2月23日、東京都内で将来のラグビー日本代表選手の強化・育成を目的とした、エディー・ジョーンズHC肝いりの「JTS(ジャパンタレントスコッド)プログラム2026」のキャンプ2・初日の練習が公開された。JTSは今シーズンで3年目を迎える。
発表されたスコッドはU23の大学生35名だが、コンディションや個人都合で合宿不参加の選手もおり、今日のトレーニングは練習生も含めて33名が参加。先週まで大分でキャンプ1が行われており、今後も合宿を重ねてリーグワンチームと合同練習や練習試合を行い、3月末にU23日本代表として合宿を敢行、今年も4月にオーストラリア遠征を行う。
春を感じる陽気の中、みっちりと2時間の練習のあと、直接指導していたエディー・ジョーンズHCが報道陣に対応した。
エディー・ジョーンズ日本代表HC

エディー・ジョーンズHC
――今季もJTSが始まりました
選手のレベルは昨年よりも高くなっております。(昨シーズンより)突出した選手は少ないものの、全体的な水準は向上している。選手たちの姿勢は良く、ほとんどの選手が優れた体格を備えております。
ですから、今後10ヶ月間、多くの努力を重ね、代表チームの争いにどれだけ多くの選手を送り込めるかを見極めなければなりません。
――4月、オーストラリアとの試合が予定されていますが、チームの状態についてどうみていますか?
昨年は、オーストラリアのU20代表と40分間は互角に戦えましたが、その後は一気に崩れてしまいました。今回の選手たちにとっての課題は、オーストラリアU20代表を打ち負かすことです。
そのためには、80分間戦い抜く体力、戦術的・精神的な集中力を維持する能力を養わなければなりません。それが目標です。

――今回は一般からの公募も受け付けました。その結果はいかがでしょうか?
今、数えたところだと、たしか3人か4人くらい、小規模な大学から来ている選手がいます。普段はあまり試合に出ているのを見かけないような大学ですね。これは、そういう子たちにとって素晴らしい機会です。中には良い才能を持っている選手もいます。ただ、フィジカル面では、ほとんどの選手がまだ発達途上です。だから、どれだけフィジカルに取り組めるか、身体作りに適応できるか。それが、どこまで伸びるかを決めると思います。

大鶴誠
――京大のSO大鶴選手の評価は
彼は良い人間だと思います。明るい性格だし、フットワークがいい。スペースの感覚も優れています。明らかに頭もいい。京都大学で医学を勉強しているし、チームにもすごくうまく馴染んでいました。フィールド上での判断がいい。それに、フィールド外で話す時も、言っていることがすごく筋が通っています。

――JTSは3年目を迎えて、昨年から大きなスコッドで活動しています。積み上げを感じますか?
そうですね、彼らはフィジカル的により成熟してきています。中森(筑波大)は今日、初日でしたが、去年から体重が3kg増えています。JTSで得た勢いが、きちんとしたS&Cを続ける後押しになったんです。彼は並外れたスピードもある。もし体重を98kgくらいまで増やせれば、最高峰の舞台で戦うための身体能力が整うでしょう。それが我々の目指すところです。

石橋チューカ
――ここから、何人かオーストラリアを経て宮崎の日本代表合宿に招集される?
このグループから2〜3人は上げたいですね。去年はジンゴ(竹之下)がここから出て、日本代表スコッドに参加しました。だから、この選手たちの中から2〜3人が同じように上がって、日本代表スコッドに入れない理由はありません。そこが目標です。
それに、リーグワンでは「(外国人選手が多く日本代表として)資格のある選手」があまり多くありません。リーグワンでプレーしている選手はたくさんいるけれど、日本代表の対象になる「資格を満たした選手」は多くない。だから、JTSは日本の将来の選手層、ポテンシャルの層を厚くする取り組みなのです。
もし彼らが練習を理解して、そこでチャンスを掴んでいけるならその行動がもっと(成長に)つながると思います。
――コーチングの落とし込みは去年と変わっている?
ええ、それは考慮しないといけません。いまはZ世代がどんどん増えています。彼らはより個人志向が強い。「やってみる」「見て学ぶ」ことで覚えたがる傾向があります。
だから私たちは、より“世代に合った”選手中心で学びやすいコーチングに適応しようとしています。
――リーグワンのアーリーエントリーについての見解は? 大学3年生も認めるべきという意見もありますが
それはJRFU(日本ラグビーフットボール協会)の話です。私の話ではありません。意見はありますが、正直、私がどう思うかはあまり重要ではない。決めるのはJRFUとリーグワンですから。だからコントロールできないことをコントロールしようとはしません。もちろん意見はあります。たぶん、メディアの方々も想像できるでしょう。
――JTSのプログラムが日本のラグビーに定着するまで、どのくらいかかるのか
本当に、JTSが日本のラグビーの仕組みの一部になるには、8年くらいかかると思います。大学側が「2年生・3年生の選手にとって、これは成長の機会であり、高いパフォーマンス開発の場だ」と理解するようになるまでに、時間が必要です。それを8年続けられれば、日本はその恩恵を受け始めるはずです。
――7月に対戦が控えるシックス・ネーションズの強豪国をどう見ていますか?
シックス・ネーションズのレベルは素晴らしい。それはラグビーがどこへ向かっているかを示しています。
ラグビーはますますパワー型のゲームになっている。TMOの介入が増えれば増えるほど、試合が止まる時間が増えて、その分パワーゲームになりやすい。だから私たちは、パワー差があっても、そのレベルで勝つ方法を見つけなければいけません。
――リーグワンとの練習試合を行っています。JTSの世代ではやはり試合経験が重要になってくる?
試合をすること、それが学ぶ唯一の方法です。ハードに練習して、試合をして、そこで自分たちがどこにいるのか、本当のフィードバックを得る。そのサイクルです。JTSでは合計で、たしか8試合くらいあります。学ぶには十分なまとまった試合数です。
――個々の選手の評価、注目している選手はいますか
この35人を1ヶ月ほど見ていきます。(竹之下)仁吾については、去年は選手としてはそこまで詳しく知らなかったのですが、JTSで印象に残りました。それから日本代表に来てさらに成長を続けています。

白井瑛人
――JTSから、中にはJAPAN XVに呼ばれる選手も出てくる?
チャンスはあります。所属している大学次第ですが。
――WTB海老澤と田中がSHをやっていたが……
健想にはチャンスを与えてみました。ポテンシャルはあります。えびちゃん(海老澤)の頭はまだウイングのままです。
――白井選手もCTBで起用していました
白井は判断力とコミュニケーション力が高い。そこかCTBやWTBに活かせるのでは。
――今回、JTSに呼んでみてよかった選手は
いま一番面白いウイングは、近畿大の太田です。とにかくスピードが突出しているし、ハイボールのキャッチ能力も高い。現時点ではミスも多いけど、土台は素晴らしい。かなり珍しいタイプの選手です。だから、うまく自分を律して取り組めれば、大きく伸びる可能性があります。でもここにいる選手たちは全員、才能を持っています。この選手たちは世界のどこへ連れて行っても十分な才能があります。あとは、その才能を伸ばすために“今”どれだけ本気で努力できるか、それがすべてです。
斉藤健仁スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当する。リーグワン、日本代表を中心に取材。 プロフィールページへ |

斉藤健仁