9月11日、いよいよラグビー日本代表チームが、ワールドカップの初戦の地であるイングランド南部のブライトンに入り、「いよいよワールドカップが始まる」という雰囲気になりました。
ブライトンはロンドンから電車で1時間ほどと立地が良く、しかも、イギリスの中では有名な観光都市です。ピア(桟橋)には遊園地や水族館もありました! 語学学校も多く、多くの外国人が英語を学びにくるため、ラーメン屋さんもあれば、中華やカレーはもちろん、石窯で焼いてくれるピザ屋さんもあり、食に困ることはまったくありませんでした。
お酒が飲めない私は行くことはなかったですが、ナイトクラブも多く、バスは24時間走っていてまたゲイやレズビアンで有名な街ということで、中心部の時計台には七色のテープがかかっていました。
日本代表がどこで練習していたかと言えば、中心部からバスで10分くらい行ったところにある名門パブリックスクールでした。
ラグビーに限らずワールドカップのような大きな大会になると、練習でも取材パス(アクレディテーション)がないと、練習取材もできません。ただ、ブライトンでそれを発行できるのは16日からでした(ロンドンでは10日くらいからできたため、わざわざロンドンに立ち寄った記者もいたほどです)。
パスがないと練習取材ができない……という可能性もありましたが、個人的にはどうにかなるかなと思っていました。案の定、他の合宿地でも同じようなことが起きていて、日本ラグビー協会の広報担当の方の機転もあり、すぐに取材できるようになりました(こういった小さなトラブルはよくあるものです)。
9月12日からパブリックスクールの奥にあったラグビー場で練習が始まりました! 周りはシートで囲まれていて、他のライバルチームが動画を撮れないように工夫もしてありました。ラグビーポールは、もちろんW杯仕様でした。ブライトンでの練習は、当たり前と言ったら当たり前ですが、コーチ選手からも声が出ていて、本当に集中してトレーニングをしていました。
翌13日も練習があったので、ラグビー場に行くと、周りを囲っていたシートが前夜の強風のため?にところどころはがされていて、結局、元に戻ることはありませんでした……。日本代表を取材に来る海外メディアは多くいないですし、イングランドと同じ組でもなかったので、問題なかったのかもしれませんね。
16日には無事に取材パスをスタジアムまで行って手に入れることができました。自分の写真が入っているパスを受け取ると、ホッとすると同時に、「いよいよ、本当に始まる……」という気持ちにもなりました。