明治、高野彬夫新監督就任会見レポート「素晴らしい形でバトンを受け継いだ」 | ラグビージャパン365

明治、高野彬夫新監督就任会見レポート「素晴らしい形でバトンを受け継いだ」

2026/03/04

文●編集部


昨シーズン、7大会ぶりに大学日本一に輝いた明治大学ラグビー部。3月4日、新監督就任会見が行われた。登壇したのは西村弥部長、3月末で退任する神鳥裕之・現監督、そして昨シーズンまで2シーズンヘッドコーチを務めており、4月から監督に就くことが決まっている高野彬夫・新監督の3人。高野監督の任期はしっかりと決まっているわけではないが、概ね4年だという。

冒頭3人は下記のように挨拶した。

西村弥部長



「明治大ラグビー部が大学生選手権および関東対抗戦でで、ダブル優勝と29年ぶりの異業を達成された神鳥監督に、我々としてはずっとやっていただければそれが一番ありがたいということですが、ご案内のとおり、丹羽政彦監督から始まり、神鳥監督はリコー様からでしたが、様々な企業様から出向してきていただいて監督を務めていただくということが3代目という形で続いてきております。

西村弥部長・高野彬夫新監督・神鳥裕之監督

西村弥部長・高野彬夫新監督・神鳥裕之監督


このバトンをつないでいかなければいけないということで、今回の優勝の有無にかかわらず、だいぶ前から、(今回の高野監督就任は)段階から計画的に進めてきました。ですので、まさにダブル優勝したシーズンの監督とヘッドコーチがきれいにバトンを受け渡すという形になりました。学生スポーツですので、選手たちの信頼関係やメンタルというのはプロに比べればまだまだ繊細な部分があり、部長の私としても、長く、部員たちとの信頼関係を築いてきた高野新監督にバトンが手渡されるということは、非常に部長としてもありがたく、嬉しいことだなというふうに思っています。

非常に安心して、次の明治大ラグビー部を作っていっていただけるのではないかと大いに期待しています」

神鳥裕之監督

神鳥裕之監督(右)

神鳥裕之監督(右)


「5年前の(監督)就任会見で、自分が何を話したかなと思って振り返ってみると、『優勝争いをするチームをしっかり作りたい』という話をしていたと、最近、読み返して思い出しました。そう考えると在任5年間で準優勝2回、最後に優勝1回、ベスト4・1回という結果だけを見れば、勝ち続けることは難しかったですが、本当に優勝争いをできる、常に年越しをできるチームを作れたというのは自分にとっても安堵しているというところです。一番良い形でバトンをつなげるということで、本当に信頼できる、2年間ヘッドコーチとして私を支えてくれた高野新監督が2連覇、3連覇を目指して新しく、良いチームを作ってくれることを期待してバトンをつなぎたいなと思っています」

高野彬夫新監督

高野彬夫新監督

高野彬夫新監督


「この度、監督という大役にあずかりました。神鳥監督から重責を引き継いだという思いはありますが、何より去年の今頃、神鳥監督を最後に優勝して送り出そうという決意のもとスタートして、こうやって素晴らしい形でバトンを受け継げたことに、本当に感謝しております。

いろんな人に神鳥さんが勝って、偉大な監督として去られて(その後を継いで監督となり)プレッシャーなんじゃない?と言われるのですが、私としてはこんなありがたいことはないと思っています。常々、学生にチャレンジしよう、というようなことを言っていますので、僕にとって(監督就任は)大きなチャレンジになっていくと思いますが、何より明治大とラグビー部の選手たちのために全力を注いでまいりたいと思っております」

Q&A・神鳥裕之監督

――どういった判断で高野新監督に後を継いでもらったのでしょうか?

ラグビーを教えるだけであれば多くの優秀な指導者がいるんですが、学生チームをまとめていく人材がそういない。今、話したように学生のメンタリティの部分であったりとか、人間的な成長の部分であったりとか、そういったところまで含めてしっかりと指導できる人材はあまり多くない。そういった後継者が少ない中で、本当に幸運にも高野新監督と出会えたということが一番大きかった。2年間のヘッドコーチ経験の中で彼の指導ぶり、学生との接し方、また彼の人柄、それらを見て、彼しかいないなと思ったのがシンプルなところです。

――あらためて、どういった点を見て高野監督に後任を任せたのか、具体的に教えてください。

人柄ですね! 本当に

こういう仕事をやっていると、いろんな方と接する機会が多いので、やはりラグビーを教える側面だけじゃなくて、明治の監督、顔として、あらゆるところに対してしっかり責任を果たすような振る舞いや態度が必要になってくると思う。そこでやはり彼の持っている、培ってきた経験というんでしょうか、ラグビーの選手も経験しながらコーチも経験して社会人も経験してきた。2年間、隣で見てきて、そういったところの経験が今、大学スポーツの中でも十分に活かされていると肌で感じていましたので、安心して任せられるかなと思いました。

――1年前からある程度、高野新監督に次期監督になってほしいという話をされてきたのでしょうか?

