WOWOWプレゼンツ・シックス・ネーションズ座談会「前回王者vs 2位のライバル対決は優勝を占う大一番! ウェールズBKの攻撃力を、イングランドはFWで押さえ込めるか?」 | ラグビージャパン365

WOWOWプレゼンツ・シックス・ネーションズ座談会「前回王者vs 2位のライバル対決は優勝を占う大一番! ウェールズBKの攻撃力を、イングランドはFWで押さえ込めるか?」

2017/02/10

構成●大友信彦


いよいよ開幕した2017年のラグビー欧州6カ国決定戦「シックス・ネーションズ」。激戦の連続となった開幕節に続き、第2節も注目の対決が目白押しだ。

開幕節で苦杯を喫した優勝候補の一角アイルランドは敵地ローマでイタリアと対戦。初戦でイタリアに完勝したウェールズは本拠地カーディフで、連覇を狙う宿敵イングランドに挑む。そしてパリでは、開幕節でアイルランドを破った好調スコットランドがフランスと激突する。

目の離せない試合が続く第2節。中でも注目を集めるのは、やはり2年連続グランドスラム(全勝優勝)を狙うイングランドをウェールズがホームに迎える一戦だろう。

スーパーラグビーの日本人選手第1号となったSH(スクラムハーフ)田中史朗選手、FW選手としてイングランド・プレミアシップに出場した日本人選手第1号のPR(プロップ)畠山健介選手、そしてWOWOWの解説でおなじみの元日本代表SO/CTB(スタンドオフ/センター)大西将太郎さん、同じく元日本代表FL(フランカー)野澤武史さんの4人の座談会から、第2節の注目カード・ウェールズvsイングランドの見どころを紹介する!

 

昨年は第4節、イングランドの地元トゥイッケナムで対戦。3戦全勝のイングランドと2勝1分のウェールズという無敗同士、事実上の優勝決定戦と呼ばれた対決だった。結果は25−21でイングランドが勝利。とはいえ、イングランドは前半を16−0、後半5分には19−0までリードしながらウェールズの猛反撃を浴び、最後は4点差で逃げ切ったという際どい戦いだった。

昨年のシックス・ネーションズはイングランドの強さばかりが語られがちだが、最も食い下がったのはウェールズだった。しかも前回はイングランドのホーム・トゥイッケナムでの対戦であったのに対し、今回はウェールズのホーム、カーディフのプリンシパリティ・スタジアム(旧ミレニアム・スタジアム)、ウェールズは7万人の大声援を受けて戦うことになる。

 

「注目はウェールズ代表・アランウィンジョーンズキャプテン」(大西将太郎氏)

「前回王者と2位の対決ですから、当然一番の注目カードなんですが、僕が注目しているのはウェールズのキャプテンです」と指摘したのは大西将太郎さんだ。これまでウェールズのキャプテンといえば、フランカーのサム・ウォーバートン。2011年に22歳の若さでキャプテンに抜てきされて以来、ウェールズの象徴にして精神的支柱であった。

「ヘッドコーチのウォーレン・ガットランドが、ライオンズ(2017年6月にニュージーランドに遠征する英4カ国連合軍ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ)の指揮を執るためにウェールズ代表を離れていて、元代表SHのロブ・ハウリーが監督を代行しているんですが、昨秋は思うような結果が出ない面があった。何か流れを変えようという意図でキャプテンを変えたみたいです。ウォーバートンが悪いわけではないけれど、あえて変えた、その効果がどう出るかに注目しています」

昨年11月のウェールズ戦は記憶に新しい

昨年11月のウェールズ戦は記憶に新しい

日本代表は昨年11月の欧州遠征でウェールズと対戦。終了直前まで30−30の同点という激戦を繰り広げ、ロスタイムにサヨナラDGを浴びて30−33で惜敗した。田中選手は、その試合を経験したひとりだ。

