12日、NECグリーンロケッツ東葛は、ここまで2勝と苦しいシーズンが続いている。第11節交流戦の最終戦で東芝ブレイブルーパス東京を迎えて3勝目をかけて戦った。グリーンロケッツ東葛はこれまで先発を務めていたニック・フィップスに代わり、日本代表78キャップの田中史朗が今シーズン初先発を果たした。
前半9分、ブレイブルーパスのPRタウファ・ラトゥにレッドカードが出され一発退場。序盤から1人多い優位な状況となったグリーンロケッツ。アーリーエントリーでハーフ団を組んだ、吉村紘のキックでエリアを獲得し、前半を13-18と5点差で折り返した。
前半終了間際に1人少ないブレイブルーパスがSHジャックストラトンのシンビンでさらに1人が退場。数的優位を生かして、グリーンロケッツがクリスチャン・ラウイのトライで逆転に成功する。
後半8分で交代となった田中。「「僕も『あれ? 早いな』と感じました。あと10分~15分くらいは全然できたなと。」(田中)しっかり先発としての役割を果たしピッチを離れた。その後チームは逆転を許し、3勝目を果たすことはできなかったが、久しぶりにピッチで躍動する姿を見せた田中は「吉村と一緒にできたのが楽しかったです。38歳でもできるということも示せて、光栄でした。」
勝利した東芝ブレイブルーパス東京は勝点31で5位。4位の東京サンゴリアスとの差は6点。残る5試合で上位チームとの対戦は最終16節のワイルドナイツ戦。負けられない試合が続く。次節はサンゴリアスに勝利して勢いに乗るヴェルブリッツだ。
3勝目が遠いグリーンロケッツは、入替戦回避のために9位以上を目指す。ターゲットとなる9位スティーラーズとの勝点差は10。次節そのスティーラーズとアウェイで戦う。残り5試合のうち3試合が上位チーム(サンゴリアス、イーグルス、スピアーズ)と考えるとマストウィンであることは間違いない。
グリーンロケッツ東葛・田中史朗
――今季初先発でした。
「吉村と一緒にできたのが楽しかったです。38歳でもできるということも示せて、光栄でした。吉村は一緒にチームを引っ張ってくれた。彼自身ゲーム理解力が高い。コミュニケーションを取るのがすごく上手いし、判断がいいと思う。ラグビー選手として成長していく可能性を見せてもらった。日本代表に絡んでいくポテンシャルもあると思うし、代表争いに絡むにはどうしていけばいいかも伝えていけたらいい。僕自身正直努力を重ねて日本代表になれたし、吉村も努力するタイプだと思う。彼も身体は大きくないので、今のスキルを常100%出せるようにしていけば、チャンスはあると思う」
――吉村選手とは16歳差です。何かギャップとか感じますか?
「いえ、そういうのは何も感じません。周りからは『息子さんみたい』と言われたりしますが(笑)。今日リザーブに入ったはSHのタツ(藤井達哉)も22歳で、やっぱり16歳違いますが、良いコミュニケーションを取れています」
――チームとしては、相手が14人になりましたが点差を開けられてしまいました
「良いディフェンスができた時間帯もあったけど、モールディフェンスなど、コネクションが足りずに切れてしまった場面が多かった。そこはもっと厳しく言って、レベルアップしていかないといけない。特に相手が1人少ない中でのこの結果は受け入れられない。厳しく言っていかないといけない。ただ、レメキ中心に引っ張っていく姿勢を見せる選手は増えているし、去年よりはレベルアップしていると思う」
――自分のパフォーマンスはいかがでしたか?後半8分での交替は少し早く感じましたが。
「僕も『あれ? 早いな』と感じました。あと10分~15分くらいは全然できたなと。前半は風上でキックを多く使って、走ることが少なかったので、後半は展開していこうと思っていたところでした。もっとラグビーしたかったですね」
――年齢的、体力面はいかがですか。
「しんどいはしんどいです(笑)。でもラグビーは楽しい。ボールゲームやフィットネス、トレーニングでは『しんどいな』と思うこともあるけど、こんな小さいオッサンが、年齢がいっても頑張ってるんだということを、特に子どもたち、小さい子どもたちに伝えたい」
――私生活、リカバリーも気をつけていますか?
「はい。以前は入らなかったアイスバスにも入るようになったし、お酒も、前のように飲んだら3日間くらいキツくなってしまうので、飲み方や量を考えるようになりました。飲んではいますけど、ご飯を食べてから飲むとか、水を飲みながら飲むとか。『一気飲み』や『ラグビー飲み』は控えるようにしています(笑)」
グリーンロケッツ ロバート・テイラーHC
「まずブレイブルーパスの皆さんの勝利を祝福します。試合は後半、もう少しで自分たちのところへ流れが来るかと思ったけれど、ブレイブルーパスの選手は自分たちのプレーに自信を持ってプレーしてきたのが印象的だ。我々は相手に点を与えすぎた。厳しい試合だったけれど、しっかりレビューして次の試合に備えたい」
――数的優位を得ながらダブルスコア以上の大敗は残念な結果だ。原因は。
「60分までは良い内容の試合ができたと思う。前週のBR東京戦はカードを3枚ももらってしまって大敗したが、今日もカードをもらってしまった。ディシプリンのミスを繰り返してしまったのが痛かった。ラグビーの原則として、プレーするエリアを間違えない選手が15人揃っていることが大事。あとはディフェンスの質の問題。相手が14人のときにもっとしっかりディフェンスできないといけない。この課題を次の神戸戦に活かしたい」
――アーリーエントリーのSO吉村紘について
「紘はいいデビュー戦になったと思う。彼はコミュニケーションを取るのがうまい。やりたいことをクリアにして、チームとコミュニケ-ションを取って、落ち着いてプレーできる。成熟したプレーヤーだ。これからの長いラグビー人生が約束されている選手だと思う」
――田中史朗が今季初先発でした。
「ここまではずっとニック・フィップスが出ずっぱりだったので、どこかで休ませたいと思っていた。今日は吉村紘がデビュー戦だったので、シニアプレーヤーであるフミの経験でサポートしてもらおうと思った」
グリーンロケッツ レメキロマノラヴァキャプテン
「60分はまだ良い試合をできていたと思うけれど、相手が14人になって数的優位があったんだから、もうちょっと良い試合をしなきゃいけない。前半はポゼッションがあったのだから、もっと点を取らなきゃいけなかった」
――これがデビュー戦のSO吉村について。
「紘は全然新人じゃないと思った。フェイズが重なってもずっとしゃべっている。しゃべりのレベルが高いし、キックも上手くてパニックにならない。これまで出ていた(前田)土芽や(金井)大雪との一番の違いはよくしゃべること。これからが楽しみだ」
――今季初先発のSH田中について。
「フミさんと一緒にプレーできたのは楽しかったよ。フミさんらしくボールをよく動かしていたし。もっと一緒にプレーしたかったくらい。まだまだ全然行ける。自分の力を出せるね」