次の監督にという観点では、昨シーズンのスタートの時点では決めていました。監督業務というところに関してのマネジメントは、1年間、私は最後まで責任を持ってやりましたけれども、彼の強みであるラグビーのコーチングの部分に関しては一貫して任せるという姿勢はとっていました。

Q&A・高野彬夫監督


――新たに監督になり、指導するにあたり、一番大切にするエリアは?

まず引き継いでいきたいと思うのは、神鳥監督が「凡事徹底」という言葉を掲げられていたんですが、3年前くらいに、久しぶりにスポットコーチとして明治大に戻った時に寮に入って、パッと見に入った。「凡事徹底」と掲げてあったのが、すごい記憶に残っていて、その日、学生にそれについて話をしたのも覚えています。

素晴らしい言葉だと思いますし、それができたからこそ、結局この神鳥体制5年目で優勝という結果につながったと思っています。小さいことを積み重ねる大切さというのをやっぱり学生に説いていきたい。それはラグビーだけじゃなくて生活もそう、学業も同じように、小さいことを積み重ねる大切さというのを教えていきたいと思っています。

――ヘッドコーチから監督に昇格しました。何か変えようと思うことはありますか?

正直、始まったばかりというところがあって、ちょっと漠然としているんですけど、今まで通り、どっちかというと私はラクビーコーチという側面が非常に強いタイプなので、そこの部分をやりつつも、監督としてやらなきゃいけないところを、これから学んでいく部分もありますし、やっていくというところもある。そのあたりがチャレンジになる。

ただ、私自身のやり方を大きく変えるつもりはありません。実際、神鳥監督は、私がヘッドコーチの時にいろんなことを任せてもらい、やっていたというのがあり、(監督となって)増える部分のバランスや、どんな人に預けるのかとかそういう部分はこれから考えていきたい。何にせよチャレンジを楽しんでいきたいと思っています。

――今回の話は、最終的に決めたのはいつ頃ですか?

監督になるという話は、神鳥監督と結構、話をしていて、1年ほど前からそういう話はありました。

――クボタでのコーチングの経験は今に活きていますか?

それは間違いないです。特に指導とかそういう部分はフラン・ルディケヘッドコーチからの学びというのは非常に大きい。彼には一貫して人としてどうあればいいかというところを教えてもらいました。

あとはクボタの選手たちからの教えというのも僕としては大きかった。プロフェッショナルな選手がたくさんいて、オールブラックス経験のある有名な選手から、一流のスポーツ選手という学びを得てそれを学生たちにどう教えるか。もちろんプロと学生の違いは重々承知していますし、そこで違うから指導法を変えるということではなくて、ちょっとアプローチを変えながらやっていた。

でも、ただ学生を教えて思うのは、学生は本当に素直で、言われた通りによくも悪くも、言ったことはやってくれる。そういうのをちょっと変えたいなと、もっと自分たちの意見が出るように、僕もアプローチをリーグワンにいるときよりはちょっと変えて、そういったことを意識して去年は取り組んできたところがあります。

――コーチング体制のイメージは? 何か変える点はありますか?

ラグビーの現場のイメージは大きくは変わらない。去年は体制はそんなに変わらないかなと思っています。柱だった神鳥監督が(3月末に)退任されますが、現場として僕はそこの部分を担いつつ現場のヘッドヘッドコーチを私がやるという形で、今いるアシスタントコーチたちと一緒にうまくやっていきたいなと思っています。


(新しいコーチを増やすかどうかなどは)今後になります。あとは学生コーチをうまく育てて使いながら、というところもあります。非常に優秀な子たちがサポートしてくれているので、その子たちにも(指導を)やってもらおうかなと思っています。

――学生を指導する上で、気をつけていることは?