「何かの記事で読んだんですが、ウォーバートンは、自分のプレーに集中したいという意向があったようですし、プラスに出るんじゃないでしょうか。このレベルのチームなので、誰がキャプテンをやっても問題はないでしょう。まあ、僕たちはウェールズと試合をしたので、ウェールズにガンバって欲しいという気持ちはありますね(笑)。見どころとしては、イングランドもウェールズもバックスのディフェンスがいいので、お互いのディフェンスがどう相手を止め続けるかというところに注目したいです」

 

「イングランドはスクラムで前進したい。ウェールズはバックスリーに得点力あり。だからこそスクラムの攻防に注目』(PR 畠山健介)

同じく、昨年11月の試合を経験したPR畠山選手は、フォワードらしく「スクラム」を注目点にあげた。

「ウェールズもイングランドも、どちらもバックスで得点できる力を持っているので、どこで差が出るかというと、フォワードが前に出てボールを供給できるかになると思う。その意味で、僕はまずスクラムに注目します。イングランドはまずスクラムで前に出たい。セットピースで圧倒して、バックスを有利な状況にしてから攻めるのが狙いです。そこで思うように前に出られなくなって、不用意に蹴ったりすると、ウェールズはバックスリー(両ウイングとフルバックの3人)にいい選手が揃っているから、カウンターアタックが効く。そういう意味で、スクラムに注目しています」

ウェールズのバックスリーは、初戦のイタリア戦でもジョージ・ノースとリーアム・ウィリアムズの両ウイングが揃ってトライをあげ、フルバックのリー・ハーフペニーは3コンバージョン4PGの18得点をあげたが、好調ぶりは昨年から見られていた。国際ラグビーのデータに精通する野澤さんが解説する。


「ウェールズは昨年のシックス・ネーションズで一番多くのトライをあげているんですが、そのうち約3割が相手キックからのカウンターアタックが起点なんです。いかにバックスリーに能力の高い選手が揃っているかを象徴している数字だと思いますね」

昨年のシックス・ネーションズで、全試合を通じての最多トライはウェールズの17。2位はアイルランドの15。優勝したイングランドは13で3位だった。ちなみに4位はスコットランドの11で、5位はイタリアの8。最も少なかったのは7のフランスだった、というのはやや意外な結果だが…ともあれ、ウェールズの攻撃力はそれほど際立っていたわけだ。何しろ、唯一敗れたイングランド戦も、トライ数ではウェールズが3対1と上回っていたのだ。

「当然、エディーさんは彼らにボールを持たせないようにしてくるでしょうし、そこのせめぎ合いが見どころになると思います」

ウェールズとイングランドは過去129回対戦し、イングランドが60勝、ウェールズが57勝、12の引き分けと、ほぼ互角ながらイングランドがわずかにリードしている。シックス・ネーションズ以前を含めた通算優勝回数はウェールズが38回で最多だが、単独優勝はイングランドが27回でウェールズの26回を抜いた。今年、イングランドが優勝すれば総優勝回数で、ウェールズが優勝すれば単独優勝回数でトップに並ぶ。まさしく北半球最強の座を争ってきたライバル同士の頂上対決。キックオフは日本時間の11日土曜、深夜1時50分だ。

 

WOWOW番組情報

★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会の模様を全15試合生中継!

第2節:
イタリアvsアイルランド     2/11(土・祝)夜11:10~ [WOWOWライブ]
ウェールズvsイングランド 2/11(土・祝)深夜1:40~ [WOWOWライブ]
フランスvsスコットランド  2/12(日)夜11:45~ [WOWOWライブ]

第3節:
スコットランドvsウェールズ 2/25(土)夜11:10~ [WOWOWライブ]
アイルランドvsフランス 2/25(土)深夜1:40~ [WOWOWライブ]
イングランドvsイタリア     2/26(日)夜11:50~ [WOWOWライブ]

第4節:
ウェールズvsアイルランド    3/11(土)午前4:50~ [WOWOWライブ]
イタリアvsフランス    3/11(土)夜10:15~ [WOWOWライブ]
イングランドvsスコットランド    3/11(土)深夜0:45~ [WOWOWライブ]

 


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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