９月に開幕するラグビーワールドカップ（Ｗ杯）の「前哨戦」とも言えるパシフィック・ネーションズカップ（ＰＮＣ）。７月18日、日本代表は第１戦でカナダ代表と対戦し、20−６で勝利した。その試合で、ＳＯ立川理道（クボタ）の負傷で前半10分から出場（出血による一次的退場で出場し25分に正式に交替）し、勝利に貢献したのが前キャプテンのSO廣瀬俊朗（東芝）だった。

バンクーバーで「自然体」で語ってくれた廣瀬選手

３年前の2012年の春、１キャップ、30歳で「エディー・ジャパン」に選出され、２年間、リーダーとして先頭に立ってチームを引っ張り、アウェイの地で初めて欧州勢を撃破し、ホームではウェールズ代表にも勝利するなど歴史の立役者にもなった。８月、Ｗ杯に向けたスコッド発表まであと２週間ほど、ベテランＢＫは、この４年間を振り返りつつ、今、何を考えているのか――遠征先のカナダ・バンクーバーで、自然体で率直にその思いを語った。

 

――今回のカナダ代表戦もそうでしたが、昨年のヨーロッパ遠征の２試合（ルーマニア代表とジョージア代表戦）でも、ＷＴＢとしての出場でしたが、途中からでてきて良いプレーをしました。個人として伸びている感触はありますか？

廣瀬　そうですね。技術的にはうまくなっている実感はあると思います。また10番としての経験もさせてもらっているので、良くなっていることは間違いないと思います。

具体的にはスキルの部分は昔より上手くなっています。状況判断というのは、まだまだ経験が足りないという部分があるので、そこはエディー（・ジョーンズ日本代表ＨＣ）さんが僕をスタートで使えない理由の一つだと思います。ＷＴＢとしては、いろんな事ができると思いますけど、10番としてはあまり引き出しの多い方ではない。狭いスペースでのステップは、ＷＴＢもやっていたので、強みになると思っています。


――ジョーンズＨＣから、何か言われていることは？

廣瀬　基本的には当たり前のところですね。真っ直ぐ走って、キャッチして、パスをするということが、まずしっかりＳＯとしてできること。キックもそうですね。状況判断を早くする、そして10番なので全体をオーガナイズするということ、ですね。


――そういう意味では、昨シーズン、トップリーグでほぼ先発で10番を背負い続けていました。

廣瀬　（代表）３年目から日本代表でも10番をやらせてもらっていて、それがあったのでトップリーグでもある程度できたと思います。そして４年目、もう一回、ジャパンで４月から良いトレーニングを積んできたことが一番大きいですね。

1プレーヤーとして、常に進化を求められるエディー・ジャパンの中で残ってきた

――そう言っても東芝でも10番でプレーし続けてきたことも良い影響を与えたのではないでしょうか？

廣瀬　経験値を積むということでも、それも当然あると思います。ＳＯ森田（佳寿）のケガもありましたが、昨年のトップリーグでやれるということである程度自信が持てて、はっきり言って代表ではあまり自信がなかったのですが、ようやくアジアとの試合、カナダ代表戦とちょっと出場させてもらって、今までやってきたことが間違いではなかったと思えていますね。


――「日本代表で自信がなかった」というのは？

廣瀬　テストマッチでの経験がなかったのが大きいですね。やれるかどうかの自信がなかった。やってみないとわからないというか。３年目にエディー（ジョーンズＨＣ）さんに言われて10番にチャレンジしたのですが、日本代表はトップリーグでのパフォーマンスがある程度良かったから選ばれるもの。日本代表の最初の２年間は、ＷＴＢで出場している。東芝でもテストマッチでも。10番としての自分のパフォーマンスを見てもらって日本代表に選ばれたわけではないところが、やっぱり苦しかったです。

エディーさんは何を見て僕を10番として選んだのか。やっぱり、ポテンシャルを見てそう思ってくれたとは思いますが、実際のプレーを見ていなかった。そんな中で頑張らなくてはならない状況だったので、（日本代表の）３年目は結構しんどかったですね。

結局、３年目はリザーブでＷＴＢと10番の掛け持ちでしたが、10番として出場することはなかった。最終的にはＷＴＢでしか出られなくて、自信が芽生えなかったという、感じですね。


――２年目が終わって、キャプテンをＦＬリーチ マイケル（東芝）に交代というのは、いつ伝えられたのですか？