ラグビーにおける左右の非対称性について | ラグビージャパン365

ラグビーにおける左右の非対称性について

2015/02/19

文●永田洋光


ラグビーは非対称なスポーツだ。

メンバー表などに記載されているポジション図を見ると、2番8番9番10番15番を中心線において、一見対称的に選手が配置されているように見えるが(まあ、ポジションの配列を図式化すると確かにそうなる)、右と左ではまったく違うスポーツになる場合が多々ある。

たとえば、スクラム最前列の1番と3番。

選手交代の必要性から最近は1番でも3番でもスクラムを組める選手が増えてきたが、一般的に言うと、3番でスクラムを教え込まれた選手は1番でスクラムを組むことが苦手だし、そもそもそんなことを考えたくない。同様に、1番として育てられた選手は「3番なんてシンドくてシンドくて絶対に嫌だ」と言う場合が多い。

これは、1番が、スクラムを組む際に自分の右側の頭、首、肩だけを相手の首の下に差し込むのに対して、3番は、頭から首、肩まで左右両側をがっちり挟み込まれることに関係している。1番でスクラムを覚えた選手は左右両肩を挟み込まれるのが重たくて苦しいから「絶対に3番で組みたくない」と言うし、3番でスクラムを覚えた選手は1番を組むと「体の左半分が風に当たってスースーして安定感がなくて気持ち悪い」と言う(実は私もその1人だ=この段落のコメントは複数のさまざまなレベルの経験者の証言をもとにしています)。

物理的に考えると3番がもっとも重圧を受けて「一番苦しいポジション」と言われるが、3番を組んだ選手は3番以外で組んだことがないから、そんなことは何とも思わない。一方で1番は3番以上に体幹と足腰の力強さが必要と言われる。同じプロップというポジションでも、左右でそれだけの違いがあるのだ。

 

同じことはロックでも言える。左側の4番は、マイボールのときは両足を開いてフッカー(2番)が足で掻きだしたボールを通すトンネル(チャンネル)を作らないといけないが、5番はそういう細やかさよりもスクラムを押し込む力強さを求められる。4番より5番にチームで一番デカイ選手を起用するのは、そうした役割の違いからきている。

 

バックスにも左右の違いはある。

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