12日、東芝ブレイブルーパス東京は、アウェイ・柏の葉でNECグリーンロケッツ東葛と対戦。前半序盤にレッドカードで14人と1人少ない状況になりながらも49-20で大勝。5位をキープし、トップ4入りへ望みをつなげた。
流経大柏卒業のLOワーナー・ディアンズは、後輩たちの声援を受け、トップの舞台でプレーする姿を見せた。前半の終盤にはSHストラトンもイエローカードで13人になったブレイブルーパス。SHを代役したのは、ベテラン・豊島翔平。前回の試合から9番に何かあったときは入ることになっていたということで「落ち着いて入れた」と話した。
豊島と同期のリーチ・マイケルは「トヨは元々中学のときかな・・・SHやってたし、すごく良かった」とコメント。人数が少なくなる事態を想定した練習もかなりやっているようで、「まずは意識統一すること。何をやらなきゃいけないか、何をやっちゃいけないか、それを確認して80分通してやった」と試合を振り返った。
3選手の試合後コメント、トッドブラッカダーHCの、小川高廣キャプテンの試合後会見も合わせてお届けする。
東芝ブレイブルーパス東京 ワーナー・ディアンズ
――地元での試合でしたね(ワーナーは流経大柏高出身)
「柏で久しぶりに出来て嬉しかった」
――ここでは高校時代、何度か試合をしていましたか?
「千葉県予選の決勝などで、何度か試合をしました」
――後輩が応援に来てくれていましたね。知っている顔もありましたか?
「ちょうど、自分とは入れ替わりだったので、今の選手は知らない子ばかり。先生が来てくれているのは分かりました。昨日、相監督とお話しました」
――人数が足りなくなってからのプレーは難しかった?
「自分たちのラインアウトはうまくいって、良いテンポを作れた。相手からのプレッシャーは感じなかった。人数が少なくなってプラン通りにはいかなくなったけど、修正してやれました。自分たちのやることはそんなに変わらない。1人少ないから、その分ひとりひとりが頑張るということ。あとは、スクラムと関係なく、相手が良いモメンタムを持っているときには、切り替えて次の仕事、次の仕事をと意識しました」
――「ワールドカップに向けてガンバレ」と声をかけられていましたね
「そういう声を聞くと、すごいうれしいし、もっと頑張りたいなと。ファンのためにも、自分のためにも」
――スクラムでは後ろのウエイトがなくて大変でしたか?
「大変でした。でもフロントローが頑張って良い仕事をしてくれていたので、大変だったけど、2列3列の選手は頑張って、うまく自分たちの力を伝えられた」
――じゃあ相手のウエイトはそんなに感じなかった?
「めっちゃ感じました(笑)でもフロントローが頑張ってくれた。感謝します」
東芝ブレイブルーパス東京 リーチマイケル
――14人になって何を考えたか
「まず意思統一すること。何をやらなきゃいけないか、何をやっちゃいけないか、それを確認して、80分を通してやりました」
――具体的には
「キツかったけど、ボールを蹴って敵陣に行くこと。ボールを持ったら勢いを持って継続して、勢いがなくなったら無理せず9番10番のところで蹴っていくことを意識しました」
――人数が少なくなる事態は想定していた?
