「nagata’s eye」を寄稿いただいているスポーツライター永田洋光氏のメルマガ「ラグビー!ラグビー!」恒例のトークイベントを今回はラグビージャパン365(RJ365)でも公開することになりました。イベントには、RJ365スーパーバイザーの大友信彦氏、「ムラカミコラム」を寄稿いただいている村上晃一氏、の3氏が登壇された。
「ジャパンがW杯で勝つならジョージア戦みたいな試合になる」(村上)
イベントが行われたこの日は台風18号の影響で激しい雨が降り続くなかで“決行”しましたが、そんな悪天候にもかかわらず会場の高田馬場『ノーサイドクラブ』は超満員の盛況ぶり。W杯を間近に控えたファンのみなさんの熱い期待がひしひしと伝わりました。では、今回はまず『ジャパン編』。たっぷりとご堪能ください。(続編の『世界編』は近日公開します)
永田洋光氏(以下、永田) W杯の話に入る前に、まず5日に行われたジョージア戦をどう見たか。そこから話を始めましょう。
大友信彦氏(以下、大友) ジョージア戦はラスト3分の逆転勝利でしたね。それまでは、「なかなか逆転しないな」「点が取れないな」とイライラする思いがあったのですが、W杯開幕直前で手の内を隠しながらプレーすることを考えると、去年の秋にあれだけやられたジョージアを相手にスクラムをしっかり組めた。僕は、かなりいい仕上がり具合だと思いました。
村上晃一氏(以下、村上) とにかく目が疲れましたね、ストリーミング配信(笑)。それから、スロー再生がないので「いいプレーだ、もう1回見たい」といつもの感じで思っても、見られなかった。Jスポーツで放送して欲しかったのですが、あの日はいろいろなところでウォームアップマッチが行われたので、テレビ局のきちんとした中継がなかった。ストリーミング映像と、テレビ画面に耐えられる映像とはかなり違っていましたね。
永田 女子マネジャーが撮影した練習試合のビデオを見ているような感じだった(笑)。
村上 そうそう。だから、“最後にノータッチを蹴った選手は誰だ”という話になった。あれは小野晃征ですよね?
大友 そこをハッキリさせないための中継なんです(笑)。
永田 キックオフが日本時間の0時45分で、映像がロングしかなくて、しかも試合はディフェンスの練習みたいな内容。眠くなりませんでしたか(笑)?
大友 村上さんは、そういう辛い試合の解説は何度も経験していますよね。
村上 フィットネスは高いです(笑)。W杯ではああいう僅差の試合が多いので、耐えられるようにしておかないといけない。そういう意味では、ファンにとってもウォームアップマッチでしたね。
試合については、僕はジャパンがW杯で勝つなら、ああいう試合になるのかな、と思いました。そんなに簡単に点は取れないし、ジャパンもディフェンスで粘れるチームになっているので、相手をロースコアに抑えて、五郎丸歩のPGとモールでサモアとかに勝つような感じなのかな、と思いました。
永田 サモアという具体的な名前が出ましたけど、それはあとの話にしましょう(笑)。確かにスクラムは良かったですね。反則をいくつか取られましたが、「相手が反則しているのにレフェリーが取ってくれなかった」という三上正貴のコメントも、ネットで見ました。エディー・ジョーンズHCも、「スクラムでどちらの反則になるかは、コイントスみたいなものだ」と言っているので、あまり気にしなくてもいいのでは、と思う。
大友 福岡でウルグアイと第1テストマッチを戦ったときに、途中で出場して初キャップを獲得した渡邊隆之が、「(相手の反則になって)ちょっとラッキーでした」と言っていました。そのぐらい、スクラムはどういう判定が出るかわからないところがありますね。
村上 どちらのチームのPRも、絶対に弱気なことは言わない。自分たちが落としていても、「相手が落とした」と言う場合が多い。選手のコメントは、実際の試合と違うこともあるんです(笑)。
永田 もう1つ、ツイ・ヘンドリックのWTBはないよな、と思いました。
村上 ここで試す必要はまったくないですね。それは僕も、ちょっと思いました。
永田 どんなに足が速いFWの選手でも、WTBで求められる走り方はまた違うので、ここで抜いて欲しいときに相手を振り切れない。
村上 ただ、エディーさんは出発前の会見で「FWを9人使うかもしれないから、驚かないでください」と言っていました。
永田 ……と言った直後にやるのか! みたいな感じ(笑)。