関東大学リーグ戦グループでここまで4戦全勝の東洋大と東海大が3日、スピアーズえどりくフィールドで対戦した。
試合は前半、東洋大が風上からキックオフ。直後に風下の東海大が相手ゴール前まで攻め込むが、東洋大は相手パスのこぼれ球を拾ったWTB浅尾が相手陣22m線付近までビッグゲインするが、東海大はFB浦本が懸命に戻ってタックルし、ノットリリースザボール。目まぐるしい攻防で幕を開けた。

東洋14浅尾の独走に東海15浦本が追いつく
先制したのは東洋大。12分、SO林の蹴り上げたハイパントを捕球した相手WTB鬼頭をCTBタマティのタックルでターンオーバー。そこからフェイズを重ね、FLナモア、WTB浅尾がゲイン氏、最後はCTB天羽-タマティとつなぎ、タマティはゴール前でタックルされたところでサポートのSH佐々木にオフロードパス。佐々木が右中間に飛び込んだ。SO林のコンバージョンはポストに嫌われ、5-0。

前半12分東洋⑨佐々木トライ
東海大の反撃は29分。自陣のディフェンスで相手落球を誘うと、SH川久保が拾って大きくキッククリア&チェイスで敵陣へ入り、右→左と大きく振り戻してWTB鬼頭が左隅に飛び込んだ。CTBセブンスターがコンバージョンを決め東海大が7-5と逆転する。

東海⑨川久保のキック

東洋⑤ウーストハイゼン

東洋⑬タマティ
試合はここからリードが激しく入れ替わるシーソーゲームとなる。40分、東洋大は相手ゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、モールをドライブ。リーグ戦グループのトライ王争い首位を走るHO小泉が右中間に今季11号となるトライを決める。SO林がコンバージョンを決めて12-7と再逆転する。

前半39分東洋モールから②小泉トライ

東洋10林コンバージョン

前半42分東海⑬古屋トライ
しかしこの日の東洋大は得点直後に失点してしまう。ハーフタイム直前の前半ラストプレーで東海大CTBセブンスターから古屋へのショートパスに誰も反応できずゴーリポスト真下にトライを許す。セブンスターがコンバージョンを決め、東海大が14-12と再々逆転して前半を終えた。

東海⑫セブンスターがコンバージョン成功
後半もシーソーゲームは続いた。再開9分、東洋大は再びゴール前ラインアウトでモールを押し、HO小泉がこの日2本目、今季12号トライ。右隅からのコンバージョンを林が慎重に沈め、東洋大が19-14とリードを奪う。

後半10分、東洋②小泉が2本目のトライ

東海⑭トンガ
対する東海大は18分、右ラインアウトからFL薄田主将を相手DFにぶつけておいて、右をCTBセブンスターが突破。196/99の大型ランナーが相手DFを引き付けたところで右のWTBトンガへ、さらにLO中村へとオフロードパスがつながり右中間にトライ。セブンスターのコンバージョンが決まり東海大が21-19とリードを奪う。

後半18分東海④中村トライ

東海⑮浦本
そして試合は残り10分。相手陣でPKを得た東洋大は左中間25mのPKでショットを選択し、林が成功。22-21と、この試合6度目の逆転に成功する。
しかし試合はまだ決まらなかった。34分、先ほど狙われたのとほぼ同じ、左中間25m地点でPKを得た東海大はショットではなくタッチを選択。左ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、HO川村が左中間にトライ。東洋大のウーストハイゼン、栗原の両LOがともに負傷で退き、ラインアウトが機能しなくなった虚を突いた強攻策が功を奏してのトライ。セブンスターが難しいコンバージョンを鮮やかに沈め、28-22。

後半33分東海モールを押して②川村逆転トライ

セブンスターのコンバージョンで28-22の6点差に
このコンバージョンの2点は大きかった。ここまで常に5点差以内で進んできた試合で初めて6点差の「大差」がついたのだ。リーグ戦初優勝に向け後がなくなった東洋大はそこから猛攻。PKを得て攻め込んだ左ラインアウトから右へ順目でアタックをかけ、5フェイズ目で右WTB浅尾が右中間にトライを決め1点差。しかしSO林のコンバージョンは惜しくも失敗。1点差が残ってしまった。

後半44分東洋⑭浅尾がトライ

東洋10林のコンバージョンあ外れ1点差が残る
この時点で時計は44分。そして迎えたロスタイムラストミニッツの攻防で、1点を追う東洋大は再び東海大陣内に攻め込むが、最後はWTB浅尾が逆転トライまで約5mと迫ったところで東海大FL薄田主将とSO北村が2人がかりのタックルでタッチへ押し出しノーサイド。7度もリードが入れ替わる激戦の末、東海大が28-27の1点差で死闘を制し、2季ぶりのリーグ制覇へ前進した。

後半49分東洋大が12人でモールを押す

東洋大⑪浅尾を東海⑦薄田⑩北村のダブルタックルでタッチへ押し出す
東海大の木村季由監督は「前半は風下でよく我慢してリードして折り返したけど、後半にミスが多く出てしまって、効果的に得点を重ねられなかった」とギリギリの勝利にため息をつき、「これまで『接戦しないと強くならない、接戦したい』と言っていましたが、こんな接戦はしたくない。せめてゴール前じゃなく、中盤くらいで止め切ってほしかった」と苦笑。
昨季は春夏と順調な足取りだったがシーズン本番になって負傷者が続出して失速し、リーグ戦グループ初の6連覇から一転3位に転落。その反省から今季は春夏は結果を求めず治療と体作りに注力。それが功を奏して今季は大きな負傷者が出ていない。

わずか1点差の勝利に喜ぶ東海フィフティーン
「これまでは筋肉を増やすトレーニングが主体だったのですが、今季は(インナーマッスルを強化する)チューブトレーニングなどケガ予防のためのトレーニングが増えました」と薄田主将。加えて、昨年全部員が入れる新寮が完成。「食事も寮内で採れるようになったし、何か気になることがあったらすぐ声をかけて、細かいミーティングを頻繁にできるようになりました」
これまでは前年王者の看板を背負ってリーグ戦を戦っていた東海大だが、今季は3位からのチャレンジ。「6連覇や7連覇というプレッシャーなくやれてるのは良いですね」と薄田主将は笑った。
東海大はこれで開幕5連勝。勝ち点28で首位に立った。次戦は15日に小田原で大東大と、最終戦は30日に秩父宮で流経大と対戦する。

健闘を称えあう両主将



