第1試合は関東王者・國學院栃木(栃木)と石見智翠館(島根)が対戦した。ここまで接戦を制してきた國學院栃木。対する石見智翠館はNO8祝原久温を中心にフィジカルで相手を上回り、ここまで順調に勝ち進んできた。
まず初めにチャンスを迎えたのは國栃。前半6分、敵陣10m付近でペネルティキックを獲得するとショットを選択。SO神尾樹凜が狙うも失敗。それでも、その後8分、アドバンテージをもらいながらSH下井田雄斗が左右にボールを動かし揺さぶると、WTB井戸川ラトレルがゲインすると、内に返し神尾樹凜がトライ。國栃が5-0と先制に成功する。
![神尾樹凜がゴールを狙うも失敗](/img/2024/0328/6e8bbf65c9ef64153653cc20d50e34d8_original.jpg)
神尾樹凜がゴールを狙うも失敗
![井戸川ラトレルのゲインから](/img/2024/0328/e0a5c88fc4c430aeec70e4085d22594f_original.jpg)
井戸川ラトレルのゲインから
![神尾樹凜のトライ](/img/2024/0328/c37bfaaf7e8dfef2a87113efb7ec2eeb_original.jpg)
神尾樹凜のトライ
追いかける石見智翠館は14分、WTB久住誓蓮のゲインで敵陣に入るとフェイズを重ねゴールに迫り、最後はNO8祝原久温のトライで逆転。
![NO8祝原久温キャプテンのトライで逆転](/img/2024/0328/dbedb2a8a52924ee2de539351d9d12d3_original.jpg)
NO8祝原久温キャプテンのトライで逆転
前半国栃がボールを持つ時間帯が多かったが、石見智翠館もしぶといディフェンスでスコアをさせない。それでも24分、国栃CTB福田恒秀道が裏のスペースに抜けると、すぐにボールをFL加藤成悟につないでトライ。神尾樹凜のゴールも決まって12-7とリード。
石見智翠館も28分、相手ペナルティで敵陣深くに入ると強いFWでフェイズを重ねて空いた外スペースを攻め込みWTB久富洋希がトライ。12-12と同点で前半を終えた。
![前半28分久富洋希のトライで同点に](/img/2024/0328/9bfa4fdead6d0a8fe9e8532a9bc16d77_original.jpg)
前半28分久富洋希のトライで同点に
![](/img/2024/0328/a4dfce10c96c1fea5a22ada308d1c6fb_original.jpg)
後半の入りスコアを決めたのは石見智翠館。自陣でペナルティアドバンテージが出されながらフェイズを重ね敵陣22mまでボールをキープし、CTB溝端琉碧のキックパスをFL神保友海がキャッチしてそのままトライ。
![神保友海のトライ.](/img/2024/0328/08d1bcf871bb97446033673c80ab12a3_original.jpg)
神保友海のトライ.
![](/img/2024/0328/075c2c5e1a28c767a110e69073a45a9d_original.jpg)
直後のキックオフボールを石見智翠館がノックオン。國學院栃木がマイボールスクラムでアタックを仕掛けるもボールがキープできずチャンスをものにできない。11分にも国栃が敵陣22m付近でアタックチャンスを迎えるもオブストラクションで活かしきれなかった。
![FB永沢拓夢](/img/2024/0328/ba77f810039547fe71b93f8b3d5faca0_original.jpg)
FB永沢拓夢
14分、國栃はFB永沢拓夢のゲインで敵陣22m内側に入る。石見智翠館が前に出てくるディフェンスでノックオンを誘いスコアは変わらず。
それでも22分、国栃は敵陣ゴール前からのラインアウト。石見智翠館がオフサイドのペナルティ。
![](/img/2024/0328/bd581456fe03da22ba268b1af7e7f050_original.jpg)
國栃はタップからリスタート。WTB井戸川ラトレルがトライ。神尾のゴールは決まらず17-17のまま。同点のまま試合は終盤を迎える。
![井戸川ラトレルのトライ](/img/2024/0328/fec82ca14e4b59386e244942e96773f8_original.jpg)
井戸川ラトレルのトライ
![神尾樹凜がゴールを狙うも失敗](/img/2024/0328/1aec960699af02a3288eee9685f3c11a_original.jpg)
神尾樹凜がゴールを狙うも失敗
26分、石見智翠館は相手のミスでようやく敵陣でのマイボールスクラムを迎える。CTB板野拓友が相手に掴まれながらもレッグドライブで22mまでボールをキャリー。さらにSO原田崇良もゲインしゴール前5m。近場でポイントをずらしながらボールをキープ。
![](/img/2024/0328/f457a3bed1db76fbc307987bbe3c7505_original.jpg)
![](/img/2024/0328/da227ea931c1793eb8e732654c5c5088_original.jpg)
するとラックからNO8祝原久温キャプテンがピックゴーで相手ディフェンスを吹き飛ばしながら決勝のトライ。後半ほとんど敵陣に入ることができなかった石見智翠館はチャンスをものにして24-17で勝利。12大会ぶり2度目の決勝進出を果たした。
