3月22日に開幕した第25回全国高校選抜ラグビー大会は2日目、2回戦16試合が行われた。Bグラウンドの1試合目は関東王者の國學院栃木と京都成章が対戦した。
試合開始から両チームの接点での激しい攻防が繰り広げられ、緊迫感ある試合となった。ピッチサイドで見るものが懸念するくらい前半からフルスロットルでの対決。後半までもつのだろうかというほどの激しさだった。それを証拠に、京都成章は後半6名のリザーブ陣を投入し関東王者に挑んだ。
対する國栃はメンバー交代なし。「スターティングメンバーが今のベストメンバー。消耗していたけど」(國栃・吉岡肇監督)。その期待に応えるように、花園での準優勝を果たした姿に憧れ入部した多くの部員からの声援を後押しに全員の足が止まることがなかった。
前半両チームともにスコアを上げることができず、迎えた後半、WTB井戸川ラトレルの50-22で敵陣深くに入った國栃。ラインアウトからボールを左右に振って崩しにかかるも京都成章ディフェンスは1対1のタックルでしっかり相手の動きを止めてトライを許さない。
試合の均衡が崩れたのはなんと後半28分だった。京都成章が自陣10m付近でオフサイトのペナルティ。笹本直希主将はショットを選択した。「笹本にいけるかと言われたので、いけると答えた。自分がやるしかないとおもって蹴りました」(SO神尾樹凛)やや逆風の中、神尾はルーティーンどおりにボールをキック。ゴールド真ん中を貫き見事成功。3-0とスコアボードに初めて得点が入った。
残り時間2分プラスロスタイム。キックオフのボールを自陣深くキャッチしたSO神尾樹凛、CTB根岸悠羽とWTB井戸川ラトレルでハーフウェイまでボールを運ぶとLO笹本直希が10m前進。この時点で國栃の方がボールに向かる人数が多く、京都成章は戻りきれていなかった。
すかさず左オープンサイドに展開し、大外までボールを運ぶ國栃。テンポを緩めることなく今度は逆サイトに展開。アタックラインが整備されていた國栃に対して京都成章はディフェンスラインにギャップができていた。WTB井戸川、そして笹本とつながり、笹本からFL加藤成悟、そしてSH下井田と連続オフロードでトライ。苦しい時間帯に走り勝った國栃のノーホイッスルトライが決まり勝負を決めた。神尾がその後のゴールも決めて10-0とした。ロスタイムで最後の反撃を目指す京都成章だったが、そのままスコアを奪えず試合終了。
10-0で國學院栃木が熱戦を制し準々決勝進出を果たした。その後の抽選で準々決勝の相手は御所実業(奈良)と決まった。26日(火)11:50キックオフ。
國學院栃木 吉岡肇監督
成章さんはどんどんフレッシュな選手を後半から入れてましたよね。うちみたいなチームはなかなか変えられない。スターティングメンバーはベストメンバー。消耗していたけど。半分取り替えているチームと最後まで(替えずに)いっているチーム、普通はああいう展開だと最後のつなぎでやられてしまう。それが最後は5人、6人で紙一重のつなぎで、最後9番がトライというのも象徴的でしたね。
運も実力も伯仲でした。昨日は11番に1年生の池田をいれていたけど、肉離れが不安だったので2年生の蟹江という本来レギュラーの選手をいれた。100%ではないけど。上級生の意地みたいなものを見て、起用が当たったなと思います。
ラスト3分の展開はトラマ。理屈じゃないですね。自陣から繋いでトライに到達する作戦やサインプレーは無いですね。気持ちですよ。感動させられました。
國學院栃木 SH下井田雄斗
最初はそんな簡単に得点を取れるチームじゃないので、しっかりチーム全員で体当てて、しっかり前に出るということを、点を取りに行くより目的にやってました。
(相手はメンバーチェンジしてきたけど、國栃はチェンジなく足も動いていたのは?)日々の練習で鍛えて、優勝を目標になってきたので、足がきつくなってもそこは大丈夫だと思っていました。
(最後のトライ)あれは日々の練習でちゃんとやってきた成果が出たと思います。お互いが苦しい時間帯でどっちが最後に勝つかという場面でした。
(優勝に向けて)今日の試合でうまくいかなかった課題はしっかりベスト8にむけてちゃんと準備して戦っていきたいと思います。
國學院栃木 SO神尾樹凛
(ロングPGについて)判断は主将にまかせて、『お前できんの?』と聞かれて、できるよと言って自分がやるしかないと思って蹴りました。ルーティン通りに蹴ることができました。(当たった瞬間は?)もう入ったと思いました。(キックの距離は?)55~60mくらいはいけます。
(最後の全員で繋いだトライ)アンストラクチャな状況で、全員がフィットネスやってきて最後まで走りきれる力は元々あったんで、それが出たかなと思います。
(今日の試合展開)自分たちはディフェンスのチームなんで、相手を0点に抑えられれば、後半に点を取るのが國栃だと思っているので、良いディフェンスができてよかったです。
22mに蹴り込めば相手が蹴ってくると思っていたんですけど、相手の後ろキーマン2人がカウンターやってきたんで、もう少し前で止められればもっといいエリア取りが出来たかなと思います。そこは反省点ですね。カウンターで来ることはわかっていたんですけど、そこを止められなかったのは課題ですね。
(ゲームマネジメント)前半はロースコアになるのはわかっていたので、プラン通りできたと思うんですけど、後半に入っても中々点を取ることができず焦ってしまうところがありました。後半もずっとアタックで点の取れるマネジメントではなかったので、もっと点を取れるチームになりたいです。
(準々決勝に向けて)ベスト8になると相手のフィジカル強度も違ってくるんで、それに対してやっぱりいつもどおりのディフェンスができたら、自分たちの流れを持ってこれると思うんで、そこを意識して戦いたい。