神鳥監督が非常に上手にやられたので参考にしています。どこまで介入するのかというところで、やっぱり学生は介入すればするほど何も言わなくなっちゃうし、意見も引き出せなくなっちゃう。結局、遠慮するような形で、言われたことをやっておこうという形になってしまうので、そこのバランスが大人と学生とは違うのかな、というのがありますね。

――今季の目標をお願いします。

目標ですか……皆さん、期待している言葉はわかるのですが、私としては常に勝ちにこだわっていきたいですし、もちろん昨シーズン、見せていただいたような景色をもう一度見るというのも当然ですが、今まで、明治大の歴代監督が、僕の学生の時もそうでしたが、しんどいところから積み上げてきて、ようやくまたチャンピオンになることができた。生活面だったり、ラグビーの強い、明治の新しい文化など環境をしっかり作っていくことは、私の監督としての役割なのかなと思っております。

――監督としてどんなラグビーを見せたいですか?

見る人によって、いろいろ感性はあると思いますし、勝利にもこだわりますが、見ている人が面白いと思えるような、何より明治らしいさ、今まである「前へ」や「重戦車」など、そういうのを出すために、ただその言葉だけを掲げていてもダメだと思うので、それらをやるためのラグビーというのを選手に伝えていきたい。それを感じてくれれば選手もどんどんどんどん成長していくと思っています。

――天理高出身の高野監督が明治大を志望した理由は?

私がラグビーを始めたきっかけは、そもそも小学2年生の時に母校の天理高校が優勝したのを見たことです。そこから4名が明治大に進学し、また活躍されていたというのが、僕の中では強い明治大のイメージがあって、それがまず僕が明治大に来たきっかけです。僕が大学生の時は、正直そんなに強いとは、お世辞にも言えない状況でしたが、日本一を目指して頑張っていた。ただ果たして本当にその部員が口では日本一って言っているけど、本当にそれを目指すような生活環境や文化があったのかというと、正直、今思えばなかったかな。

そういうものを、少しずつ過去の歴代の監督が積み上げていってようやくこのレベルまでまた戻してくれた。今の学生の意識も高くなっている、というのも認識しています。

――指導者を目指した動機、きっかけは?

正直、選手の時に一切、指導者になりたいと思っていなかったですし、なるようなイメージも持っていなかった。きっかけは選手を引退すると同時に、クボタでアナリストを最初の4年間やらせていただいて、ラクビーに関わられたということが僕の中では大きかった。(選手として)何もなくなった状態からスタッフとして、アナリスト、ラグビーに関われた。アナリストをやっているうちにやはりコーチングに物言いたくなってしまう。

これはどの人もそうだと思うが、アナリストがいろんなことを言いたくなる、口を出そうとするとコーチは大体偉そうな、と言う。そんな時に、たまたま(外国人コーチがチームから去りアシスタントコーチの)チャンスをいただいて、ルディケさんからちょっとやってみろ、という形でやったのがコーチになるきっかけだった。何かコーチとしての理想があって始めたとかそういうことではないです。

――アナリストの経験はどう活きていますか?

かなりラグビーも見ましたし、データ分析とかそういうとこもありますけど、そういう点で自分の強みだと思うのは、ラグビーがどれだけ見られるとかではなく、そういうことをやってくれている人がどれだけのことをしているかというのがわかることです。要はアナリストがどれだけの仕事をしてくれているか、ヘッドコーチ以下のコーチが、今プロフェッショナルなので、そういう方々がどうやって働いて貢献しているかというのがわかるので、(チームにも)学生のスタッフや学生にもアナリストがいるんですが、選手と同じように大事な存在でもありますし、そういった方をリスペクトできるというのは僕の中ではあります。

――今シーズン、注意しなければいけないチームは?

特定のチームということは僕の中では正直なくて、もちろん、毎年、(上位に)残ってくるチームというのは、最近は限られてくると思うのですが、結局、学生の4分の1が抜けて4分の1また足されるという組織なので、どんな変化が起きるかということは本当にわからない。学生ラグビーの面白いところってそういうところにあると思うので、前評判では絶対戦わないというのは僕の中ではあります。

例えば明治の下の学年がこれだけ残っているとか、こんな選手がいるとか、去年、これだけの選手が残ったからとか、そういう考え方は一切、相手チームに対してもしない。しないつもりでいるというか、(実際に)してないので、これからどうやって積み上げていくかというところを大事にしています。

だから答えとしては、あまりそこは意識していません。もちろんライバルの早稲田さん、慶應さんとの対決や、帝京さんが強いとかいうのもありますが、軽んじているわけじゃなくて、一戦一戦、どんな対戦相手にもしっかりリスペクトを持ってチャレンジしていくというところをやっていきたい。

 

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