![後半28分ゴール前ラックから祝原久温がピックゴーでゴールに迫る](/img/2024/0328/ceb196f3804ce3c0d101414eaf74323f_original.jpg)
後半28分ゴール前ラックから祝原久温がピックゴーでゴールに迫る
![相手ディフェンダーを弾き飛ばしてトライ](/img/2024/0328/a9879f8ea9c70d07d0116e8d83908154_original.jpg)
相手ディフェンダーを弾き飛ばしてトライ
![12大会ぶり2度目の決勝進出を果たした石見智翠館](/img/2024/0328/850510bf88fdc3af8077c23820e80851_original.jpg)
12大会ぶり2度目の決勝進出を果たした石見智翠館
石見智翠館 出村知也監督
今日はアタックして『ブレイク・ザ・ウォール』ということをテーマして、ベスト4の壁と國栃さんの強固なディフェンスを打ち破れということで、バチバチでお互いすごかったですね。
ぶつかって立ち上がってを体現した60分間だったし、國栃さんも素晴らしかった。勝ち負けというより高校ラグビーの良さが出ていた。選手たちが頑張ってくれているだけなのでサポートするだけだと思っているので、いつも通り感動与えるラグビーを決勝ではしてほしい。僕らは失うことはないので、攻守にわたってバチバチ思いっきり前に出て、一人でも多くの人を感動させたい。
――最後まで走っていましたね。
あのときに走れるチームになったのは今まで見てなかったので、ここまで走れると新たな気づきになりましたし、選手の底地からを見たなと思います。(祝原選手が決勝トライを挙げた)久温は何か持っていますね! 1年生から勝負どころでトライを取る選手でした。久温がトライを取ってくれるので、他の選手が身体を張って前に出てくれる。いい関係が続いている。それがグラウンドで出たのが嬉しかった。これだけすごく身体を張って前に出て、感動するラグビーをしてくれたので、力を引き出してくれた國栃さん、今まで戦ってくれた相手に感謝したい。
――一昨日、祝原主将に強く言った?
ちょっと(私が)言ったら、自分は少し調子悪いですと言っていたので、それはもともとの実力やぞ、誰も期待していないと言いました。でもたぶん、みんな期待しているので、それ以上の男になれる人間なので、思い切ってやれ、ボール持ったら前に出る、相手が来たらボールを取りにいく、それだけをやれと言った。それが今日だった。
――2度目の決勝戦です
全然、実感ないですが、失うものはなにもない。決勝の舞台で、僕らがしんどいときに支えてくれた大阪桐蔭さんと戦える。こっちに来る前にも合同練習をやった。智翠カラーでやってきます。(智翠カラーとは?)今日のように泥臭く、ぶつかってジャージーを泥んこにして、身体を当てること。派手なプレーより地味なプレーを一つ一つ積み重ねていきたい。
石見智翠館 NO8祝原久温キャプテン
![](/img/2024/0328/4c4207fa07a123b1531732bd6dfe1dae_original.jpg)
ベスト4以上に残っている國學院栃木さんは力があるので、僕たちが一番弱いチームだと思っていた。その勢い、気持ちで勝った分があった。僕らはとにかく上がって前で身体当てようと思ってそれを体現した。(最後のトライは)ずっと狙っていて、ここしかないと思っていた。僕が得点も取って前にでることができた。
![](/img/2024/0328/7b924efcccdf03dfb463e8a5e9a6b171_original.jpg)
(決勝は)確実にベスト4を目標にしていた。そこから勝ち上がるのは運も必要だし、僕らのやってきたことを信じていた。決勝までいったのは自信になったので、勢いとやってきたことを信じて勝ちたい。アタックでもディフェンスでも前に出続けて、自分たちのラグビーをしたい。
國學院栃木 吉岡肇監督
実力伯仲でいい試合でした。智翠館、いいチームでしたね。相手はFW、BK関係なくすべてのゾーンで圧力があった。ワイドアタックのクオリティーも高かった。8番の選手(祝原選手)をマークしていたが、やっぱりやられた。ここ!というところでやれた。嗅覚がある、いい選手でしたね。うちは大砲がいない、みんなでやるチームなので。
最後ゴール外れて同点のときに、なんでハイパント上げるの? ノックオンしてボールをあげちゃったとか、試合中、素晴らしいキックはあったが何度かプレゼントキックをしてしまった。徹底できてなかった。チャンスはあったが取り切れない。関東新人、選抜でも4試合ですか、今まで2本以内に抑えていたが、4本やられたら負けだな。
國學院栃木 LO笹本直希主将
![笹本直希](/img/2024/0328/0c845ff35f1c03249908a1ad87a81115_original.jpg)
笹本直希
智翠館さんが自分たちの想定を上回っていた。これだけタックルできないとこういう結果になる。通用するところとしないところがわかった。でも今回の試合は、國栃の良さであるタックルが刺さらなかった。日本一といっていたが、こんなタックルでは情けない。もっと刺さっていれば違った結果になっていたかなと思います。身体を作ってフィジカル負けしないようにしたい。(モールも)自分たちの想定を上回っていた。國栃はモールで取りたいので強化していきたい。