日本ラグビーの最前線で世界と戦い続けてきた選手の一人が小野澤宏時、そして、日本ラグビー界のトップランナーとして走り続けている佐々木隆道両氏が海外ラグビーとの出会い、そしてフランスリーグTOP14の魅力を語る!後編。
「TOP14はスクラムへのこだわりがすごい。スクラムとラインアウトばかり見ています」佐々木隆道
――佐々木さんは海外のラグビーを見るようになったのはいつ頃からですか?
初めは啓光学園の1年生のときですね。記虎先生(監督)が『オールブラックスはこういうことしてるんや、すごいやろ』とスーパー12やトライネーションズ(現 ザ・ラグビーチャンピオンシップ)のビデオを持ってきて、1試合丸々見るというミーティングをやったりしたんです。でも当時は、ラグビーを深く考えたりしていなかったんで『クリスチャン・カレンは速えなあ』とか『タナ・ウマンガの髪形かっこええなあ』とか、考えてたのはそんなことくらいでした(笑)。
※クリスチャン・カレン・・・元ニュージーランド代表FB(フルバック)。テストマッチ通算46トライは世界歴代9位。
※タナ・ウマンガ・・・ドレッドヘアがトレードマークの元ニュージーランド代表CTB/WTB(センター/ウイング)。
――当時好きだったチームや選手は誰かいましたか。
スーパー12のハリケーンズが好きでしたね。パワフルでスキルフルで、バックスには速い選手が揃っていた。『このステップを次の練習に取り入れてみよう』とか『次はこんなすごいドミネート(圧倒する)タックルを決めてやろう』とか、刺激を受けていました。やっぱりウマンガが好きだったんです。僕はFWだったけど、ウマンガはスキルフルで激しくて、あの髪形もホントはマネしたいと思ってたくらいなんです。できなかったけど。今ですか? さすがにもう歳ですから、そこまでは(笑)。
――その後、高校日本代表、早稲田、サントリーと、外国の選手に触れる機会も増えていきましたよね。
早稲田に入った頃から、世界のフランカー(FL)の選手の映像を見るようになりました。ジョージ・スミス(元オーストラリア代表)やリッチー・マコウ(元ニュージーランド代表)のプレーをビデオで研究して、一生懸命マネしようとした時代がありましたね。
そのあと、サントリーに入って6年目の2011年にジョージ・スミスが来た。彼と出会ったことで、自分のラグビー観、フランカー観はまた変わりました。ひとつひとつのプレーだけでなく、所作ひとつひとつ、普通のことすべての質が違うんですよ、ジョージは。
たとえば、地面から立ち上がる動作ひとつ取っても、僕らは『どっこいしょ』って感じだけど、ジョージは『スッ』と立つ。ワンモーションで、力みがなくて、スムーズ。体の使い方から違うんですね。一緒にいる時間すべてが勉強になりました。ジャッカル(タックルしてボールを奪うプレー)に入るタイミングとか、フランカーとしてどんなプレーを大事にするべきか。本当にたくさんのことを学びました。