「それを想定した練習もかなりやってきていたので、それが自信になっていた。スクラムも1回は7人で押せたので、それも自信になった」
――ジャッカルを決めた場面もあった。
「こちらはひとり少ない状況なので、焦ったり、タックルもジャッカルも全部やろうとしたり考えると、結局行けなくなってしまう。あまり考えずに、もうちょい冷静にやれれば良かったかな」
――人数が少なくてもチームは元気だった。
「めちゃ元気でした。ハーフタイムにロッカールームに戻ったとき、みんなものすごく元気だった。目の色がいつもと全然違って。トッド監督も最初に言ったのが『こういうシチュエーションが一番燃える。1人少ない中でみんなが頑張らないと勝てないぞ』と。みんな燃えました。ワクワクしました」
――13人になったときは東海大から同期の豊島がSHを見事にこなしました。
「トヨはもともと中学のときかな? ハーフをやってたし、すごく良かった」
東芝ブレイブルーパス東京 豊島翔平
――前半の最後の時間帯はみごとにスクラムハーフの代役を果たしました。事前に準備はしていたのですか。
「練習はしていませんが、プランとして『ハーフがいなくなったときにはトヨがやってね』と言われていたので、落ち着いて入れました。この前の試合からそうなっていました」
――ハーフとして意識したことは。
「一番はテンポを落としたくないと思って、へたくそだったけどリズムを崩さないようにすることだけは意識しました」
――ハーフの経験は。
「ラグビーを始めた頃、中学1年から3年まではSHでした。高1の途中からSO、ただ、セブンズではSH役をやることが多かったので、下からパスを放る動き自体は抵抗なくできました」
――人数が少ないときは、時間を使うこと、ボールを失わないこと、いろいろ考えなきゃ行けない。
「セットプレーはゆっくり始めようとは考えたけど、アタックはそんなに違うことをしようとは考えずに、人数が少ないので、みんなの意識を統一してやりました。人数が少ないので、遠くまで運ぶと孤立しやすいので、ボールを遠くまで持って行かないこと。近いところで動かすことを意識しました」
――プレーオフ進出に向けて厳しい状況ですが。
「厳しいですが、みんなで話しているのは『ネクストジョブ』で、各自が1人1人、目の前の仕事を丁寧にやっていこうということです」
――その意味では良い仕事しましたね。
「はい、良い仕事をしたと思います。WTBとしてトライも1本だけですが、取りましたし(笑)」
東芝ブレイブルーパス東京 トッド・ブラックアダーHC
「まず、きょうリーグワンにデビューしたグリーンロケッツの選手3人におめでとうと申し上げます。私たちの選手に対しては、今日はこれ以上ないくらいに頑張ってくれたことを心から誇りに思う。開始10分でレッドカードが出てしまったが、そこから順応して、継続してプレーできた。セットピースにも力を入れて取り組んできた部分を見せることが出来て、チャンスにはトライを取り切れた。一番嬉しかったのはチームが逆境を跳ね返したこと。今日はこれ以上ないくらいにハッピーです」
――数的不利になった状況で順応できた理由は。
「ここまでの数週間の間、何種類かのシナリオを用意して練習してきた。ディフェンスではラックに人数をかけないことや、SHがいなくなったときは誰がSH役をやるのか、スクラムがうまくいかないときは12番が入ろう……といった解決法を提供して練習してきたのです」
――FWが7人になってからのスクラムは2列で組んだり3列で組んだり使い分けがありました。
「7人になってからのスクラムは、相手ボールのときは両FLがサイドにつく「3・4」で組む。マイボールでは8番の位置に1人下がる「3・3・1」を、チャンスでは12番が入って8人でスクラムを組むオプションも用意していた。ニック(マクカラン)がスクラムに入ってペナルティを取った場面は私の指示のおかげだと思いますよ(笑)」
――SHストラトンのシンビンで13人になった時間帯はWTB豊島がSH役を務めました。
「SHがいなくなったときにトヨが入るというシナリオは事前に話していた。グレートジョブだった。本人は『タカ(小川高廣)より上手い』と言っていたみたいだね(笑)。私はそうは思わないけれど、良い仕事をしてくれた。今のラグビーはこういう状況でどれだけアジャストできるかが大事になる」
「タウファがレッドカードになったあとに入った眞壁のプレーも称賛したい。今季初めての試合が、7人でスクラムを組むというタフな状況で、70分戦い抜いてくれた。ワーナーについては、ここが彼の育った土地だということは分かっていたし、特別なモチベーションで臨んでくれると期待していました」
東芝ブレイブルーパス東京 小川高廣共同主将
「ゲーム前、トディー(HC)からは『ひとつになって戦おう』と声をかけられましたが、まさにタフな状況で、タフに戦えたと思う。プレーオフ進出に向けて順位的にも崖っ縁なので、来週からも良い準備をして臨みたい」
――66分にピッチに入ったときのチームの雰囲気は。
「自分が入ったときはまだ2トライ差で、ボーナスポイントのためにトライを取りに行こうという気持ちがあったし、みんなそんなに疲れている様子はなく、気持ちが燃えていると感じました。そこからすぐトライを取りましたが、そこからもゼッタイに3トライ差をキープしよう、風上を活かしてエリアを取って、もっとトライを取っていこうという意識でプレーできた。みんな、自分たちの置かれた状況を分かっているし、自分の役割を明確にしていけば勝つ力は十分にある。プレーオフに向けて、みんな言い準備が出来ていると思います」