そんなチーム・カラーに打ってつけの大型新人シナリ・ラトゥが、同じトンガ出身のWTBワテソニ・ナモアと共に入社したのも、この年だ。前年までナンバー8を務めていた母国トンガの先達ホポイ・タイオネは、この同郷の後輩に道を譲るように六月に新天地オーストラリアに旅立ったが、僚友のノフォムリ・タウモエフォラウはチームに残り、トンガ・トリオは対戦するチームの大きな脅威となっていた。
三洋電機は、秋のリーグ戦でSOに坂下功正、ナンバー8に千田美智仁といったV7戦士を配して老獪なゲーム・コントロールを見せた新日鉄釜石には6-12と敗れたが、6勝1敗で2度目の優勝を遂げ、“東の横綱”としての地歩を着々と固めつつあった。
一方、他のチームにも、有力な新戦力が続々と加わっていた。リコーにはラトゥと同じ大東大からHO平岡正樹とSO青木忍の主将・副将コンビが、前年に日本代表HO薫田真広、同FL梶原宏之(ともに筑波大出身)が入社した東芝府中には大東大からCTB落合滋と専大からSH村田亙が、サントリーには早大主将として神戸製鋼に真正面から勝負を挑んだ清宮克幸(FL/ナンバー8)がそれぞれ入社して、各チームの戦力は整いつつあった。